■ 黒猫を連れたお姫様 ■












見てはいけないものを見てしまったその時、アナタならどうする?




取り敢えず

僕は














「悩んでみたいと思います。」

なぜに!?
ここは芸人は一世一代の大勝負ですからね!
これで技量が決まるわけですよ!
でもね、でも・・・・

「僕は芸人じゃありませんから!!お分かり!?」
「独り言ですか?」
「勿論ですとも!!」

大きく頷いて現実逃避。
・・・・なってないか・・・・・
はぁっと大きく息を吐いて、目の前の超愛らしい少女に目を向ける
年の頃なら10歳〜12歳
腰までの真っ直ぐで綺麗な艶々した黒髪
頭の上にちょっと横にずらした所で結ばれた白いレースのリボン
白磁の肌とはこう言うのを言うんだと見本のような白い肌
手にはちょっと大きめの黒い猫の人形を抱いている
これくらいなら場所も場所なだけにどっかのお姫様って感じだけど・・・・
ちょ〜〜っとソレを疑いたいのは、
この女の子の瞳が、
血を滴らせたように赤いからだ

「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

無言でお互いを見つめる
何でさっきから僕がテンパってるかと言うとですね?
最後に聞いたニトの言葉がグルグルと頭の中を回ってるからなんですよ!!




回想




「ソレよりも、気をつけて欲しいことがあるんです。」
「なんざんしょ?」
「ここはですね、とてもとても古い土地で古い城です。」
「見た目では判断できないけどね」
「えぇ・・・でも、凄く古くからある城です。で、ここには色々な人が人ではない者まで住まう城です。」
「・・・・・・・」

脅しですか?
そうなんですか、ニトさん・・・・・??
さすがに僕、泣きますよ??
固唾を呑んで先を待つ。

「それは、私たちにとって良いモノも悪いモノもいます。」
「・・・・・・・」
「それは見えない人には見えないですけれど、見える人には見えてしまいます。」

真剣なニトの様子におどけてこの話しの腰を折ることが出来なかった。
いや、真剣だけだったら出来たけれど・・・・内容が笑えない。
笑えないってか・・・・怖いんですけど!!

「【黒い猫を連れた紅い瞳の女】には、出会わないように。」
「ななんあなんあんあ・・・・んあんで、誰ですか・・・それは?」

おもいっくそ噛んでしまった!
動揺しすぎ!!

「それは【死神】と呼ばれる者です。出会ってその女に笑いかけられたら死が待っていると言われています。」
「その話し・・・・マジ・・・・?」
「えぇ・・・・久し振りではありますが、つい最近あらわれたそうです。」
「え!じゃっ・・・・・・!?」
「はい、ココで働く者が一人死にました。」

死因は不明。
いたって健康だったその人は、発見された時にはもう息をしていなかったそうで・・・・・
眠るように死んでいたと言う。

「ですので、取り敢えず出会わないように。」
「え!そんな感単に言って会わないってことできる!?」
「さぁ・・・・でも、私はずっとココにいますが未だ出会ってませんし。」




首を傾げてニトは言った・・・・・・・




「無責任ですからニトさん!!」

だって・・・・
だって!!
だって今現在オイラの目の前にその言ってた人居るんですもん!!
てか、猫は居ないですけど!
女の人って言うより女の子ですけど!!
は!
いや・・・もしかしたらオイラの勘違いってのもあるか!?
恐る恐る少女に問いかけてみる。

「え〜〜っと・・・・君って・・・・・【黒い猫を連れた紅い瞳の女】って人知ってる?」

僕の質問にきょとんとした後に、

「・・・・知ってるけど?」
「知ってるんだ・・・・・知ってるだけ!?」
「うぅん・・・・だってそれ、アタシだもの。」

Oh!ジーーーーーザッス!!
やっぱり!
や〜〜〜っぱりね!!
そうじゃないかとは思いましたよ!?
でも夢を見たかったの!!
儚い夢だったとしてもね・・・・・・
己の指で己を指して少女が爆弾を投下した。

「終わった・・・・・僕の人生・・・・・たった16年で終わった・・・・・・・」
「早い人生ね?」
「そう思うよね?ってか君のせいですから!!」
「・・・・・アタシ?」
「そう!You!!」

君があらわれなかったら僕死なずに済んだ・・・・・
けど会っちまったら死んじまう・・・・・

「最後に一目見ときたかったな・・・・てんちゃん先輩、洲先輩・・・・そしてエド・・・・お前にぎゃふんと言わせることできなかった・・・・悔し!!」

あの人を馬鹿にしたような態度、顔を崩してやりたかった!!
叶わない夢だったけど・・・・・ぐすん・・・・

「ねぇ・・・・アナタ名前なんて言うの?」
「名前聞いてどうすんのさ・・・・・名簿にでも書き込むのか?」

てか書き込んである名簿に載ってるのかチェックするためか?
てか名簿ってあんのか?
こんな非常事態でもふざけてしまう自分を殴ってやりたい・・・・・・
がく〜〜んと力の抜けた身体を壁に寄りかからせて女の子を見る。
にっこりと笑ってた・・・・
笑ってらっしゃるよ〜〜

「違うわ、お友達になりたいの。」
「へ〜それはそれは簡単な事ですね・・・・」
「そうね、で?名前は?」
「名前・・・・名前は、アリスって言うの・・・・で死神さんは?」
「アタシ?アタシは、リーカイシェイルフよ。」
「言いづら!!」

舌噛みそう!!
一回じゃ覚えられませんから!!

「短くして呼んでもイイ・・・・??」
「どうぞ、好きに呼んで?」
「そ〜〜ね〜〜〜」

う〜ん
う〜〜ん
う〜〜〜ん・・・・
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・
よっし!

「リリカ、リリカちゃんね!!」

可愛い名前だ!
そう思って言うと、一瞬だけ顔を強張らしたが・・・・すぐにふにゃんと表情を崩す。

「アナタが呼ぶと好きになれそうな名前だわ。」
「そう?」
「うん・・・・ずっとそう呼んでいて?」
「?良いけど・・・・・・・・・・・ん?」

ずっと?
ずっとって言いました?
何でずっと?

「え?ずっと?何で?だってアタシ死んじゃうんだよ?」
「どうして?アナタは死なないわよ?それとも死にたいの?」
「いや、死にたくはありませんけど?」

え?だって・・・ねぇ??
見・・・・ちゃったんだよ?

「だってリリカの事見ちゃったんだよ?しかも笑いかけられちゃったんだよ?」
「そうね、でもアナタはまだ死ぬことを許されていない魂よ。」
「許されてない・・・・・は?」
「取り敢えず、アタシを見ても死なないって事よ。」
「マジで・・・・・??」
「えぇ」

マジで?
死なない?死ななくて済む?
できなかったアレやコレやソレやドレもできちゃうっての!!

「やった!やった自分!!ビバ!!」

ぐっと拳を天井に掲げて喜びのポーズ!!

「うっしゃほ〜〜〜〜〜〜い!!」
「楽しい人ね、アリスと同じ名前をしたもう一人も楽しい人だけど。」
「お?同じ名前?てかよくそれを言われるんですが、誰と同じなの?」
「アイリス・シェーター太陽の女神。」
「ほ〜ん・・・・・」
「興味無さそうね?」
「困った時の神頼みしか信じてないものですから。」

そう言うと、何ソレって顔をした。
だってね?
無神論者だったら嘘になるからね。

「特定の神様は作らないの。」
「変わった人ね、この世界では。」
「そうですね〜」

アタシの世界じゃ普通だったけどね。

「まぁ良いわ・・・・取り敢えず、ヨロシクねアリス。」
「こちらこそヨロシク、リリカ。」




天ちゃん先輩、洲先輩元気ですか?
アリスはどうにかこうにか荒波に呑まれて苛められながらも、楽しくおかしく過ごしています。
そしてお友達が出来ました、
聞いて驚けよ!!



その子は【死神】さんなんです!