■ 年末年始だぞ、双頭会全員集合!!








取り敢えず斉藤さんの言葉に従おうと思ったのだけれど、
ちょうどすれ違った男が

「おぅあんまり遅かったからトイレで倒れてんのかと思ったぜ」
「ばーか、電話来たから話してたんだよ」

なんて言うのが聞こえた
その男は右から来た

「右、だな」

うん、
頷いて右に進む
長い廊下を歩いて突き当たったまた両端に広がる廊下
さて今度はどっちに進もうか、
考えて左に行くことにした
進んで進んで
中庭に面した所に出る

「・・・・・すっげ・・・」

オレンジ色の燈籠の光が純和風の小さな箱庭を灯していた
風で揺れる木の葉や
小さな池をキラキラと光らせている
思わずその光景に目を奪われていると、
真向かいの反対側の廊下に人が立って同じように庭をぼんやり見ていた

ちょうど良い
この人に聞いてみよう
そう思って近づく

「スイマセン」
「・・・・・・ん、俺?」
「はい」

近づくと分かるキレイな顔立ちの男
こんな所とはかけ離れた温和な雰囲気で俺を軽く見上げた
少し驚きの表情で
え、何でだ?

「俺に・・・・話しかけてるよね?」

何故だか不思議な質問に、
思わず顔を顰めて

「・・・・幽霊とか言わないですよね?」
「・・・・・・」

変な質問に、
自分でも変だと思うことを聞き返してしまった
したら、
何故だか黙られてしまった
えっ!?

「み、見ちゃいけないモン見たか俺!?」

モノホンの幽霊か!?
青褪めてその場を逃げようとしたら、
男がからりと笑った

「嘘々ごめんっ!」
「・・・・・・」
「本当だって生きてるから、ホラ」

すっと手が伸びて俺の肩に触れる
一瞬かまえてしまったが、
その手がしっかりと俺に触れてくる
すり抜けることはなく人の体温を感じた

「お、驚かせないで下さい」
「あはははっごめんなさい・・・・でも、貴方驚いてるようには見えないよ?」
「見えなくても心臓バクバクですっ」
「あは、ホントだ」

肩に触れていた手のひらが俺の胸に置かれて、
心音を感じてフワリと笑った
思わずドキリとするような行動と笑みに
驚きとは別に心臓が鳴る

「ゴメンね?」
「い、いえ」

キレイな顔で、
キレイに微笑む
白いシャツの上に編目のあらいセーターはこの時期にしては薄着で、
そこから見える肌が青白く見えた
寒くないのだろうか?
そう思ったところで、

「こっちには何しに?」
「あ、トイレに行こうと」
「ココは初めて?」
「はい」

スッと離れた手が後ろに回す
その格好のままで問われた言葉に当初の目的を思い出す

「だからか・・・・」
「え?」
「ここは母屋だから、本当は入ってきてはいけない場所なんですよ」
「・・・・・えっ!?」

その言葉に辺りを見渡すと、
そう言えば先ほどといた所とは少し違う造りになっていることに思い至る
そして思い出すとある言葉、

『母屋に入っちゃダメだからね、あっちはプライベートだからさ会長の大事なモンがいるから行ったら殺されるから』

そんな忠告を西園に言われていた
怒られちゃうからね、
何てふざけた口調で言われるもんだからおざなりに聞いてしまった
マズイっ
よりいっそう顔を青褪めさせると、
男はクスクスと笑いを零す

「ス、スイマセン知らずに・・・・!」
「気にしないで、俺も久しぶりに和泉以外と話したし」
「はぁ・・・・」
「でも、そろそろ行かないと見つかっちゃうね」
「ですよねっ」

その言葉に安心したのもつかの間、
慌ててしまう

「トイレはさっき来た廊下を真っ直ぐ行ってください」
「何から何までスイマセン・・・・」
「いいえ、じゃ〜また機会があったら」
「はい、ありがとうございます」

その人物に頭を下げてその箱庭から離れる
言われるがままに来た道を真っ直ぐ進むと、
しっかりと近くにトイレがあった



その明治の後姿を見送る泰斗
ぼんやりとしたオレンジ色の光に照らされた顔には
にこにことした笑みが浮かべられている

「あ、いた」
「和泉」

声の方向に顔を向けると、
瓶のオレンジジュースを傾けていた

「いないと思ったら・・・・何してんのさ」
「夜の散歩」
「ふ〜ん、飲む?」
「ん」

手渡されたそれに口を付けて傾ける
昔良く飲んだ味に笑みが零れた

「懐かしいね」
「復刻版だってさ」
「ふ〜〜ん・・・・・あ、ねー今日の集まりに気に入った人いた?」
「気に入ったって言うか、気になるのはいた」

問いかけると、
何か面白そうな玩具を見つけた子供の表情が浮かぶ

「やっぱね・・・・きっと面白いから遊んでみたら」
「ふ〜ん・・・・分かった」

泰斗の言葉に久保田はニヤリと笑った









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こんな感じで?
色々と出会っていく予定です!
次は誰っすかね(笑)!?