■ はっぴーめりーくりすます?







<<注意!杏滋が派手に壊れています!!>>








榛原杏滋、18歳、勝負に出ます。





「「「「「メリーーークリスマ〜〜〜ッス!!!」」」」」

ッバババッバババッバッバッバババッバン!!

「誰だーーーーー爆竹してる奴はーーーーーーー!!!」
「火事んなっぞー!!」
「無礼講っ無礼講!!」

今日は12/24、騒がしくもパーティーが始まる。

「って言うかまだイブだし」
「まーまーあと、3時間じゃん、な?」
「あと3時間もある」
「てか、酔っ払いに何言っても無駄っしょ」
「言えてま〜す!」
「俺もーーー!俺もやる〜〜〜!!」

俺の隣で馬鹿騒ぎをしている輪を見詰める友人6人組、
その輪に飛んで加わった健介、
酒が入ってテンションが高くなってる七緒、
ソファーに深く座って苦笑を零す楓、
クスクスと何が楽しいのか笑い続ける聖、
呆れたように突っ込みを入れたのは将馬だ
久し振りに揃ったメンバー
ついでにもう一人いるのだが、
今日は来るのか来ないのか・・・・・・・・・本人の気分次第、

その前に・・・・・その前に勝負だ!!

「お前握りこぶし作って何してんの?」
「いや何、今日という日を素晴らしくするためさ!」
「・・・・キャラ変わってっぞ?」
「気のせいだ!」
「・・・・・」
「ところで七緒!」
「あ?」
「これからふたr」
「七緒ーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

俺の声と被さるように健介が叫んで近寄ってくる、

「何、健ちゃん?」
「爆竹しよぜ爆竹!!」
「は?ここ室内だよ?」
「何ケチくせーこと言ってんの!?無礼講だぞ!?」
「いや、限度があるだろ・・・・って引っ張んなよー!!」
「ついて来いや!!」

嵐の如く消えた2人、
空しく立つ俺・・・・・・

健介・・・・・・・あとで絞める・・・・・・・・

頑張れ俺!!
チャンスはある!
今日と言う素敵なクリスマスイブ!
熱い2人のためにある夜はひと夏のアバンチュールが如く更けていくもんだ!!!

「たった一回きりで気が済むのか?」
「毎日がアバンチュールだ!!」
「アホだろ?アホだろお前?」
「羨ましいのか!?何、お前にもそのうち巡ってくるさ!」
「・・・・・・・・何か変なモンでも食ったか榛原?」
「俺はいつでも正気で元気イッパイだ!!」
「(ダメだこりゃ)」

呆れてモノを言う気が失せたかのように肩を竦めて離れていく将馬を見送って、
次の作戦にいこうではないか!

「題して『名前を読んでコールミー!』」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「七緒ーーーー七緒ーーーー七緒ーーーーー!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「七ちゃ〜〜ん!七緒ちゃ〜〜〜ん!えるおーぶいいーあいらぶ七緒ーーーーーー!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「くそ、これだけ呼んでも無駄なのか・・・・!!」
「お前馬鹿だろ?」
「うお!」
「コールミーって・・・・自分呼んでくださいじゃねーかよ」
「作戦成功!!」
「酔ってんのか?」
「お前に酔ってるるぜ!」
「・・・・・・・・・・せんせー榛原さんが壊れてマース」
「お前に壊された俺のハート!責任とって貰うぞ?」
「ホントに酔ってるだろ?な?酔ってるんだろ?」
「あいをんちゅーーーーーー!!」
「ッぎゃーーーーーーーーーーーーー!!!!」

いっただきま〜〜っす!!

「杏滋!!!」
「楓っ邪魔するな!!切るぞ!!切腹だ!!」
「落ち着け!お前あれほど酒は飲むなと言ったじゃねーか!」
「飲んでない!飲んだのはオレンジジュースだ!!」
「ちなみに俺のカンパリとコップを間違えてね?」

背中から羽交い絞めにしてくる楓と、
笑いながら近寄ってくる聖、

「ひーじーーーりーーー!!わざとだな!?」
「そんな言いがかりでしょー!たまたま隣り合わせに置いただけじゃない」
「「それをわざとって言うんだ!!」」
「そうだね、別に言い方するとね、わー僕って何て悪い子なんだろ〜反省反省!」

全然悪いと思っても無い顔で、
ペロッと舌を出す聖、

「殺意が湧いてきた!!」
「俺はお前に欲情している!」
「するな!!」
「個室は別に用意してありますよ、お客様」
「煽るな聖!!」
「俺はお前に煽られてるぜ!!」
「死んでしまえ!!」

音楽にも爆竹にも負けない大声で騒ぐ俺たち、
世にも不思議な光景

「・・・・・・・・・・・何、してんの?」

そこへ現れた最強の敵

「「「あ、」」」
「・・・・・・・・おのれーーーー出おったなソドム!!」
「は?」
「イズく〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!!!!」
「ナナ、メリークリスマス・・・・あ、まだイブか」
「っきゃーーーーーーーーーーーーーーvv!!」

まさしく真打登場、
笑みを浮かべながら飛んで抱きついてきた七緒を軽く抱きとめる、
その人物とは、
久保田和泉

俺の目下最強の敵にしてライバル!!!!

「和泉、来れたのか?」
「うん、だってナナが来てって言うから、ね?」
「もちですよ〜〜vv」
「何だと!!七緒独り占めにしに来たのか!?こまっしゃくれた奴め!」
「・・・・・・・・酒入ってる?」
「聖が飲ませやがった」
「こんな楽しい夜は、こんな楽しい隠し技を持ってる杏滋出さないとね?」
「収拾付かなくなるんだぞ!」
「そこはそれ、そのために和泉が来たんじゃな〜い」
「終わるまで眠らせとく?煩いし」
「ん〜〜俺的には何でも良いーvv」
「離れて!そんな悪の大王に触れたら悪に染まってしまうわ!!」
「キモイ」
「・・・・・・俺疲れた・・・・・」
「夜はこれからこれから!!」

脱力気味の楓、
無責任に笑う聖、
久保田和泉に擦り寄ってご満悦な七緒、
俺を踏み潰し足蹴にする宿敵久保田和泉、
その足元で睨む俺、

「ほっとこう」
「うんvv」
「杏滋、気をしっかりね!」
「頭、冷やして来い・・・・な?てか冷やしてきて、お願い」
「・・・・・・・・・・・」

外へ蹴りだされる俺、
運悪く標識のポールに頭ぶつけてそのままノックダウン
瞼の裏には俺に笑いかける七緒の姿、
俺の天使!



ブラックアウト





「あのさ、気になったんだけど榛原は?」
「「「「・・・・・・・・・・・あ」」」」
「あ、って・・・・・あ、って!?」

将馬の何気ない一言で気付く俺たち、
そう言えば、さっきイズくんに放り出されたまま姿を見ていない

「・・・・・・ま、榛原だもん凍死なんてしないよ」
「そうだよね、杏滋がそんなヤワな奴じゃないって俺信じてるもん」
「・・・・和泉も聖も無責任だ・・・・・」
「「失敬だな」」
「あーー・・・ま〜いいや、俺見てくる」
「息してなかったら埋めておいていいよー」
「和泉!」
「大丈夫!捕まる心配は無いから!」
「聖も!」

そんな皆の声を背に外へと出る

「・・・・・さむ!」

マフラーを首に巻いて、
コートの襟を合わせて辺りを見回す、
月明かりで見える範囲には何もなかった、

「・・・・拉致られた?」
「んなワケ無いだろうが」
「うわ!」
「・・・・・俺は一体なんでこんな所で寝てたんだ?」
「急に後ろに立つなよ!」
「そりゃ失敬」

驚いて飛び退く俺の後ろにボーーーっとした顔で月を見上げる榛原、

「覚えてねーの?」
「さっぱり」
「マジかよ・・・・・」

先ほどまでの奇行を?
あんだけ不可思議な行動と言動を取ってたのに?

「何か・・・したか俺?」
「したけど・・・・・・あーうん、忘れたままでいた方が良いと思う」
「??」
「ところで・・・・寒くねーのか?」

薄着に近い格好に見ている俺までが寒い

「寒い、凄く」
「だったら中に入ろーぜ」
「いや、もう少し待て」
「あ?寒いんじゃねーのかよ」
「寒い、凄く・・・・けどもう少し・・・・・」
「??」

空を見上げ続けていた榛原が、
苦笑を浮かべて、
携帯に目を向ける

「何?」
「あと少し・・・・・・・・・・・」
「あ?」
「2・・・・1・・・・・七緒」
「?」
「メリークリスマス」
「え?」

フワッと榛原が笑った
それと同時に、
唇に軽い感触

「!!」
「取り敢えず俺からのプレゼントだ」
「っい、いらねーよんなモン!!」
「そうか?まー受け取っておけ」
「〜〜〜〜〜〜!!」

避ける余裕も、
何もあったもんじゃなくって
思わず口を覆って笑う榛原を睨み上げれば、
ただ笑う顔しかなくて、
いつもの人を食ったような表情じゃないから、
怒る気も失せてしまって・・・・・・



だから、
これからした俺の行動は、
今日のこの日の所為だ



「・・・・・・オイ、」
「なん、」
「・・・・・・・受け取っておけ!!」

首に巻いていたマフラーを榛原の首に巻きつけ、
それを引っ張って自分に寄せる、
先ほどと同じように軽く、
俺から触れ合わせた

「っ!」
「今日だけ、特別だ」


呆然としている榛原を置いて、
中へと入る、



今日だけだ、


自分らしくないような行動をしてしまったが
あんなアホ面を見れたと言うことでヨシとしよう、




今日はクリスマスだし?

ね?