く ら げ










あぁ


もう後戻りは出来なくなっていた



前を歩くしかない

振り返らない

振り返れない



過去よ
さようなら


未来よ
こんにちわ




その手をとってしまった限り


その手の引く方へ


足元はグラデーションのように





白から黒へ










ただいまの時刻、
午後の6時10分を少しばかり過ぎた頃


結局、
あれから拉致されて
出迎えられた黒塗りの高級車の中に押し込められた
頭をぶつけたが気にも留められなかった
謝罪の言葉がなかった
目の前に星が飛んだ
で、電話越しに笑いながら言っていた薔薇はなかった
痛みを堪えて探してしまった

それはそれで良かった

けれど狭苦しい車の中で着替えさせられた
てか脱がされてる
着せられてる
現在進行形
車は国道を法定外スピードで突っ走る
そんな中、
どんなに喚こうが騒ごうが、
暴れようが嫌がろうが、
西園は笑って聞かなかった
俺の抵抗をものともしなかった
その細い腕のどこに力があるのか
俺を上から押さえ込んで
シートに押し倒され
手際よく?
いやいやいや、
むしろ悪い!

「うっわ!や、止めてくださいっ」

乱雑だ!!
乱暴だ!!

「まーまー」
「そーじゃなくっ」

しゅるりと音を立てて無難な色合いのネクタイを外され
あ、ちなみに今着ている服は自分で買ったものだ
あの時言っていた西園が買った物ではない

「ダサい、良くもまーこんな色の服着れるね」
「お、大きなお世話です!」
「だ〜から〜〜俺が買ってあげるって」
「いや、いらないって!」

思わず素で叫ぶ
ボタンが弾け飛ぶ勢いで・・・・・じゃなくて、
弾け飛ぶシャツの脱がし方で

ビリっ

あ、

「あ、破けた」
「当たり前ですっ」
「まー良いよ新しいのあるから」
「そういう問題でもないですよ!」

カチンと音を立てて弾け飛んだボタンがガラス窓に当たって落ちたり天井に当たって落ちたり
自分に飛んできたボタンがデコに当たって痛かったり
西園はちゃっかりと避けてたり
そんな中で問題発言

「あは、何かレイプしてるみた〜い」

しかも、
笑いながら、
楽しげにっ
俺はされてるみたい、じゃなくって正しくされてる!だっ
世のされた方の痛々しい気持ちが分かる気がします。
いや、男の俺に分かってもらいたいとは思わないだろうが・・・・・・!

「・・・・・ちょっと楽しいかも・・・・・・」

恍惚とした笑み、
俺の気持ちは分かってもらえると思うっ
今現在の心境が!!

「カツラギー」
「何ですか!?」

さすがに目に見えてパニックに陥っていると、
運転席でハンドルを握る斉藤さんは
バックミラー越しに視線を合わせてきて
ニヤリと底意地悪げに笑った

「諦めな、」
「は?」
「お前の服・・・・・トランクに山ほど入ってるぜ?」

くいっと親指が後ろを指し
一瞬なんのことか分からなくって眉間にしわがよる
で、何のことか理解した後に、

「・・・・・・・・はっ!?」
「暇だから買ってきちゃった」

それに続くように西園も笑ってリヤシートをパンパンと叩いた
暇だから?
買ってきちゃった?

「はぁ!?」
「スーツもシャツもネクタイもインナーも靴も、全部俺好みでね?」
「・・・・・・・・!!」

気が遠のいた
抵抗の手が緩む
ダランっと垂れた手を今のうちにと言う感じにシャツを脱がされて着せられる
ボタンもきっちり留められてネクタイもゆるく縛られる

もう力も抜けて、
やる気も殺げて
脱力しながら目の前の男を見上げた
心底楽しそうにズボンを脱がしていた

「・・・・・楽しいですか?」
「ん?」
「ただのしがないサラリーマンにこんな事して、こんなに金か掛けて・・・・・」

あの時に着せられた服も高い服だったが、
今着せられてる服も高いものだろう
下に落とされた黒い紙袋のシルバー文字は見たことあるロゴだ
それに視線を一瞬向け戻すと、

「うん」

にっこりと笑う
即答
馬鹿だコイツ
失礼ながら思ってしまった
きっと傍から見たら俺のが馬鹿かもしれない
だってスラックスを半分まで履かせられてる格好だし?

「楽しくなくちゃ出来ないでしょ?」
「・・・・・・・」
「ま〜〜こんな事よりも楽しい事もあるけどさ、」
「?」

あとはチャックを上げるだけ、
の所で西園の表情ががらりと変わる
目を細めてニヤリと笑った
子供のような笑みから
艶やかに誘う妖しい笑みへと

「シテもいいなら・・・・・・させてくれる?楽しいこと、」

手の平が俺の部分をやんわりと上から下へとなぞった
目を見開いて起き上がろうとするが、
上から全体重を掛けるように押さえ込まれては身動きが出来なくて

「俺が口でイかせてあげる?それとも俺の中でイカせて上げる?」
「っ!」

何度も何度もなぞるようにゆっくりと押さえる
手で覆うようにしたまま

「ま、時間もないことだし中は無理として」

べロンと舌を出して

「俺、ウマイよ・・・・・舐めるの、」
「・・・・・ニシ、ゾノさ・・・・・・」
「目的地に着くまでに舐めててあげようか?イカせてあげようか?」

なぞられて揉まれれば反応するのは男の生理現象で、
少しずつ強張ってきたそれに顔を近づけてくる西園
布越しに舌が這って
歯が当たる

「っ」

思わず跳ねた腰
その細められた瞳から視線が外せなくって
目を見開いたまま固まる

「どうする?」
「どうする・・・って・・・」
「シテてあげる?俺としてはしてみたいかな〜」
「・・・・・・・」
「お前が、どんな顔してイクのか・・・・・見たいなぁ」

ちゅぅっと吸い付いて、
そのまま上目に視線が合わせられる
急な出来事に思考はショートして
今の状況に脳がついていけない
最初から意味のなかった抵抗も忘れ
ただただ見つめてくる西園に視線を合わせる事しか出来なくって

「・・・・・・どうする、メイジ・・・・・?」



痺れるような腰の感覚と

西園の声に犯されるような感覚と


伸び上がってきた

間近にある

赤い唇と

濡れたような飴色の瞳



誘われるがままに


ココがどこだか忘れ

相手が誰だか忘れ


近づいた顔に





無意識に目を眇めさせた




→ 5







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4話目・・・・・・・
微妙な感じで要素をめり込ませてみました・・・・・が!
如何なモンかと、
自分的に如何なモンかと!!
思うわけでして・・・・・えぇぇぇっと・・・・・

どうしよう・・・・・
何かヤっちゃった!感がデカイ・・・・・!!



スッキリしたようでしてないような・・・・?
思いつくまま書く、そんな感覚が戻ってきて・・・・・・あれ?