無理やり追い込まれた絶頂に、

声など殺せるはずもなく、

しかし、

悲鳴に似た嬌声は発せられることなく、

志賀の中に吸い込まれ、

消えていった・・・・・





長い長い、

余韻に、

意識まで薄れて、

その勢いで、

フツンと・・・・・





真っ暗な中に

消えて、

落ちていく





遠い

どこかで、

白い

光を

見た気がした

















「ヤベ・・・・・携帯どっか落としてきたかな?」

ふと・・・・耳元で呟かれた声に、意識を取り戻す。
何かに寄りかかったまま視線だけを動かせば、
見慣れたものが目に映る。
流れる景色、
薄汚れたシートの椅子、
揺られる感覚で、
いつも自分が使うバスだと気付く。
ダルく重い頭を上げる。

「起きたな?ちょうど良い、もうすぐ降りるぞ。」

寄りかかってた相手は、
自分を失神させた志賀。
今まで耳につけていたイヤホンをカバンの中にしまいながらそう言う。
ぼんやりとそれを見つめ・・・・
先ほどの言葉を思い出す。

「携帯・・・・?」
「あ?・・・・あぁ何かどっかに落としたかも。」
「・・・・・」

ゴソゴソと服のポケットと言うポケットを右手で漁りながら左手で定期をカバンの中から出している。

「図書室・・・・・じゃ、ないですか?」
「あぁ??」
「さ・・・・きので、落としたんじゃないですか?」
「・・・・かも、だったら心配ねーな誰か届けてくれるだろう。」

そんな楽観的とも言える言葉と共に漁っていた右手が、ズボンのポケットにおさまる。
ゆらゆら揺れる身体を片手で志賀のほうへと寄りかかせられて、
またぼんやりとしだした意識に瞼が落ちる。

「寝るなよ、降りるんだから。」
「ね・・・てませ・・・ん」
「寝ぼけてる。」
「・・・ぼけて・・・ません」

そう言っている時点で寝ぼけている自分の答えに、
ふっと小さく笑われて・・・・・
たったそれだけで何だか許された気がした。
何に対して何を許されたのか、分からないけれど・・・・
眠気が勢い良く襲ってくる。
薄れゆく意識の中で、
流れる光の景色を目の端に捕らえながら、
ヒドク・・・・安心している、
自分がいる。

そんな無意識ともいえる中で・・・・
心でポツリと
何かを呟いた
余りの小さな呟きに、
自分でも何と言ったのが聞き取れなくて、
もう一度耳にしようとした時には、







眠りの淵へと落ちていた。