□ Sugar Day ---------------- 猟奇的な彼氏 2















昼休み

戦場と化している購買から、
戦利品である一日限定15個カレーパンとボリューム満点のクラブサンドとくるみパンを手に自販機の前に立つ
紙パックのジュースを選んでいたら

「あ〜〜!!」
「あ?」
「やっべ・・・・・俺忘れてた!!」
「何が?」

隣でもうソーセージパンを咥えていた山崎が大声を上げる
危うく苺ミルクを押しそうになったのを堪えて、
その隣のコーヒー牛乳を購入
ガコンと落ちてきたそれを手に取って慌ててる姿を見詰めた

「俺って今日、委員会の当番だった!!!」
「・・・・・・・」

アホだ・・・・
そう思った瞬間、

ぴんぽんp


『う゛らぁァぁぁぁぁっボケ山崎ーー!!早く来やがれぇぇぇぇぇ!』


呼び出しの途中で大音量の怒鳴り声が響いた
コレを聞いていた生徒は耳を押さえて悲鳴を上げる
中にはしゃがみ込んだ者までいた
俺も例に漏れずキーーーーーンと激しくなる耳鳴りに眩暈を覚えた

「ひぎゃーーーーーーーーーー!!!」

奇声のような悲鳴のような声を上げて山崎は駆け出した
凄いスピード
何人かは吹き飛ばされたみたい
忽然と消えたような山崎を見送って
何だか関係ないのに回りから痛い視線に頭を下げてその場から逃げた

走って辿り着いたのは、
校舎裏にある庭で日陰のある所に座った
急いで走ったために切れた息を整えて、
買ったものを膝の上に広げる

「先ずはーーーやっぱカレーパンだよね、」

うん、
争奪戦激しい限定15個カレーパンの包装を破る
ふわんと香った香辛料の匂いに腹が鳴る

「いただきます」

そう言ってカリカリのそれに齧り付いた

「・・・・・・うまーv」

思わず恍惚としてそれを租借する
ぺろりとそれを平らげて次はサンドウィッチも開ける
我が高のサンドウィッチはコンビニとは比べ物にならないくらい美味しく、
ボリュームが半端ない
だって厚さ10cm
大口開けないと食えない
なので、
俺も大口を開けてそれに食らいつこうとした
したが、

「・・・・・・・・・・・・」

口をあんぐり開けたまま固まった
固まって目の前に立つ人物を見上げた
見上げて
それを誰だか確認して
顔を青褪めさせた

「・・・・・・隣、いいか?」

ぶっきら棒に、
しかめっ面のままに聞いてくる

その人物は、
アラ高の狂犬こと・・・・・・葉月 誠センパイだった

「・・・・・・・・・・」

びっくりして、
何も言えずに見上げていると
同じ言葉を繰り返される

「隣、いいか?」
「・・・・あ、や、は、はい」

意識を取り戻して慌てて頷くと、
葉月センパイは無言で俺の隣に座る
そして手にしていた弁当の包みを開けて食べ始めた

「・・・・・・・」

思わずその弁当の持ち主を誰だか忘れる勢いで、
その中身をって言うか弁当を凝視
だって・・・・・
だって、重箱だよ!?
しかも冷凍モノなんて入ってないよ!?

俺の視線に気づいたのか、
葉月センパイが俺を見ながら

「・・・・・食うか?」
「いやっそ、あ!」

慌てて首と手を振って恐れ多いと訴えるが、
葉月センパイは鳥の唐揚を取って
それを・・・・・
それを俺の口に持ってきた

「・・・・・え?」
「やる・・・・・食っていい」
「えぇ?」

え?それって・・・・・
その箸から?
貴方が使った箸から?
って言うか、
貴方の手から!?
ですか!??!?!

「・・・・・食わないのか?」
「あ、いや・・・・」
「あ・・・それとも、人の箸からは気になるタイプか?」
「いや、全然!!」
「だったら、どうぞ」

あんまりそういった事を気にしないタイプだ
まったくもって潔癖に程遠い性格だ
だから気にしないのだが、
しないんだけど・・・・
如何せんそうしてくる相手が相手だけに・・・・!!
しかし、
持ってこられて食えと言われて断ったら断ったで怖いし!!
でも!!

「それとも・・・・嫌いか?」
「や、だ、だ、大好き、ですけど・・・・・」

『好き』って言葉にちょっとだけ葉月センパイの頬が赤らんだ
気がした、
うん、有り得ないだろうし?

「ん、」
「・・・・・ありがと、ございます・・・・・っ」

口にくっ付きそうなくらいまで持ってこられて、
後戻りなんて出来なくって
しかたなく意を決してそれを受け入れた
口に入れて
箸から唐揚を受け取る
租借すると・・・・・・

「あ・・・・美味しい」
「・・・・そうか、」

物凄く美味しかった
自分の母親の作るモノも美味しいのだが、
先輩の鳥の唐揚も物凄く美味しかった
素直にそう言葉にすると、
葉月センパイが微かに笑みを浮かべる

「・・・・・・・・」

思わずそれに見入ると、
視線に気づいた葉月センパイの顔が先ほどと同じようにぶっちょ面になる
で、黙々と中身を口に運んでいった
気まずい雰囲気に、
俺も手にしたサンドウィッチを口に入れた

「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」

取り合えず、
この沈黙に耐えられなくって恐々ながらに話題を振った

「えっと・・・・いい天気、ですね?」
「ん、」

無視してるのでもされてるのでもないらしい、
俺の言葉に小さく先輩が頷く、
そりゃそうか・・・・
自分からココに座ってきたんだもんな、

「早く梅雨明けると良いですね」
「・・・・来週、あたりだって・・・・・」
「予報でましたか?」
「ん、」

一昨日までの雨が嘘のような
夏特有の水色の空
それを見上げながら手にしたパンを口に運ぶ
ぼんやりしながら食べていると、
ふいに覚えのある視線を感じて
そちらに目を向けた

「っ」
「・・・・??」

すると、
ずっと見ていたのか・・・・・・
葉月先輩と視線が合う
途端に目を大きく開いて、
みるみる頬が赤く染まっていく

「せ、センパイ・・・・??」

おっかない筈の先輩の顔が、
焦ったように赤くなる頬を両手で隠して、
俯いてしまった

えぇ!?
な、何・・・・
何ですかその反応・・・・・??
え、怒らせた!?
てか俺なんかしたのか!?

「ど、どうかしましたか?」
「・・・・・ぎ、」
「え?」

慌てて先輩に問いかければ、
俯いたままの先輩が小さく何かを口にする、
聞き取りづらくて間抜けな声を出せば、
勢いよく先輩の顔が上がって
真っ赤な顔で
眉間に皺を寄せて、

「桜木!!」
「は、はい!!」

大きな声にびっくりして、
って言うかはっきり言って恐怖したのもあるっ
姿勢を正して返事を返せば、
思いがけない言葉

「お、俺と付き合え!!」
「はい!」




・・・・・・・え?
え?


「はいぃぃぃぃっ!?!??!?」










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スイマセン、
終わりませんでした!!
次、
次でーーーーーーーーーーーーーーー!!!