■ 無糖の男








何事も自分勝手な人
好きなように好きな事をする人
自分の思い通りに進める人

それが

俺の好きな人



でも?




「はい、ストップ」
「あぁ?」

唇を合わせるために近づけてきた顔をベシリと止める
止められた目の前の人は不機嫌そう

「あぁ?じゃないですよ、ここドコですかね?」
「楽屋」
「誰の?」
「お前の?」
「語尾を疑問形にしないでくださらなくても、俺の楽屋です。」

部屋の外じゃ慌しく駆け回る足音が聞こえる
誰だって入って来る

「俺の楽屋って言うか、遥と俺の楽屋です」
「遥はいねーじゃん」
「いないです。」
「じゃ〜イイじゃん?」
「何が良いのか分かりません」

ぐぐっと顔を近づけてくるのを、今度は両手で押し留める
毎回こうだ

「ってかお前、テレビ出んの?」
「出るわけないでしょうが」
「だよな〜・・・・じゃ、何でいんの?」
「何でって、プロモのスタジオ撮りです」
「へ〜」

話しの最中も顔を近づけてくる
あ〜もう!埒が明かない!

「炯吾さん!」
「ま、取り敢えず一回させろよ」
「い・や、です!」
「いいじゃんキスの一回や二回」
「一回や二回で止まった試しのある人が言ってください!」
「あるある」
「ないっつーの!」

一回や二回で終わったためしがあったら、こんなに拒まないっての!
身体ごと近づけてきたので、今度は足を使って押し戻す

「結・・・・これって、恋人にする仕打ちか?」
「恋人が炯吾さん相手なら、何だってします」
「・・・・・」
「・・・・・」
「ヤめんのヤめた」
「うっわ!」

腹を押していた足を払われて、畳の上に肩を押し付けられて乗っかられる。
ひっじょーーにマズイ体勢。

「どーいーて!!」
「や〜だね」
「人っ人に見られたら只じゃ済まないんですよ!?」
「心配すんな揉み消せるから」
「それでも、です!」
「ウルセー口だなぁ」

肩を左手で押さえつけられ、額を右手で押さえつけられて後数十ミリ!と言う距離でニヤリとほくそ笑まれる。
ムカつく!

「観念しな」
「アンタがな?」

危険な状態の所で第三者の声
ドアをいつの間に開けて締めたのか、腕を組んで呆れ顔で立っていたのは俺の相方

「遥!」
「っち・・・」
「舌打ちせんで下さいね、先輩」
「良いトコだったのに」
「残念でした、早く結から離れる」
「・・・へいへい」

そう言ってすんなり退いた下から這い出て、一息つく。
間一髪だ・・・・はぁ
でも、油断は禁物な訳で、

「結」
「え?」

フイに名前を呼ばれて顔を上げれば軽く唇を合わされる

「っ!」
「コレで我慢してやるけど・・・今日、俺んトコに拉致るかんな」

ニヤリと笑って楽屋を出て行く
口を押さえて、その姿を睨みつけた

「絶対に行かないから!」
「はいはい・・・じゃ〜な〜」

軽く手を振って廊下へ消えた

「ま、確実に拉致られるな」
「・・・・」



炯吾の宣言と遥の言う通りに、取り敢えずそれは実行されてしまったのでした・・・





■ 名前 ■

炯吾 -けいご-
結 -ゆう-
遥 -よう-

題は【芸能人の恋物語(仮)】
嘘です。
ただ今、オイラの頭の中で暴走しています。
ちなみに炯吾×結です
遥は炯吾の小・中学校の先輩