覚えているのは




白く濁った天井と
窓から見える澄み切った青空
健康的に焼けた肌と
その腕で押さえつけられた力
苦味を感じる唾液を含んだキスと





堪えようもない痛み



恐怖



混乱





それら全てを凌駕するような圧倒的な快感












何もかも、一方的に与えられ
覚えさせられ
刻みつけられた











貴方と言う存在





















恋愛致死量













「いっ・・・いやぁ・・・やめっ・・・・って!」

ガクガクと揺らされた世界で縋るように力なく訴えるが、
ソレを与えている人物はその言葉を聞かずによりいっそう激しく動いた。

「あぁぁぁあっ・・・・ぃ・・・・やっだ・・・・あぁっ」
「何が嫌だって・・・・?」
「もぅ・・・もっ・・・やめ・・・・くだっ・・・・・さ・・・あぁ!」
「止めてやっても良いが・・・・自分で動いてちゃ世話ないぞ?」

酷く楽しそうな声が、耳元で囁かれる。
言葉とともに吐息も吹き込まれて白く濁った意識がよりいっそう酩酊する。
その自分の反応に気付いたのか、
ふっと小さく笑みを零してぴちゃりと厭らしい音を立てて耳たぶを舐める。

「ひっぁ・・・・」
「黒田・・・・お前の嫌だはイイって意味と理解しているんだ・・・・だから止めてやんない。」
「っ・・・・・・!」
「現に今俺は動きを止めてやってるんだ・・・・動かしているのはお前だぞ?」

はっと涙で歪む目を見開いて、言われた事を理解する。
彼の言うとおり水音を響かせているのは自分自身だった・・・・・
ぎこちなくではあるが、本人の意思を無視したように誘い込むようにゆらゆら蠢かせている。

「いやだ・・・・いっや・・・いや・・・・あぁ・・・・!」

浅ましく目の前の人物のモノを深く飲み込んで、
放さないようにぎゅうっと締め付ける。


こんな・・・・こんな事するのは自分の意思ではない!


何もかも覚えさせられたこと。
それでも本能が理性を上まっているのは確かで、
本人の白濁とした意識を良いことに望むがまま欲しがっている。
首を振って否定をしても、
嫌だと叫んでも、
泣いても、
拒んでも、
暴れても、
否定したって、
それでも自分の身体が欲しがっているのは確かで、
その欲しがってやまないものが目の前にあれば、
我慢などできるはずもない。
自分の意思じゃないけれど、覚えさせられた本能の意思。
それらは目の前の人物には酷く従順。



「欲しがれ、俺無しではいられないくらいこの身体に覚え込ませてやる。」



獰猛さを含んだ声色。
でもどこまでも甘さを含んでいて、
理性は否定をし、
本能は頷く。



「お前の意思など今は関係ない。」



耳元で囁くのはやめてっ



「理性は捨てろ。」



できないっ



「本能に従え。」



嫌だっ



「俺だけを感じていろ。」



嫌だっ
嫌だっ








「お前の絶対的支配者は俺だ。」







俺の、
理性を脅し、
本能を従えさせる、
その人の名は



志賀朋之