■ 年末年始だぞ、双頭会全員集合!











通された部屋は
どこかのホテルの大宴会場を思わせる広さ
あの結婚式とか行われてそうな感じ?
昔、会社でどっかのホテルに社内旅行に行って行われた宴会場よりも広いか?
個人の家なのに?
比較外の予想以上のことに呆然としながら引かれるがままに連れられて座らされる
上座に近い位置
つーことは格がデカイって事か?
デカイって何だ
高いだろうが
何て変な現実逃避をしながらチラリと辺りを見渡してみる

「・・・・・・・うわぁ」

そんな声しか出ない
だってそうだろうが、
こんな世界に足を踏み入れるなんて思わなかったもんさ
怖いオッサンお兄さんお爺さんがズラリ
時おり感じた視線は勿論のこと新参者の俺を見ていたりするからだろう・・・・

怖い!!

目が合いたくなくって俯く
そんな俺に気を使ってか一個分空いた席の左向こうで菅が身を寄せる

「堂々としてないと絡まれるぜ〜」
「できるかっ!」
「すんのー」

すんのー!って軽く言われたって出来ないモンはデキナイ!!
さり気ない振りして顔を俯かせていると、

「ゴメンね〜ちょっと挨拶行って来るー」
「え、」
「菅、メイジ見ててやって」
「分かりました」

子供の面倒見ててやって的ないわれにムっとするけれど、
実際にもし菅がいなくなったらきっといや絶対に俺はこの場を逃げ出す自信があった
そんな意味を込めての西園の言葉だったのだろう
席を立ってどこかへ行った西園
それと同時に菅が一個分空いた席につめて来た

「まーービビるのは分かりますが、舐められないためには顔に出さないようにしな」
「・・・・顔にでてるか?」
「出てない、っつーかさすが桂木だねー天下無敵の無表情!」
「・・・・褒めてるのか?」
「微妙?」

曖昧な答えに疑問系ってどんな感じ?
思わず顔を顰めて顔を上げると、
一人の男が俺と視線が合ってニヤリと笑みを向けてきた
そして何故だか俺に向ってひらりと手を振ってくる

「・・・・・菅、」
「んあ?」
「あれは誰?」
「どれ?」

目の前の料理をつまみ食いながら俺が向けている視線に沿って顔を上げる
その視線に

「ちょうど俺の真向かいから左に5個離れた人」
「・・・・あぁ・・・・アレは、伍瀬(いつせ)組の4代目代理で次期5代目の一ノ瀬 葛留(いちのせ くずる)さんだ」
「・・・・・・俺より若いよな?」
「もち、たしか19とかで・・・・大学1年って聞いてる」

隣の無表情の男となにやら掛け合いをして笑っている
そんなに上座を離れていないと言うことはそれなりの地位なのだろう
あんな若いのに、
そんな感想が漏れた

「そういやー」
「あ?」

何かを思い出したような菅の言葉に横に視線を向けると
俺に向ってニヤリと笑みを向けてきた
な、何だよ??

「あの人の所にさ、一人なんか転がり込んだって聞いたな」
「転がり込んだ・・・・一人?」
「ヤクの売人をとっ捕まえて、顔が気に入ったから飼ってるって?」
「・・・・・・・・」
「何だか桂木みたいj」

その言葉が最後まで計れる前に、
その声と言うか言葉を発している声帯に揃えた指を突き刺した

「っぶごふっ」
「余計なこと、言うなむしろ同じにスンナ俺は飼われてねー!」
「ごふっげふっ!!」

文句を言いたくても言えないらしい菅の涙目の抗議の視線を完璧に無視
咽りを押さえて文句を言おうとしたところで、
本来の席の住人が戻ってきた

「どけ、菅」
「斉藤さ〜ん聞いてくださいよっ桂木がっさっきから酷いんですよ!!」
「お前の日頃の行いが悪いからだろ」
「っひでぇ!!」
「煩い、いいからどけ」

文句をぶーぶーと垂れる菅の身体を蹴ってどかしていると、
ようやっとこの屋敷の主人・蓮水京介氏が先ほどの久保田和泉を引き連れて姿を現した
蓮水氏はそのまま上座の真ん中に座り、
久保田氏は右の俺たちの反対側の位置に座る
座わりながら用意されたグラスを持って何やら話し始める
それはよくある校長の長ったらしい話しではなく
簡単明瞭の言葉
一分も経たないうちに終わり、

「では、双頭の繁栄と皆の前途を祝して、乾杯」

笑ってそうグラスを掲げ上げると、
一斉に野太い声が後に続いて

【乾杯っ!!】

それから宴会が始まった
飲めや歌えの大宴会となった
俺も斉藤さんの差し出されるがままにコップの中身を空けていく
取り合えず右隣の西園は戻る様子がなかった

「・・・・西園、どこ行ったんですか?」
「・・・・・気になるか?」
「なりません、ただちょっと思っただけですっ」
「ふ〜ん」

グラスに口を付けながらニヤリと笑う斉藤さんのその顔を睨みつけて、
手酌で空いたグラスにビールを注ぐ

「きっと当分は戻ってこないぞ」
「当分?」
「あぁ・・・・あの人にも色々とあるさ、傍若無人でもな」

傍若無人だって認めたよ、斉藤さん
分かってたんだ
だよな、
西園ってまさしく傍若無人が人型になった感じだモンな、うん

「ウチの傍若無人に輪をかけて傍若無人がここにもう一人いるけど会ったか?」

一人納得して頷いていたら、
斉藤さんが問いかけてきた
輪をかけて?

「誰、ですか?」
「アレ」

箸を持った指が指した方向は、
アノ人物

「あぁ・・・・てか、さっき見て菅に聞きましたよ」
「組長にも何か言われたんじゃないか?」
「えぇ『俺だから怖い』そう言ってましたけど、どう言う意味ですか?」
「っふ・・・・・言葉のまんまさ、アノ人は組長にとって脅威だろうな」

脅威
西園にとっての脅威、
とても西園に似合わないと思う
誰かにそう思わせるなら分かるけれどそう思うのは分からない

「全然そうは見えないですけどね」
「まぁな」
「・・・・・・トイレ行ってきます」

数秒の間に、
思い出したように俺は席を立った
その背中に

「右行けよ」

斉藤さんの声がかかり

「え、左でしたっしょ?」

菅の訂正する声がかかった
何かを言い合っている2人に肩をすくめて
襖を開けた
右を向いても左を向いても同じような突き当たる廊下が見える




→ 斉藤の言った通りに右に進む?

→ 菅の訂正した言葉通りに左に進む?



+++++++++++++++++++++++++++

はい、
選択式です!!
どちらに進むのがお好みですか(笑)??