■ 年末年始だぞ、双頭会全員集合!!
目の前にビール瓶がごろりと転がる、
それは一人で空けるには少し多い量
自分も飲み隣の大谷もそれなりに空けてはいるが目の前の桂木ほどではない
それに気づいた馨はちらりと飲ました相手の顔色を窺った
「・・・・・桂木さん?」
俯き加減の顔は先ほどと全く変わってはいない
いないのだが、
先ほどと少し何かが変わっている
声をかけると顔がゆっくりと上がった
「・・・・少し、風に当たってきます」
「え?あぁ・・・・どうぞ」
上がった顔に馨は慌てて視線をずらして返事を返した
危なっかしくもなく立ち上がり、
襖を開けて部屋を出る桂木を見送る
「・・・・・なに、今の?」
「馨さん顔赤い」
「赤くもなるわよー・・・・ちょっとゾクッとしたわ」
「?」
前を向き直って水を飲みながら、
顔を覗きこんできた大谷に苦笑いを向ける
「何か見ましたか?」
「いけないモン見ちゃった気分よ」
「何ですかそれ?」
「わかんない」
分かんないって?と首を傾げた大谷に
自分でも分かんないと笑った
■□■□■
ぱたりと襖を閉めて、
目の前の庭園が広がる窓を開ける
夜更けの風が流れ込んできて熱った頬に当たると大きく息を吐いた
「の・・・・飲みすぎた・・・・」
窓に寄りかかって俯く
西園の事務所で飲まされた時も飲みすぎるぐらい飲みすぎる事はあっても、
ペースは一定
しかも騒ぎながら飲むので今回のように一気には回らないはずなのに先ほどの大混乱の所為で、
自分のペースが狂ってしまった
それにさすがオカマのホステス
タイミングが上手い
小さく深呼吸をして熱い息を吐いた
「やっぱ・・・・さむ、」
吐く息は白く
熱った身体はだんだんと芯まで寒くなってくる
それでもまだ戻る気にはなれずに、
空を見上げた
明るい月と都心のネオンと汚染で月だけがぼんやりと空に浮かんでいる
雲一つない空に
明日の正月は晴れるんだろうなー
なんて思って視線をずらすといつのまに、
本当にいつの間にいたのか一人の男が立っていた
「っひ」
思わず出てしまった悲鳴を上げながら後ずさると、
怖いくらいにキレイな顔で無表情に廊下に上がりこんでくる
「・・・・・・」
「・・・・・なんだ?」
「いや、別に・・・・」
靴を脱ぎながら上がる姿に不信感ありありに見詰めていると
男が横目に見ながら聞いてきた
手にはウィスキーの瓶が握られており
上がったと同時にそれをあおる
「・・・・・・」
「だから、何だ?」
「いや・・・・・」
「じゃーー見てんな見物料としてお前食うぞ」
「・・・・・・は?」
ぐいっともう一度それをあおったかと思うと、
勢いよくガラス戸に身体を押し付けられて唇が重なった
「!?」
驚いて目を見開くも相手は目も閉じる事無く自分を見詰めながら口に含んでいたウィスキーを自分の口に流し込んできた
勢いよく流れ込んでくるその液体が、
吐き出せなく咽を焼きながら流れ込んでくる
「っ・・・・・げほっ!」
「もっと飲むか?」
「いらっ・・・げほ・・・・ねー!」
「そうか、飲むか」
男はニヤリと笑ってまたも顔を近づけて先ほどと同じように口に含んでまた唇を重ねてきた
名前も知らない相手にそんな事をされて抵抗したいのに、
身体は今まさに流し込まれている液体の威力と先ほどのアルコールの所為で力が入らずに
されるがままになってしまう
「んぐっ・・・・・っは、ぁ」
「なかなかイイ顔するなー西園のトコのは、」
小さく呟かれた言葉に眉間に皺を寄せて、
咽を焼くそれに眩暈を覚える
どこまでも強いアルコールなのか味わったこともない酩酊感が襲う
「・・・・・アンタ・・・・・誰だ、よ」
「聞いても知らねーと思うぜ、新人」
するりと首筋を撫でられてゾクゾクとした感覚が襲う
それを振り払って相手を睨むと、
シャツを握られて顔を近づけさせられる
キレイな顔が冷たく歪んだ
「っへぇぇぇ・・・・顔つき変わったな、」
「・・・・・ぁあ?」
ぐるぐるする思考の向こうでかけられる声
何を言ってるのか理解できなくて聞き返すと相手は冷たさの中に欲を含んだ視線を向ける
その顔を遠のけようと押すも、
その手のひらを舐められる
「よるな、」
「気にすんなよ」
「しろよ、」
イライラ感と酩酊感の中、
もう一つの声が聞こえた
→
+++++++++++++++++++++++
名前を出そうか出さまいか悩む相手です
てか、
予定外の人間出してしまった・・・・(汗)