□ 恵まれなさすぎな小田君に慈悲の声を!










頭が痛いのって
もしかして二日酔い以外の理由からかな・・・・・
そんなため息と共に、
煩い周りに目を閉じた

小田 数登

本日、知ってる人から知らない誰だお前!?的な、見知らぬ奴まで幅広く質問の集中豪雨の被害にあっております
大半は男、
少数の女の子
決まって出てくる言葉と言えば?

『片桐と付き合い始めたって本当か!?』

で、ある
一言言わせて欲しい心境の俺
はっきり言って自分もその答えを知りたいぐらいなのだ

ぎゃーすかぎゃーすかと、
周りで叫ばれては二日酔いの身体には毒というか地獄で、
正直な気持ち、
大声を上げて泣きたい
しかしいい年だし大人だし世間体もあるし
もう苦笑いしか浮かべられない
今じゃもー苦笑いすら浮かべるのでさえ億劫だ

もーホント勘弁して欲しい!!

心の中で叫んだ瞬間、
遠くの方から地響きにも似た足音が物凄い速さで聞こえてきた、
かと思うとドシャーンと言う物が壊れたであろう音を立ててドアが開き奇声が教室内を支配した



「ッきゃーーーーーー!!!カぁぁズちゃぁぁぁぁぁぁぁあっん!!」



そんな雄叫びにも似た声と共に周りを囲んでいた男達が蹴散らされ、
モーゼの十戒のお話しの如くダカラのCMの如く人並みが割れる
その割れた所に飛び込んできた人物と言えば、

「ゆかり・・・・・・」
「取り敢えずっおっはよ〜〜〜〜ん!!」
「おはy」
「ツラ貸せ〜〜〜〜〜〜い!」

挨拶の途中で有無を言わさずに腕を引かれて教室から連れ出される

ありがとーゆかり、
助けて貰えたと都合よく考えておく
でもさ、考えて引っ張ってくれ・・・・・・
ドアに顔面ぶつけたっ(痛っ)

引っ張られること数十秒、
お決まりの階段下
とある丸秘サークルの秘密基地に連れ込まれ、
雑然と置いてあった椅子にドンと飛ばされて座り込む
未だに痛い顔面に悶えていた俺は痛みが治まらないのにも拘らずガックンガックンと揺らされる

「ちょっとちょっとちょ〜〜〜っと!アタシ聞いてない!聞いてないよ!!」
「いっあっは!?」

何が!?とも言わせて貰えずに揺らされて、
何をそんなに興奮状態なのかもう一度、どデカイ奇声を一発
階段下だから響くこと響くこと・・・・・!!
キンキンする耳を押さえながら、
何事か!?と顔を覗かせた人たちに何でもないで〜〜す、手を振る

「ゆ、かっり・・・・!お、おっ落ち着けって、ば、ぁ!!」
「分かった!でもアタシいつもの数倍は落ち着いているからね!」

嘘くせーー!!
誰だこんなハイテンション女を我が大学のミスに選んだ奴!!
取り敢えず審査対象に性格も入れておけよ!!

そう、この目の前にいる相田 由香里 -あいだ ゆかり- は、
我が大学のミスに連続して選ばれるほどの美人だ
巷じゃエビちゃん似とか言われてるんだけど・・・・・はっきり言って、
エビちゃんに失礼よ?
中身が伴っていないからね?
激しく煩い女ですよ?
アン○ンマンのバイキ●マン・フリークだぞ!?
で、そんな由香里との付き合いは高校から
一時期は彼氏彼女の関係もあった
高3にして童貞を捨てた相手でもある、ん?いらん情報でしたかな?
そこ!バックはもっと早いだろう?とか言うなーーーーーー(涙)
けど、その一回きりのムニャムニャで、
お互いがそう言う意味で好き合ってるんじゃないと確信、
今じゃー
男女の親友関係を実証中

「で、どーなのよっどーなのよ!?」

ダークブラウンの緩くカールした髪が乱れるのも気にした風もなく
俺をガンガン揺さぶる

だから落ち着けっての!!
俺を揺らすなってのーーーー!

「はーなーせーーー!!」
「いやーーーーーーーvv!!」

ハートマーク付きの『いやー』の意味が分かりません!!
で、由香里ファンが見たら総攻撃モノのデコピンをその白い額に食らわせてやった

「イッタ!!いたーーーーーい!!」
「俺は気持ちワリーよ!」

やっと開放された俺は未だにグラグラする頭をどうにか落ち着かせて、
デコを押さえながら涙目で俺を睨む由香里に視線を戻した

「で・・・・・お前の聞いてない発言の内容は何だよ?」
「うぅ・・・・・!!あ、うん、あのさっカズちゃん片桐君と婚約まで決めた付き合いしてるってホント!?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

え?何?
何を決めた付き合い?

「え、ごめん・・・・ゆかり、もう一回言ってくれる?」
「うん、だからー片桐君とー結婚の約束までした恋人関係を築いたってホントなの?」
「・・・・・・・おいおいおい、ゆかり〜ココ日本だぜ?分かる?日本、だったら婚約は無理だろうよ、俺もアイツも男だから、な?」
「うん、だから将来は認められた国に行くって?」
「いや、行かねーし」
「えーーーーーだって行くって聞いたよ?」
「・・・・・・誰に?」
「湯崎君」

・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あんの快楽主義者めーーーーーーーーーーーーーーー(怒)!!!

「んなワケねーだろ馬鹿!そんなデマ信じんな!!」
「え、だってそう思って松本君にも聞いたら事実だって言ってたし!!」
「そこで松本にも行くな!!」

アイツだって湯崎と似たり寄ったりだ!!
人選ミスにも程がありすぎだ!!

「えーーーーー!!だって本人もそうだって言ってたもん!!」
「俺は言ってねーよ!」
「いやいやいや、カズ君じゃなくって」
「・・・・・俺、じゃなくって・・・・・??」

も、もしかして?
もしかしなくても??

「片桐君にも聞いたけどそうだって言ってたし?」
「・・・・・・・・」
「あ、ちなみに最後にちゃんと天野君にも聞いたからね!」
「・・・・・健史は・・・・・・何て?」

ま、まさかな・・・・・
まさか幼馴染は売らないよ・・・・な、健史っ

「事実だからその時は皆でハワイで挙式見に行こうな?だってv」
「・・・・・・・・・・」
「アタシ今から楽しみーーーーーー!!」

ハッワイ、ハッワイ!!と手拍子で喜ぶ由香里のデコに八つ当たりと煩い!との気持ちを8:2の割合でぶつけてやる
ズビシっ
と、いい音が鳴った

「イッターーーーーーーーーーーい(涙)!!」
「俺のが痛いわ!」

心が!!

「直接的な痛みじゃないでしょ!」
「間接的がいいわけねーだろ!」
「何よっ幸せモノになるくせに!」
「なるか!」

どこをどうとったらどんな理由で幸せになれるって言うんだ!?
教えてっホントに教えて欲しい!!

「だってあの片桐君だよ!?この大学の大半の女の子がその隣を標的にするあの片桐君だよ!」

標的って何だ標的って!
片桐の隣は的か!?敵か!?獲物なのか!?
いや、獲物はあながち外れてねーな・・・・・
いや、じゃなくって!!

「もーーーカズ君我侭だな!」
「どこが!?何で!?」
「片桐君に選ばれたんだよ!」
「選んで欲しくないから!ホント大迷惑って言うか俺を一人にして!」
「ダメ!」

え、何でそんな力いっぱいのダメ!?
ダメだしに、そんな拳作るほどダメなの!?

「だって考えてもみてカズ君!」
「え?」
「カズ君が1人になって今までに一度でも良い事あった!?」
「・・・・・・・・・・・・・・」

由香里の場違いのような急な変化の真剣な声とその発言に、
思わず押し黙る
って言うか過去を思い出して青褪める

「ナイはずよ!一度たりとも良い事なんてないでしょ!?」
「・・・・・・・・・・・・な、い・・・・です・・・・・」
「でしょ!?高1の時に居残りさせられた教室であったことを思い出して!!」
「思い出したくない!!」

思い出ださせるなーーーーーー!
恐怖が蘇るーーーー(泣)!!
夕暮れの教室であった・・・・・・強●未遂・・・・・・!!
ガタイが半端ない体育教師に机に押し倒されたのが・・・・・・
血走った目
意味の分からない言葉
興奮した息
恍惚とした声・・・・・・

「いやーーーーーーーーーーーーー!!」
「でしょ!その後の指導室でも!」
「イヤーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」

助けられて担任と話しをすることになった指導室でも危うく押し倒されそこなった!!
逃げたけど!
どっちも急所を遠慮なく蹴らさせてもらって逃げたけど!!

「ね、カズ君・・・・カズ君はね、一生1人になっちゃいけないんだよ・・・・」
「ぅう゛・・・・・!!」
「カズ君の周りね、みんなカズ君を狙う狼さんなの!」
「・・・・・うぅ・・・・!」

男の俺が・・・・・俺だって狼さんなはずなのに・・・・・!!
狼が狼に襲われるって、
どうよ?的な、ね?
どうよ?

「助けてくれるのはあの4人だけなのよ?」
「・・・・・」
「面白半分にいるけど、実際に本当にヤバイ時は助けてくれるでしょ?」
「・・・・・・うん、」
「片桐君なんて、いつも飛んできてくれるでしょ?」

そう、なのだ・・・・・
由香里の言うとおりに一番に飛んでくるのは幼馴染の健史じゃなくって片桐だ
中学から一番に飛んでくるのは、
なぜだか片桐で・・・・・・

「このまんま噂どおりに落ち着いちゃった方が良いと思うの」
「・・・・・・・」
「きっと片桐君守ってくれるよ?」

守ってくれるって、
同じ男としてどうですかね?
それを元カノの女の子に言われるってどうですかね?

「俺・・・・・男だぜ?」
「関係ないの!!カズ君には同じ男だってのは意味ナイの!実際に意味無いでしょ!?」
「・・・・・ない、です・・・・・」

悲しいかな・・・・・、
由香里の言うとおりに全然まったくもって関係ない
そんな言葉俺の前じゃ意味を成さない

「きっとそのうち本当に大変なことになっちゃう前にさ、落ち着いちゃいなよ」
「・・・・でも、さ・・・」
「物件としても良いと思うし、ね?」
「いや・・・・だって・・・・・」
「片桐君だよ?付き合った女の子なんて星の数だよ?したら経験豊富だよ?きっとエッチも最高だと思うのよ」
「・・・・いや、つーかそれはどうかと・・・」

いやいやいや、それっは物凄くどうでも良いって言うか
つーか、え?
それって良いと良いわけ?

「いや、カズ君!するなら痛いよりも下手よりも巧い方が気持ち良い方が全然良いじゃない!」
「イヤ、うん・・・・それも一理あるけど」

ん?待てよ?
って事は俺と片桐が?
スルの・・・・・?
あれを?
俺と片桐で・・・・・スルの!?

「スルの!?」
「付き合うんだから当たり前でしょ!!」
「いや、いやいやいやいや!無理っ無理だって!!」
「無理じゃない!!」

今まで友達と思ってた奴とアレを!?
てか片桐と!?



「イヤーーーーーーーーーー(混乱)!!!」




「ふぁいとっカズ君!!」



立ち上がって叫べば、
天井が低かったのを忘れていて思いっきりコンクリートに頭を強打した



星の飛ぶ目蓋の裏に
笑う片桐の顔が浮かんでは消えていく





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『小田君の受難』
今回は何に恵まれてないってお友達に恵まれているようでちょっと恵まれてないかな?
的な小田君でした!
そして由香里ちゃんはただの回し者です(笑)

湯崎と松本辺りで賭けしているが為かと・・・・・!!


頑張れ小田君!