をした王様




































「って言うか、ホントの話しなの?」
「何が?」

あれから広い談話室を占拠して、
ドンちゃん騒ぎを起こしている
飲めや歌えや騒げの迷惑行為といっても過言ではない馬鹿騒ぎ、
これでよくも先生も管理人さんも怒りに来ないと思ったら・・・・
ちゃっかり混ざってるしー
で、俺はと言うとー
あれから榛原にキス以上のほにゃららをつい先ほどまで施されて、
どうにか説得して混ざらしてもらったわけでして、
って言うか・・・・
腰が痛いです!!

「で、何がホントの話しなのだって?」
「え?あ、うん・・・・さっきのタケが言ってたやつ」
「・・・・・・あぁ・・・・アレね、」
「そうそれ、」
「ホントの話し、詳しく聞きたいならタケ呼んでみ?教えてくれるよ」

そう言って、諫早さまは眠そうな目を擦りながら自分からタケを呼んだ

「何々〜〜〜??」
「七緒がさっきの話を詳しく知りたいんだって」
「さっきのって・・・・・あぁ!1月1日生まれの人にはきっすをプレゼントってやつ?」
「そうそれ!」
「マジマジよ〜ん!だって、それを決めた生徒会長っての俺の従兄の同級だし」
「へーーーー」
「・・・・んじゃ、勝手に話しておれ寝る」

そう言ったかと思うとコロンとソファーに寝っ転がって俺の膝の上に頭を乗せる

「うん・・・・って、え!?」
「何、やなの?」
「いや、光栄っす!!」
「だろうな、じゃーーおやすみ」

だろうなって・・・・!!
オットコマエです!!
諫早様!!
で、続き続き!

「で、その辺のところ詳しく教えろや!!」
「いいっすよ〜〜ん、あのねん北原千晶って人が決めたのですよ」
















11年前














「今年の一年はカッワイイのばっかだな〜」
「そうかもね〜・・・って、お前」
「何かね、その嫌そうな顔は!」
「嫌にもなるわっまたロクデモないこと考えてやがるな!?」
「人聞きの悪いこと言わないでくれるかな?」

生徒会室、
窓から見下ろすのは新入生、
と言ってもこの殆んどが持ち上がり組だ

「今年も賭けをしましてな、」
「やっぱり・・・・・!!」

そう賭け、
昔っからの腐れ縁の性質の悪い二人の悪趣味な戯れごと

「去年は僅差で俺が勝ったが、今年は大差を着けて勝ってやろうと思ってな!!」
「お前ら・・・・・!!」
「ひがむなよ、モテすぎる男の嗜みってやつだと思え」
「ひがむか!!」

そう、
目の前の男、
この学院を思うがままに動かす生徒会長である北原千晶 -きたはら ちあき-
自分でモテすぎると言うが、
実際ソレはまったく以って過言ではない
一年にありながら異例の生徒会長就任を果たしたと思ったら3年連続その地位を不動にしている
しかも成績もスポーツ然ることながら絶大なる人気を誇り
全校生徒の半数以上がこの男を崇拝していると言っても何ら不思議ではない
ソレもそうだ、なんせ声が掛かるとしたら
【千晶様】
なのだから、
しかし・・・・神様も公平なのか不公平なのか、
それともただの遊び好きなのか?
優秀な成績と何をやっても完璧な運動神経
誰もがうっとりするほどの整った顔立ちを
イヤと言うほど、
おつりが来るほど与えたのだが・・・・・
如何せん性格が宜しくない、
すこぶる宜しくない!

「いつか絶対にお前背後から刺されて死ぬな!」
「はっ!!俺がそんな馬鹿でアホみたいなヘマするとでも思ってるのか?」
「・・・・・・・っく!!」
「ま、一時でも俺に愛されたんだ、ソレくらい良しとしろって、な?」
「豆腐の角で殴られて死んでしまえ!!」
「俺は死なん!!」

そう、
自意識過剰で
自分勝手で
我侭で
自分の思い通りにならなければ気がすまない!
そんな最低最悪な男、

「お前ら・・・・2人で刺されて死んでしまえ!!」

そう、
こんなのがもう一人いるから世の中間違っている

「お前らって・・・・・私の事かな?」
「よー吹雪、遅かったな〜」
「ま〜ね・・・・・で、何故にワタシが刺されて死ななければならないのかな?」

和風美人、
そう形容するのが一番しっくりくる、加賀山吹雪 -かがやま ふぶき-
洗礼された美形が吸い込まれそうなほど美しくもう一人の男に笑いかける
一瞬だけ動きが止まったが、
それでも数秒で自分を取り戻してきゃんきゃんと吠え掛かる

「お前らだ!!お前らっ・・・・・千晶と吹雪だ!!」
「何だ〜カルシウム不足か、和?」
「あまり怒ると身体に悪いですよ?それに、何をそんなに吠えるんですか?」
「吠えもするだろっ!!お前らがそんな事ばっかりしてるからっ俺にとばっちりが来るんだ!!」
「そんな事?」
「俺とお前での賭けの事」
「・・・・あぁその事ですか・・・・たぶん、千晶も言ってたかと思いますが、モテすぎる男の嗜みですよ?」

そう言って、
タイプの違う美形が揃って吠える男に笑いかける、
怒りに顔を染めるのが、
この2人とは幼稚舎の頃からの切っても切らせてくれない腐れ縁に縛られた
愛染和 -あいぜん なごむ-
である、

「お前らっっっ・・・・・・・・刺されて死んじまえーーーーー!!!!」

肩を震わせたかと思うと、
そう、お子様みたいな捨て台詞を吐いてこの部屋から脱兎の如く駆け出て行ってしまった

「相変わらず元気だよな〜和の奴」
「そうですねぇ・・・・・そんな所も可愛いんですけどね」
「あいつ、自分のそう言うところ自覚してネーもんな?」
「まったくです・・・・・ところで、賭けの件ですが」
「おう、まさかしねーわけねーよな?」
「勿論ですよ・・・・今年こそは、モノにして見せます」

何に対しての決意なのか、
キレイな顔を歪めるように笑う
捕食者の笑みだ

「ま、今年も無理そうだな・・・・・アレはアレだしな、」
「今年は違いますよ、」
「せいぜい足掻けや」
「・・・・・・そう言う千晶も落ち着いたらどうですか?」
「俺!?有り得ないねっ、俺が本気になるような奴なんてそう簡単にいるかっての」
「さ〜・・・・今年はどうでしょうね?」

吹雪の不敵な笑みを受けて、
そろそろ時間だと立ち上がる




春、
温かい風に乗せてそれは突然やって来ていたのだった