く ら げ
美人が怒ると壮絶とは言ったもので
怒る姿もお美しく、
実際ながら目の辺りにしてると、
そんな感想も頭に浮かばないほど身体は硬直した
あれだ、
蛇に睨まれた蛙
状態
いや、しかし・・・・
目の前の人物は蛇の印象から程遠いし
自分が蛙に例えられるのもイヤだ
そういう問題ではないけれど
硬直してるのも事実で
笑みを称えて俺に跨ってるのも事実で
ちなみに、
まだ菅君もいるのも事実で
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
微妙な沈黙
そして微妙な空気の流れ
作ってる人物も、
作らせた俺も、
巻き込まれてる菅も、
一言も喋らない
って言うか会話と言うか存在を放棄している菅君
空気だ、
俺は空気だから存在しない
そう力強く訴えている
しかしながら、
そんなふうに訴えていても
それこそが存在を誇示しているのも事実で
事実過ぎて気になって仕方ないし
物凄く、
これから何されるのか気になってしまうと言うより、
顔が青くなる
こんな状態で何をしようとするのか、
何をその笑みの下で考えているのか
そんな俺の葛藤も知ってか知らずか
いや、
気にしていないのかも
それとも、
それすらも楽しんでいるのかもしれない西園は、
怒りとは程遠い綺麗な笑みを浮かべ
しかし、
その笑みとは程遠い苛立ちに似た何かをその瞳に称えていた
そして、
長かった沈黙を破る
「あ〜でも・・・・・・何かしたってワケでもないね、」
「・・・・・・」
その話しの切り出しで、
先ほどの話題から逃れられてるわけでもなさそうで・・・・
微妙に尋問体勢と言うか、
何と言うか
「何か、されたって言った方が正しいのかな?」
まー
それはそれでそーなのだけれど、
だからと言ってそれが自分の罪、
罪?
冤罪だと思われるけど、
目の前の西園の個人的法律では重大犯罪らしい罪
『斉藤のキスを受け入れた』
『斉藤のキスで腰砕けた(ココ不本意)』
あぁ・・・・・・
プライドが高い人なら重大犯罪ですね、
うん
よって軽くなるわけでもない
なるわけがない
すっと伸びてきた細い指先が俺の顎に触れる
ゆっくりと
中指と薬指が上へと滑って唇で止まった
ここに・・・・
小さく呟いて伏目がちに指で触れている唇を見詰める
「覚えさせようか?」
「・・・・何を、ですか・・・・・」
「決まってるじゃないか」
くっと中指が口の中に入ってきて、
舌先に爪を立てた
痛みよりも、
何かくすぐったいような感覚が湧く
「俺を・・・・・だよ、」
「・・・・・・」
ゆっくりと今度は薬指も口の中に差し込んでくる、
中指は奥へと逃げる舌先を追いかけてまた爪を立て
薬指は第一関節と第二間節の真ん中で上顎をなぞった
「ぅん、」
「ねぇ・・・・・メイジ」
ぞわぞわとくすぐったさが快感に近い震えを起こし、
キスをして
縦横無尽に動き回る舌で愛撫されてるような感覚に陥る
ただ硬いような柔らかい指の腹で舌をなぞり
えぐつきそうになるほど奥までなぞっていく
歯も撫でたり、
普段舌では触れなさそうな所まで指を這わせてくる
「ふ、ぅ・・・・・・んっ」
ぞくぞくとした感覚が口の中から別な所まで広がる
指があるせいで飲み込めない唾液が口に端から零れれば、
空いている指で、
拭うのではなく肌にこすり付けるように広げていく
耳の付け根まで下りて、
それが首へとなぞられ
咽に到達すれば
首を押さえ込むように軽く絞めてきた
「気持ち良い?」
「ん、」
上から覆い被さるように顔を、
瞳を覗き込まれる
目を細めて笑みを深くし、
俺の反応を楽しんでいる西園
「気持ち良いよね・・・・?」
同意を求めているような声ではなく
確認するように、
そうだと分かっているよ、
と言うような声質
「そうでもないとか・・・・・本当に言える?」
「ふっぅ・・・・ぁはっ!」
いきなり2本の指を下顎の歯に引っ掛けて強く引いた
顎が外れそうなほど強く引かれ、
痛みを感じて眉を顰めれば、
そこに舌を這わして、
べろりと舐め上げた
「ぁ・・・・が!」
「それとも・・・・・・サイトウのようにされるのがお望みか?」
「・・・・は・・・・?」
斉藤のように?
とはどう言う意味なのか、
苦しさにますます眉間に皺を寄せると
その皺に歯を立てた
「・・・・・!」
「経験なんてないと思って、メイジから求めるようにして上げてたけど・・・・・」
前髪の生え際に唇をよせて、
ふっと笑う
「そっか・・・・・・ヒドイのが良いんだ・・・・・」
「・・・・?」
ふふふっとまた笑みを零して起き上がると、
俺の顎を開けて置くように固定していた指を外して
「菅」
「はい」
「ここに宮を呼べ」
「分かりました」
静かな西園の声に菅が機敏に立ち上がる
下で呆然と見上げている俺に視線を合わせながら、
唾液に濡れた指を付け根から舐め上げていた
余りに何かを髣髴とさせる舌の動きに、
思わず視線をずらすと
菅の足が閉められた襖の向こうに消えた
「・・・・・・・」
シンと静まり返る室内
時折、ぴちゃりと響く水音に聴覚を刺激され
居た堪れなさと、
快感が一緒くたになって身体を支配していく
ここで何かを言ってくれれば良いのに、
西園は黙って、
視線を逸らしている俺を見ながら指をしゃぶっているのだろう
何故分かるのかと言えば、
突き刺さるような強い視線が頬に当たっている
いつまで続くのかと思われた沈黙は、
小さな西園の声で終わる
「楽しみだね?」
何が!?
思わず出かかった言葉は強い視線に阻まれて消えた
→
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斉藤のちゅーに対抗する西園さん
顔は笑ってるけど
とってもご立腹な西園さん
ちゅーで攻めないで
指ってのが・・・・・自分的にキタ!って思うシチュでした、
指で愛撫ですってー
・・・・・ぶふっ(ぇ)
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