■ Sugar Day ---------------- 一蓮托生で地獄に落ちると楽しいらしいよ?編









学科教室がつらなる中央校舎の2階、
踏み潰した上履きをパタパタ言わせながら高梨と管波が歩いていた
手には今まで受けていた化学の教科書とノート

「っふぅ・・・・あぁぁ・・・・・・腹減ったぁ」
「じっと我慢の男の子だろう、あと一時間授業を受けたらパラダイスだ」
「パラダイス・・・・・俺のパラダイスは、せkk」
「却下」

大きな欠伸の後にそんな発言
管南、間髪いれずに大却下

「却下の意味が分かりません、分かるように説明願いたいです」
「お前の頭の中はそれだけか?と逆に聞きたいです」
「残念ながら俺の頭はそれのみで構成されています」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」

一瞬の沈黙の後、

「高梨」
「何だい管波」
「お前と友達をするのが嫌になってきた」
「そうか?俺はそれほどでもない」
「俺は嫌だ、お前といると俺までお前のように頭の中それで構成されてると思われたくない」
「はっはっはーーー残念だったな管波、もう手遅れだ」

何っ!?
と言いながら隣を歩く高梨を見やれば、
その横顔にはとてつもなく悪どい笑みが浮かんでいた

「おのれ・・・・友を裏切るとわっ」
「一蓮托生・・・・・・俺達、地獄までも一緒だぜ?」
「俺は嫌だっ連れて行くなら伊川だけにしろっ」
「呼んだー?」
「うおっ」

がくがくと高梨の身体をゆすっていると、
ひょっこりと顔を覗かす伊川、

「急にあらわれんなっ」
「じゃー呼ぶなよー」
「呼んでねーし」
「え、うっそだー!さっき遠くから『ちょーかっこいー伊川く〜ん、貴方の大ファンの僕の所に来てー』って言わなかった?」
「「言わない」」
「・・・・・・・・・・っち」

いや、っちの意味が分かんないんだけど?
高梨と管波の頭に瞬時に浮かんだ言葉がハモル

「ま、何だっていんだけどさー何で俺がお前と地獄に落ちなきゃなんねーの?」
「聞こえてんじゃねーかよ」
「俺やだなー高梨と2人っきりで地獄に落ちたら楽しい気がしないー」
「地獄は楽しむためにあるもんじゃねーだろうが!」

管波が思わず突っ込みを入れたのにもかかわらずスルーする高梨と伊川
ちょっと落ち込む、
それでも会話は流れて

「それを言うなら俺は遠野とは落ちたくねーなー」
「・・・・・・・俺か?」
「どわっ」

いつの間にか管波の背後にぬぼーっと立ち尽くす【四天王】の最後の一人がいた、
今日の遠野は【妙薬口に苦し】と赤でデカデカと書かれている

「遠野っ!!黙って背後に立つなって言ってるだろうが!」
「あースマン・・・・・で、俺と地獄にランデブー?」
「え、ドライブするー?」
「じゃー地獄の門まで4人で逝っちゃう?」
「「さんせー」」
「俺は却下!!」
「「「何を言ってるかなー俺たち気の合った仲間じゃないか、どこまでも走っていこうぜ」」」
「親指立てんな!歯、光らせんなっ!キモイ笑顔見せんな!!」

びっと親指を立てて見せて、
3人が管波に同じような笑みを見せて笑う
その親指を順に払い落としていく

「我侭だなー管波ー」
「協調性ないなー管波ー」
「腹黒いぞ、管波」
「最後の遠野の言葉の意味が分かりません!」
「で、高梨の頭の中は何で一杯だって?」

いきなり伊川が話しを逆疾走で戻す
管波が、は?ととぼけた顔をしている間に

「俺の頭の中がイヤラシイ光景で満たされてるのさ」
「何をー!俺だって負けないぞ!」
「・・・・・・俺は晴れ時々せっk」
「張り合うな!そして遠野っ何を根拠にそれだ!」

最後の言葉を言わせずに声が重なってちょっと不満顔

「管波、俺はジロちゃんとの放課後のスキンシップが日課だ」
「それがどーした!?」

まさしくだ、
思わず出てしまった裏拳的ツッコミ
その反応速度と言ったら吉○興業も真っ青だ

「ジロちゃん?伊川、遠野の言うジロちゃんって?」
「あれ、知らない?つい最近できた遠野の大本命ちゃん」
「え、あの見た目は何考えてるか分からないけど実はそこそこエロイ思考の持ち主で遊び人の遠野に大本命!?」
「そう、泣かした奴は結構いる鬼畜の本性をあの無表情に隠している遠野の大本命の一年生」

こそこそっと耳打ちしあう伊川と高梨の話題の渦中にいる一年生が、
今頃、教室で盛大なくしゃみを5回連続して『風邪か?』などと言っているのはクラスメートしか知らない事実だ
ちなみに『馬鹿は風邪引かないって日本語知っているか?』などと言われているのだってこの4人には知らぬ事実だ

「でもな管波、一日最低一回は性欲処理をしないとイケないんだぞ、基本は三回ね」
「一週間に2回やれば充分だ!」
「お前はあの可愛い条塔の彼女とそれだけで済むのかもしれんが、俺には無理」
「あ、俺もそれにはさんせー!」
「伊川二等兵僭越ながら右に同じくであります!」
「だよな〜ただでさへ今、一人に絞ってるからさー溜まっちゃって溜まっちゃって」
「そう、可愛いから底なしにいけるよな?」
「遠野ー気が合うじゃないか〜」
「高梨、今始めてお前を友達と思えた」

おっそ!と思わず心の中で突っ込む管波
その会話に突っ込みも忘れてあんぐり口を開けば伊川が爆弾発言

「って言うかさ、我慢して溜まりに溜まりまくった状態でヤッちゃったら壊しちゃいそうだよな?」
「あ、それ言えてるー」
「経験者は語る、俺は壊しはぐった」
「「やーん遠野くんたらーケ・ダ・モ・ノなんだから〜!!」」
「人間我慢は良くない、自分にも相手にも」
「そっか・・・・そう言うことなら神風特攻隊高梨隊員っこれより襲撃に行って参ります!!」
「「健闘を祈る!!」」
「らじゃ!!」

ビシッと敬礼してどこかへ駆け出す高梨の後姿を見送ると、
後に続くように

「俺も高梨の後に続きたいと思います、ではジロちゃ〜ん遊びましょうー」
「きゃーー遠野さん頑張ってー!!」
「・・・・・・・」
「つーワケで、俺も狩に出てきますvvばいっちゃ!」
「・・・・・・・」

友人が消えた静かになりつつある廊下に立ち尽くす管波
そっと胃を押さえながら

「保健室に行こう・・・・・・・・」

そっと涙をかみ締めたのだった