■ 思春期の構造

















この年頃の男と言うものは
そういった事に敏感で
興味は果てしないと思う


求めれば求めるほど

思うが侭

求めるがままに


それが
例えいけない事と分かっていても
駄目だと言われても

興味を抱いたなら
それがとても抗いきれないものだとしたら
ソレを諦めるすべをまだ知らない
それを我慢すると言うことを知らないなら



子供である俺は

求めるがままに

思うが侭に


その衝動を
抑えることはできない




























「清水、日誌は書いたのか?」
「・・・・っえ、俺今日日直だったけ!?」
「日直だよ、早く書けよ帰れないから」
「えーーー水守かいt・・・・っぎゃー!スイマセンっ書く!書きます!!」
「そうか、残念だね」

片手で持ち上げた椅子を今まさに仕事を押し付けようとした清水に向って投げる体制から、
平謝りのように頭をコレでもかと下げる清水にさも残念そうにそんな言葉を吐いて
持ち上げた椅子を元に戻す

「ぅう・・・・なんて書けばいいんだよー」
「仕事をしないお前が悪い」
「だって・・・・う〜〜〜ん、今日なんかあったっけ?」
「聞くな、自分で考えて」

頭を抱えて目の前の日誌を睨みつける清水が、
助け舟を求めるも
その船頭に当たる水守は広げた本に意識を集中して適当にあしらった

「君塚ーお前気になったことあるか?」
「・・・・あ?」
「あ、じゃなくてよー」
「何だよ聞いてなかった、何?」
「だからーーお前が気になったことある?今日」

何で俺に聞くんだよ
そう思いながら
聞かれたことに今日の出来事を思い浮かべる

「あーー・・・・あったと言えばあった、か?」
「おー何々!?何でも良いから書くから言え!」

今日あったことで、
大きな事かは分からないがあったと言えばあった出来事ひとつ
そう口にすれば清水が食いついてきた

「生意気だとか今どきそんな理由で喧嘩売るか?って奴を校舎裏でノして来た」
「・・・・・・・」
「結構ヤバ気な感じで殴ったけどそのままにして置いてきt・・・・っと、アブねー」

今日の出来事一つを口にしてる途中で、
真横から本が目の前を横切る
避けたけれど鼻先に本が掠った
あと一瞬だけでも遅れてたら当たってたな・・・・
飛んで来た方向を見れば水守が俺を睨んでいた

「何だよ」
「何だよじゃないっアノ騒ぎはお前か!!」
「そうだと答えておく」
「偉そうに言うなっ馬鹿モンっがーーーーー!!」

デッカイ怒鳴り声が脳天に落ちる
片方の耳から声が通り抜けて危うく鼓膜が破れそうになる
キンキンする耳を押さえて

「ウルセーなぁ」
「煩いとかの問題じゃないと・・・・思いますぜ、君塚・・・・」
「はぁ?喧嘩売ってきたアイツがヨエーの悪い」
「・・・・・」
「〜〜〜〜っんの馬鹿!!」
「っと・・・・だからお前はすぐに物投げるの止めろ」

またも飛んできた誰かの教科書が鼻先を掠める
さっきから紙一重なのが恐ろしい
怒り心頭の水守
眉がキリキリと寄っていて
どんだけ怒っているのかが見て取れる

「それ、俺も思う・・・・被害者続出だからさ・・・・」

清水が飛んでいった物の行く末に目を向ければ
2人が痛みに悶えていた
そこにあの鈴木の姿もあるのは偶然か必然か

「お前と言う奴は・・・・・・!!」
「まーーでも、水守仕方ないよー」
「仕方なくない!!」
「いやだって、君塚よ?」
「・・・・・俺が何だよ」

殴りかかりそうな勢いの水守の震える手を押さえつけながら
真正面で睨み合う俺と水守に、
清水がはぁぁぁっと深いため息を零した
それに眉間に皺を寄せて問い返せば

「今じゃーーーそんなんでもなくなったけど、コイツ謹慎の常習犯よ?」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・あぁ・・・・ま〜な、」
「そーーだから、今のこの普通に学校にいる君塚のが不思議だね」

言われてみればそうかもしれない
普通に学校にいる俺
不思議で仕方ないだろう
謹慎くらっていないか、
サボっていないか
いてもどっかの教室で謹慎の為に何十枚もの反省文を書かされているかだから
そう考えれば、
不思議で珍しい

「君塚の中で何が起こったのか、七不思議の一つだねー」

なんとも言いようがない
むしろ失礼に当たるそんな一言に俺が呆れれば
水守は呆気に取られて俺を見ていた

「・・・・・あーーーでも、そうだな」
「んあ?」

清水の言葉に思い当たる節があって
呟けば
2人が俺に焦点を合わせた
その一つ、
水守に俺も焦点を合わせて

「暴れると言う衝動を別のものに摩り替えたと言うべきか」
「・・・・・摩り替えた?」
「そう」
「・・・・・・」
「暴れたいと言う衝動を何に変えれば、落ち着くわけ?」

日々の鬱憤と言うか
理不尽な世の中と言うか
自由にならない子供の不自由さの鬱憤を晴らす唯一の方法が
俺の場合は暴力と言う名の
ストレス解消法

「暴れるに摩り替わる一つの方法、俺の場合は」

未だ握ったままの水守の手を開かせて
その手のひらを自分の口元に寄せる
一瞬にして俺の意図を感じ取った水守が青褪めた

「って・・・・ま!!」
「コレだろうな」
「っっ・・・・・・・・・い゛・・・・・!!」

開いた手のひら
薬指を咽奥まで咥えて
付け根に思いっきり歯を立てると
目の前の水守の顔が苦痛に歪んだ
ぶわっと黒い瞳が涙に溢れて揺れる

「・・・・・・お前ねぇ・・・・・・」

俺の行動に目を見開いたかと思うと、
すぐに呆れたように胡乱な目線が俺を突き刺す

「まだ昼間ね、そんで学校で教室で皆さんが目を丸くして見てますわよ?」
「知らねー・・・・お前が聞くから実践で答えてやったまで」
「つーか・・・・めっちゃ痛そうなんですけど」
「だろうな、」

口に広がる鉄の匂いに
水守の指から血が滲んだのが分かる
ソレを啜るように舌を這わせて
口から指を離した

「おっま・・・・えはぁ!!」
「暴れたい衝動を全部コイツに噛み付く衝動に摩り替えてるだけ」
「・・・・・・っっ馬鹿!!」
「馬鹿で結構だね」
「いっぺん死んでから人生やりなおして来い!!」
「たぶんきっと無理」

言いきんなっ!!!
またも鼓膜が破れそうなほど大きな声で怒鳴られたけれど、
気にならないほどに
今のスッキリ加減は言い表せない

「・・・・水守がよく絆創膏くっつけてんのって・・・・もしかしなくても、お前の所為?」

俺が満足げに傷口を見ている横で
清水が答えを見つけ出したような声でそんな事を言った
それに横目でニヤリと笑う

「俺以外にそんな事した奴がいたら、確実に学校には来てねーよ」
「・・・・・・・あっそ、」

ぶっ殺してやるから、
そんなアホな奴がいたらの話しだけれど

「大変ねー・・・・獣相手にしてる奴って」
「・・・・・だったら代わってくれ」
「「丁重に断る」」

清水と俺の声が重なった





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と〜〜〜〜ってもお久しぶりの、
噛み付き話し
意図していた方向へと途中まで進んでいたのに
何だか急に別の道へと歩み始めやがりました
オカシイ・・・・

何だかまたもや、
こんな暴力的(と言っても殴る蹴るじゃ一切ありません!)な愛を書くのが、
楽しくなってきた・・・・・!!
むしろ噛み付くことが愛情表現の一種である話しを書くのが楽しくなってきた・・・・・!

玄ちゃんもね、
たぶんきっと眸ちゃんに慣らされてしまったと思います
・・・・・可哀想・・・・・!!