■ スマイル0円なり















目の前の人物、名を杉原 開智 -すぎはら かいち-
成績は優秀、人当たりも良く、明るく、程よく真面目で頼れるお人
先生受けもよくって・・・・・
で、そんな出来た・・・・ある意味できすぎたクラスメートは、
何故だか?
いや、むしろ何をトチ狂ったのか・・・・・

「好きです、高村君。もし宜しかったら僕と付き合ってはくれませんか?」

そうのたまった、
今の季節は春間近、
よってコートを手放すには考える寒さ、
梅は咲いても桜は咲かない
頭がイカレるには早すぎるし、
脳みそ沸騰するほど暑い季節では断じてないから、
トチ狂ったとしか言いようがない

「・・・・・・・」
「返事は、今でなくても良いのですが・・・・なるべく早ければ、僕としても嬉しいかと思います」

返事先延ばしを促してくれるが、
言った傍から催促してやがる
何が言いたい?

「聞いてますか、高村君?」
「え、あぁ・・・・うん、たぶん?」

ポケラッとしたまま杉原を見ていたのがいけなかったのか、
首を傾げて、ちょっと困ったように笑う
慌てて開いた口を閉じて頷く

「たぶん?」
「う?あぁ・・・・・・・って、どこに?」

思わず初歩的でお約束な言葉を吐いてしまった
うん、
混乱してるんだ俺、

「お約束ですね?」
「・・・・・・・」

杉原が、
同い年では有り得ないような大人な笑みを浮かべる
ちょっと怖い

「もしかして、よく聞こえませんでしたか?」
「え、あぁ・・・・・ん?」
「聞こえなかったのですね、ではもう一度言わせてもらいます。好きです高村君、付きあtt」
「わわわっ!同じこと2回も言うなよ!」
「聞こえてたんじゃないですか」

聞こえてたよ!!
ただ単に理解できなかったんだよ!!
俺はお前と違って350人中300番台には入れば良いような頭なんだよ!!
毎回赤点一つはあるよっ

恥かしい言葉をまた言うつもりの杉原の口を覆って止める
されるがまま口を押さえられても杉原は手をどけるでもなく怒るでもなく、
反対ににこにこと俺にしたら胡散臭い笑みを浮かべてた
何か嫌・・・・・・凄く嫌・・・・・・

「で、お返事、いついただけますか?」
「・・・・・・」

普通そんなこと言わないでしょ?
面と向かって早くよこせって言わないよね?
え、言うモンなの?
どうなの!?

「考えs」
「取り合えずで良いので、今決めてもらえますか?」

語尾を攫ったよ!
何だかちょっと強引じゃないですか!?
やっぱ何か怖いよ!?

「えー・・・と、えっと・・・・!!」
「どうなんですか?好きか嫌いかでもいいんですよ?」
「えぇ・・・っと・・・・!!」

そんな、
今すぐ好きか嫌いか答えろと言われても!!
だって俺たち、クラスメートとか言ってもあんま係わりなかったよ?
むしろ全然とか言っても過言じゃないよ?
俺には俺の友達があって、
杉原には杉原の友達がって、
ちょっと俺たちの友達の系統が違うから余計にさ!!

「そ、そ、そんなこ・・・・と言われても・・・・!!」
「好きですか?」
「うぅっ・・・・!!」
「嫌いなんですか?」
「う゛ぅ・・・・!」
「僕は、高村君が好きです」
「!!!」

そんなっおくびもなく言ってのける杉原が怖い
むしろ恥かしい!!
何て言ったらいいんだ!?

「・・・・・・・嫌いじゃ、・・・・・ない?」
「疑問系、ですか?」
「うぅ・・・・だって、」
「では、好きなんですね?」
「いや、そんなはっきり好きでも、ない?」
「・・・・・・・はっきりしませんねぇ?」

そんな呆れたように言わないでよ!
急に言われてすぐに答えなんて出ないでしょ!?
何なの!?

「良いんですよ、嫌いなら嫌いで、そう言ってくださればすぐには無理ですけど諦めますから」
「えっいや、だって・・・・!!嫌いだって思うほど杉原の事、俺知らないし!」
「・・・・・・あぁ・・・・・そう、ですね」
「好きだって思えるほど付き合い深くないじゃん!!」
「でも、僕は高村君の事好きですよ」
「!!」

だーーーかーーーらーーーー!!
何でそんなはっきりきっぱり好きだって言えるんだよーーーーーーーー!!?
聞かされる方の身にも名って欲しいよ!
真っ赤になってるであろう己の顔を意識しながら、
後に出る言葉がつっかえて口がパクパクしてしまう
そんな俺の間抜けな顔を見て、
杉原はさも可笑しそうにクスクスと笑った

「わ、笑うなよっ」
「はい、スイマセン・・・・でも、あまりにも可愛くって」
「かっかわ!?!??」

な、何て何て言った!?
今、この人何て言いました!?
誰に向かって何だって?

「杉原・・・・・きっと視力良くないんだよ、いや間違いなく悪くなってるよ眼鏡k」
「ご心配は要りません、裸眼で両目とも1.8を自負していますから」
「・・・・・・・・」

昨今の高校生にしては良すぎじゃありませんかね?
って言うかそんな事を自負されても・・・・

「じゃぁ仕方ありません」

え、何で仕方ないの?
俺が悪いの??

「好きか嫌いかはっきりさせるために僕の事を知ってください」
「・・・・・・・・」

にっこりと、
俺にしたら物スッゴク胡散臭い、臭すぎる笑みが満目に杉原の顔に広がった
営業のお兄さんスマイル
スマイル、0円なり

「きっと高村君は僕を好きになりますよ」
「・・・・・・・」

どっから来るのかその自信

「いいえ、もう好きになってるはずです」
「・・・・・・」

俺でも分からないのに、
何で杉原が分かるの?

「だって君は、僕を拒絶しなかったから」








そう言って笑った顔が、
本当に嬉しそうで
年相応で
カッコ良かった
何て思っちゃった時点でさ、
もしかして
杉原の手中にハマッタってことなのかな!?

何て思っても後の祭り
俺、
高村 星 -たかむら あかり- は、
敵の罠に逃げ出すのは不可能のほどだったのに気付いたのはそれから先の話し





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腹黒敬語攻×天然ボケ受

が、好きです。
同級生同士ってのがツボです★
同い年なのに相手に対して敬語を使う・・・・・!!
使われた方はちょっと身構えて警戒心とかあったら尚更ツボです★
んで温度のない営業スマイル、
んでもって受を騙す、
そして流される、
いつの間にお付き合いしてた!?
みたいな、ね?マジでツボる(笑)

萌友さんの一言で出来上がった品・・・・いつもありがとうございます(礼)
ホント感謝しています(深々)
お祝いの品にて、