怖いと思った


何がとは言えないけれど


ただ見えない恐怖に


足が竦む


何に対して


自分を守ればいいのか分からない


そんな恐怖


どこから何が来るのか


何をされるのか


何を奪われるのか


何を晒されるのか



助けても言えない


助けても欲しくない


見られたくも


知られたくもない







自己防衛なんてどうすればいいのか


あなたは強いけど


俺は強くない


失いたくないものが出来たから


何も


壊されたくない


何も


奪われたくない





俺から何を奪えば気が済むのか


俺から何を奪って気が済むのか















こんな事して何になるのか




















アレから一日一枚づつ送られてくる自分と志賀の情事の写真
一週間たって、また最初に送られてきたものが受信される
決まって一言付け加えられる言葉

『お前の秘密を知っている』

『最低な奴』

『淫乱だろう?』

『誰にでも腰を振ってる下衆ヤロウ』

『ホモは消えろ』

『気持ち悪いから消えろ』

『死ね』

それらは全て俺に向けられた悪意。


誰を敵に回してしまったのか?


思い当たる節など一つもないけれど、
それらは全て俺を蔑む言葉の羅列。
無視をしたくても、
その一つ一つの言葉から目を背けられない自分の弱さ。
男子校に通っているからって、
それらが全てそんな人間ばかりでもなくて。
ソレを認められる人間も多いが認められない人間だって多い。
毛嫌いしている奴にしたら、


この送られてくる言葉通りに


俺はソレな訳で・・・・・


ズクズクと心が腐っていく



脳が思考を停止していく



何も考えられなくなって、



目を開いてるのが億劫で、



息をしていることも億劫で、


だったら


死んでしまえばイイとか思ってる

こんな悪意を向けられている自分なんていなくてイイとも思える


でも

そんな風に思ってしまえる自分が最低だと思う
こんな事くらいでとは思わないけれど、

それでも立ち向かえる

言い返せる自分はいない

後ろ向きに

自分を追い込むだけで

追い込むことしか出来なくて





暗い自分に



捕らわれていく





それでも、

それでもあの人を責められない自分がいる
こんな風に思ってしまうのも
こんな風に悪意を向けられるのも



あの人が俺を犯さなければ起きなかった事



なのに・・・・


それでも責められない


責めたくない



だって

気付いてしまったから
この不可思議な心の揺れの理由に気付いてしまったから

「好きだなんて・・・・・・・」

笑っちゃうよね?
酷いことした相手好きになるなんて





でも、





好きになってしまった



好きだと気付いてしまった



後戻りできないほど



この身体も

この心も

アノ人なしでは生きていけない
身体になって
心になって
手放したくないと思っている



この手にずっと掴んでいたい
この身体でずっと捕らえていたい

そんな事を
心は切に願っている
泣きながら
訴えている

フイに零れ落ちた涙
手で顔を覆って
とめどなく零れ落ちる

その涙は

弱い自分を責めて
弱い心を奮い立たせようとしている


奪われたくないなら

壊されたくないなら

泣くな

弱さを見せるな



でも・・・・・

でも、

自分はやっぱり

強くはない


また送られてきた

メールの内容に

押し潰されそうになる



『消えろ』

『お前が消えろ』

『気持ち悪い』

『消えろ』

『死ね』

『お前の友人が知ったらどうなるだろうか?』

『お前の親が知ったらどうなるだろうか?』

『知られたくないだろう?』



後から後から来る

新しい

悪意

新しい

自分の写真






『知られたくなかったら』


『お前はどうしなければならない?』





立ち向かえる勇気が無い





助けてください