□ 待てない夜の過ごし方 □









やっぱ説明がなかったので、無理やりにでも正気に戻させて聞き出しました。






「けんじゃ・・・・・??」
「そうだ、この世界に4人しかいないうちの一人だ。」
「・・・・・」
「風の賢者、クラリス・エンティアム。」
「あ〜・・・・」
「ん?」

初期段階での質問をしたいと思います。

「けんじゃって、何??」
「・・・・・・・」

あ〜何かその目、イヤ。
馬鹿にしてんのとはちょっと違うけど、まだ馬鹿にされたほうがマシな感じの目。

「言っておきますけどね、アタシのいた世界じゃ【けんじゃ】って言う職業は無かったんですよ?」

てか、けんじゃは職業なのか?
職業って考えておこう。

「賢者と言うのは・・・何だ・・・・いや、説明した事がないから何て言っていいのか・・・・」

ん〜っと、リズが悩む。
申し訳ないね、頭が足んなくて!!

「道理に通じた賢い人物とでも言っておくのか・・・・あらゆる事を知り、伝え教えてゆくとも言うべきか・・・・ん〜」
「あ〜リズさん、もう良いです裂き続けてください。」
「理解してくれたのか?」
「はい(嘘)」

理解できませんでした。
でも良いよ、そんな事知らなくたって。
そんな事より、クラリス何とかってのが誰だって事ですよ。

「で、そのクラリスって人が何なの?」
「あぁ・・・クラリスは天に突き刺すように立つ高いある塔に住んでいる。」
「ふ〜ん」

ドコだソレ?

「入り口も無ければその塔にすら近づくことが出来ない。」
「・・・・・・教えるって人なのに?」
「あぁ・・・・究極の人間嫌いでね、王である私にすら顔を見せるなんて滅多に無いことなんだ。」

前に見たのはいつだったかな〜?
何て言うぐらい相当昔の話のようだ・・・・・
えーーー??
でも、

「誰かと一緒に来るって言ってなかった?」
「言ってたよな・・・・・それが不思議でならない。」

あの人間嫌いと一緒に過ごせるなんて!
世も末!!
何て感じの驚きっぷりだ。

「一体誰なんだろうな?しかも、その連れが言ったから外に出るって話しぶりだし。」
「凄いことだね!」

何十年も引き篭りしていた人が、一緒にいた人に『外出ようか?』って言われてきた事と同じでしょ?
それって凄いことだよね?
たぶん。
たとえが何だか微妙だけど。

「来るの明日?」
「明日の昼前に顔出すそうだ。」
「ふ〜ん」

そう返してコロコロとベッドを転がり始めた僕に、リズが苦笑を零す。

「眠くなったか?」
「んぇ?何で?」
「いや、アリスがそうやって転がり始めると眠くなる時のようだからな。」

ここ数日で気付いた。
そう言われる。
そう?
そうなのか?

「さしずめ、寝床を探しているようなものだろうな。」
「犬や猫じゃありませんよ、僕は?」
「そうか?似たようなモンのような気がするぞ?」
「失敬な!」

リズの場合、小さいからだろうさ!
プリプリ怒りながら転がり続けると、ぴたっとその身体を止められリズの仰向けになった胸の上に横抱きされる。
そうすると、とたんに瞼が重くなるから不思議だ。
あ〜そう言えば、コロコロ転がる僕を捕まえていつもリズこうするな〜とまどろみ始める意識の中で思う。

「んぅ・・・・」
「おやすみ、アリス」

さらりと前髪を梳かれて眠りを即される。
抗うことをせずに誘われるがまま眠りに落ちていった。






まさか、その連れがあの人だなんて!!

でも、あなたの発言なら出てくるね!
うん!