■ 我慢も愛情です














昨日は仕事疲れでお預け
一昨日は俺の帰りが明け方でお預け
その前も俺の仕事
その前は君の用事
その前は帰りが明け方・・・・
結局は君に触れた日を思い出せない
いつだっただろうか?
君に触れて
君の声を聞いて
吐息を聞いて
アノ意識が飛んでしまいそうなほどの
快楽を共にしたのは・・・・

「一ヶ月前ですよ!!」
「だから?」
「だから!?だからって聞いた!?」
「聞きました、もう一度言おうか?」

ソファーに身を沈めて、疲れを吐き出すかのように大きく息を吐いて・・・・

「だ・か・ら??」

その目の前に立つ俺を見上げて言い放つ

「んっきーーーーー!!ムカつく!!」
「ムカつく結構、それより静かにしろ煩い。」
「可愛くない!!」
「もとより可愛くないですから。」
「いやっ昔は可愛かった!!」
「たった二年前の事だろうが・・・・」

聞き分けの無い子供を相手にするようなその態度に泣けてくる。
俺のほうが3つも上なのに!

「成・・・・お前だってここんトコ明け方帰りだったろう?だったら俺に構ってないで、身体休めろよ・・・」
「ヤダね!」
「お前な〜」
「俺の気の休め方は俺が決める!そして俺の気と身体が休めるのは時生と居る時だ!!分かったか!?」
「・・・・・」

びしーーーっと指を突き刺すと、先程より大きな溜息1つ。
お母さん、そんな風に育てた覚えはありませんよ?的態度だ・・・
泣けてくる・・・・パート2

「俺ね・・・疲れてんだよ・・・」
「分かってるよ」
「一日中立ちっぱなしの仕事なんだよ。」
「知ってる」
「客商売なの」
「知ってるよ・・・・」
「しかも、アレから客足途絶えねーのよ」
「・・・・・」

知ってるよ、2、3日前に特集くまれてたの見たもん。
イケメン揃いで、腕は確か!
そんなフレーズでテレビに映ってたお前の事見たもん。

「・・・・・」
「成・・・・?」
「ゴメン・・・・もうイイ・・・・」

困らせたいわけじゃない。
疲れた顔が見たいんじゃない。
癒されたいわけでも、
疲れを取り除きたいわけでもない。
ただ・・・・
話しをして
笑った君の顔を見て
一緒に居たかっただけなんだ

「俺、明日オフだけどずっと寝てるから・・・」
「・・・成?」
「気にしないで仕事行って」
「成」
「じゃ・・・おやす」
「成!!」

俺の語尾を攫うように時生が大きな声を出す。
その時生に背を向けたまま立ち止まって、

「勘違いすんな」
「・・・・何を?」
「邪魔だとか思ってねーぞ」
「気にしてないよ・・・」
「じゃぁこっち向け」
「イイよ・・・俺寝るし」
「向けよ」
「・・・・」
「成!!」

もう一度強く名を呼ばれてゆっくりと振り返る。
いつの間にソファーを立ったのか、時生が目の前に立っていて俺を見上げていた。

「泣くなよ・・・」
「泣いてないし」
「じゃ泣きそう」
「泣かないもん」
「28にもなる男がモンとか言うな」
「・・・・・」
「何で明日オフだって言わねーの?」

ちょっと先程とはニュアンスの違う不機嫌な声に、しゅんと項垂れる俺。
ちょーー情けない。
いや、今に始まった事じゃないとか隣人に言われそうだけど、

「時生が・・・疲れたと知ってるし」
「知ってるし?」
「忙しくて、休めないことも知ってるし」
「ふ〜ん」
「俺のために時間なんか取るわけないと思って・・・」
「取ったよ」
「ほらやっぱ・・・・ぇ?」
「休み、明日はな」
「ぇ・・・え?」
「てか店長が無理やり入れてきた」

え?何て言った?休み?時生、明日休みって言った??
目を見開いて時生の顔をマジマジと見つめる。
そんな俺に苦笑を浮かべて、髪をくしゃくしゃとかき回される。

「明日はずっと一緒に居てやるから」
「時生」
「今日はゆっくり寝かせろよ」
「・・・・うん」

ことんと肩に置かれた頭を抱いて、久し振りの時生の存在をこの身体に思い出させる。

会えないのも寂しくて
話せないのも寂しくて
でもその期間が長ければ長いほど会えた時、話せた時、抱きしめる事ができた時の感動はひとしおで!

「明日は離せないよ?」
「・・・・いいよ」

ぎゅうっと抱きしめる力を強めた。





□ 名前 □
成 -ナル-
時生 -トキオ-

芸能人と美容師の恋・・・・・なんつって!!
これは、未来の話しになるんですけどね・・・・
まぁそんな具合。