■ 早起きは三文の得?






























「で、」
『で?』
「やっぱお披露目よねーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

むしろそれ以外ねーよな!!
全国民に喋るにゃんこお披露目じゃーーーーー!!

「いえ、そんな見世物小屋なんて一昔前のお話の中のことなんてしませんのことよ!!」
『・・・・・・考えてはいたか?』
「1ミクロンだけ!!」
『考えただけで有罪だ』
「ッギャーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

えへって笑って言えば、
人間だったらひくりと口の端を引き攣らせたであろう感じ
そんでもってこめかみぴくりと動かしたようなニュアンス!
総合して怒り、みたいな!?
ぶっちゃけ、
カチーンと来たであろうニャガにどすりと全体重がボクにのしかかる

「見た目に反してお客さんけっこう重いですなっ」
『鍛えてるからな』
「割れてるの!?腹が割れてるのっ!?」
『・・・・・さすがに動物の身体じゃ割れはしないだろう・・・・・』
「んだよっ根性で割ってよ!」
『それじゃお前のその頭の悪さも根性でどうにかしてみろ』
「無理!!」
『それぐらい俺も無理だ』

いや、待て
いやいやいやいやいや、待て待て待て待て!
もしかして、もしかしなくても
ボクってば引き合いだされて貶された!?
むしろ馬鹿にされた!?

「馬鹿にしたな!?」
『今頃か、今頃になって気づいてそれか』
「馬鹿にしたーーーーー!!」

ひぎゃーーーーー!って叫んで暴れるも
見た目の細さに反してニャガったらマジで、
マジもんで重いんですよっ
重いあげくに力もあるのか動けない!!

「ふおーーーーー!!」
『甘いな』
「ふごっ」

頭を仰け反らしてエビ反るも、
敢え無く肉球に敗北宣言
って言うかニャガの手先で押さえつけられて終わるボクの非力さって何?
どんなもん?

「ボクって・・・・・非力だったのか・・・・!!」
『今頃自覚しても無駄だ』
「努力あるのみ!!」
『無だな』
『ふおーーーーーーーー!!』

もう一度、
エビ反ってみるけれど
今度は顎先で軽く押さえ込まれる
なんのこれしきーーーーー!!

そんな事を、
延々と一時間続けていた・・・・・
ボクって・・・・
ボクってすくいようのない馬鹿・・・・・なのかな・・・・

『どうした?』
「人生に疲れました」
『青二才が何を言う』
「じゃー腹筋に疲れました」
『未熟者めが』

え、
いつから筋力トレーニングメインになったの?
え、いつから?
いつから体育会系!?

『まだまだ修行が必要だな、アリス』
「コーチ・・・・ボクって見込みがないのでしょうか?」
『努力すれば報われる』
「コーチ!」
『人生まだこれからだ、手を抜くな』
「はい!!」

きらきらと壁に夕焼け美しい海辺が見えた気がした
気がしただけで錯覚だって分かってる!
むしろちょっとノリの良いニャガにびっくりさ!

『ちなみにコーチって何だ?』
「自分のクローンを作り出そうとして愛しちゃって改心した死んだ庭球の男」
『・・・・・・・』
「何かを極めて教える人?って言うかクラリスみたいな人?」
『あぁ』

え、納得してくれたの!?

「クラリス知ってるの?」
『風の賢者だろう?』
「そうなの?」
『・・・・・・・』
「てっきり洲先輩に尻に敷かれた人なんだと思ったー」

哀れな・・・・・何て呟きが聞こえた気がした
そう思えたのは、
ニャガの顔がそんな顔してたから
一人そんなことを考えていたら


コンコン


「失礼いたしますアリス様、いつまで寝てらっしゃるので・・・・おや、めずらしい」

そんな嫌味とも取れる言葉を言いながら入ってきたのは
案の定な感じでニトさん

「ニトさん、めずらしいは余計です!」
「何を仰いますか、こうやって起こしに来ても起きないアリス様が」
「・・・・・お、おおお起きてる・・・もん」
「へーーーー」

温い笑みで
あーそうですか、的なニュアンスの「へーー」だしっ
明らかに信じてないって言うか、
何をぬかしてんだこのやろう的な感じ!!

「ニトさん・・・・・近頃つめたいぃぃ」
「ワタクシも強かさをアリス様に教わったもですから」
「ぐふっ」

いたっ痛い!!
その言葉がボクのシャイな心臓につきさっさった!!

「心臓がシャイって何さ」
「さ、アリス様!独り言は後にして朝食を早く済ましてください」
「・・・・・・・・うぉーーーーいす、」
「返事は、はい」
「・・・・・・はい、」

躾に厳しいママさんのように、
細かいやり直しを言い渡されて渋々返事を返す
つかさ、
独り言ってさー後にするもんじゃないと思うのよね、
むしろ後に何しろって感じだよね
つかさ、
つかさ!
とあることスルーされてるんですけど!

「ね〜〜ニトさん」
「何でしょうか?」

ボク付きのメイドさんクランチェシカちゃん達とともに目の前に並べられる朝食の準備
サラダやら果物やらと朝からボリュームたっぷり
ちょっと「それに目をキラキラさせながら
用意にせかせか動くニトさんに問いかける

「・・・・・怒らないの?」
「何をですか?今日はめずらしく早起きなさってますから、怒る要素はないですが」
「いや、だから珍しいは余計・・・・じゃなくて、」
「はい?」

手を止めて椅子に座ってマテの体勢のボクに、
首を傾げてきた
え、だってね・・・・
こう言う事で一番怒りそうなのってニトさんポイと思うのよ

「え・・・・だから、これ?」
「・・・・・これ?」

ベッドに寝そべりながら毛づくろいしているニャガを指差す
すると、
ニトさんの他のメイドさん達も揃って指差す方に視線を向けた

『・・・・・無駄だ』
「え、何が?」

ニャガが
ぺろぺろと前足を舐めて顔を洗うのを見ながらその言葉に首を傾げる

『すぐに分かる』
「何それ、」
『見てみろ』
「?」

長い尻尾の先がゆらりと揺れてボクの左を指した
そちらへ視線を向けると訝しげるような表情でボクを見ているニトさん
と、クランチェシカちゃん達

「・・・・・・・う?」
「アリス様?」
「ぅえ?」
「どなたと喋ってらっしゃるのですか?」
「・・・・・・・・・・・えぇ?」

ボクを見て、
ニャガがいるベッドに視線を走らせてまた僕に視線を戻すニトさん

『ほらな』
「え?え?」
『お前以外に俺は見えていないのだよ』

ニャガのにやりと意地悪を浮かべた笑み
驚いて、
思わず叫ぶ

「えーーーー!?」
「あ、アリス様?」




ちょっとそれってさ!!



もしかしなくてもさ!!





「ボクが危ない人って言うか頭弱い人に見られない!?」



「今頃遅いですよ」
『今頃遅いだろうが』






何て息ぴったりに言わなくたって・・・・・・・・!!!