■ 年末年始だぞ、双頭会全員集合!!









目の前にビール瓶がごろりと転がる、
それは一人で空けるには少し多い量
自分も飲み隣の大谷もそれなりに空けてはいるが目の前の桂木ほどではない
それに気づいた馨はちらりと飲ました相手の顔色を窺った

「・・・・・桂木さん?」

俯き加減の顔は先ほどと全く変わってはいない
いないのだが、
先ほどと少し何かが変わっている
声をかけると顔がゆっくりと上がった

「大丈夫ですよ、」

キレイに模られたような笑み
それを直接受けてしまった馨はボンッと音がしそうなくらいに顔を赤くした

「か、桂木さん?」
「はい?」

首を傾げて返事を返す姿に馨は何も返せずにいいえと言って首を振る
思わずかける言葉も忘れるほど、
今の明治に目を奪われる

「酒が入ると変わるタイプみたいですね」

他人事のように(いや、他人事だけれど)そう言ってのける大谷は目を合わせようとしないで
あらぬ方向を向いている
賢明な判断と言っていいだろう

「ちょっと・・・・これ、どうしたら・・・・!?」
「酒が抜けない限り、どうしようもないんじゃないですか?」
「でもっ・・・・視線が外せないのよー!」

知りませんよそんな事、
大谷が呆れたように声をかけると

「あーーー桂木ー来てたんじゃ〜ん!!」

バタバタと音を立てて菅が駆け寄ってきた
徐にどすーんと明治になだれ込む

「あ、馨さんだーー久しぶりっすね!」
「菅君・・・・」
「あれ、どうしたんすか?顔赤いっすよ?」
「赤くもなるわよ!!」
「は?」

いきなりそう言われて、
首を傾げて起き上がる

「何かあったんすか?」
「この人どうなってんのよっ」
「この人?どうなってるって・・・・・は?」

馨が指を指した方向に視線を向けると
ぼんやりとした明治がそこにいた
いつもならこういう事をすると烈火のごとく嫌味が飛んでくるのにもかかわらず何も言わないことに違和感を覚える

「おーい、桂木ーーー?」
「いつも、この人はお酒飲むとこうなるの?」
「え?は?」
「エロぃよ、この人」
「・・・・・・・・っえ!?」

大谷のその一言で、
菅は一つのことに思い当たる
思い当たって顔を青褪めさせた

「や、や、やっば・・・・・!!」
「え?」
「何が・・・・ちょっちょっと何がヤバイのよ!!」

菅の一言に馨が慌てる
その慌てぶりに焦りが増徴してぼんやりとした明治に手を振って意識を確認した

「か、桂木ーーー?」
「ん?」
「お前、ドンだけ飲んだ?」
「んーーーどうだろう?」

天井を見上げていた視線がゆっくりと菅に向けられ細まる
その顔が・・・・あまりにも、
あまりにもいつもの明治ではなくあの明治に近くて冷や汗が垂れる
そしてこうなった明治は、
自分の上司2人にだってどうすることも出来なくなる

「さ、ささささささっさ、さ斉藤さーーーーん!!」

っぎゃーーーー!!っと悲鳴上げて斉藤の名を呼べば、
その声の大きさに一気に機嫌を急降下させた明治の足が菅を吹っ飛ばす

「っぎゃ!!」
「うるさい、」
「痛いっ痛いから桂木!」
「あっそ、」

むくりと起き上がって乱れた髪をかき上げる
またも先ほど座っていた場所に戻って唖然と自分を見る馨に笑いかけた

「もう少し、つくって貰えますか?」
「え、あ・・・・・えぇ・・・・」
「ありがとうございます、」

にっこりと笑みが浮かぶ
その笑み直撃の馨はイヤとも言えずにむしろそんな言葉が思いつかずに
言われたものをつくり明治に手渡したが、
それが上へと持ち上がった

「それくらいにしておけ、桂木」
「斉藤さん・・・・・・」

桂木の視線が上がり取られたグラスの手の持ち主を睨みつけた

「飲みすぎだ」
「いつもなら、これ以上飲んでますよ」
「その割には酔いが早いようだから止めておけと言ってるんだ」
「イヤですよ」

目を細めてまだ入っているビール瓶をそのまま口につけて傾ける
一気にそれが消えた
その様子を見て斉藤は眉を顰める

「組長がいない所でそんな風になるな、メンドクサイ」
「アレと俺に何の関係があるんですか、一緒にしないで下さい」
「お前のそれを見て一緒じゃなかったら何だって言うんだ」
「俺はあそこまで理不尽じゃない」
「充分にお前もアノ人に近いから心配するな」

嫌な認めたくないと言うよりも、
自分に関係ない事実を突きつけられて明治は不貞腐れたように新しく空けた瓶の口に両手を置いて、
それに顎を乗せた

「どこが?」
「それが」

心底嫌そうに聞き返せば、
即答で指をさされる
その斉藤の指をぱくりと咥えて噛み付いた

「っい゛」
「一緒じゃないし似てもいないし同じじゃない」

それをっぺっと吐き出して、
顎を乗せていたビール瓶をあおった

「このやろっ・・・・・!」
「さ、斉藤さん!落ち着いてっこの桂木に何言っても仕方ないじゃないっすか!」
「ヤリ殺してやる!!」
「ってそっちかよ!!」

青筋を立てて立ち上がった斉藤を羽交い絞めで押さえつける菅、
こんな所で殴り合いは怒られる!
と思っていたらそんな言葉で思わず素でツッコンだその時


バシーーーン!!!



勢いよく襖が開け放たれた










++++++++++++++++++++++++++++++++

ついに本命が大登場です
こっちはコメディ色強めで、