く ら げ
















背中が痛い

痛い
痛い

じくじくと

痛い
痛い

何かが
俺を
なぞる
なぞっていく

爪を立てるように
ギザギザと
不ぞろいな
揃わない爪で
深く食い込ませるように
深く抉るように

深く
深く

痛みと
痛みを
痛みだけを

この身体に
刻み付けていく

傷つけられて
痛みを与えられて

それだけのように
思わされて

どれだけの時間
それだけを

痛みだけを

じりじりと
痛みを

じくじくと
痛みを

思い出させるたびに

じわじわとした
熱さも

何か
あの人のように

あの人の感情のように

あの人の俺に向ける

視線のように

想いのように









ふと
目が覚めた
うつ伏せのままにしていた顔を上げる
首を少し動かしただけで
項の少し下から
臀部に近い腰辺りまで
びりびりとした痛みが走った

「・・・・・・!!」

声にならない悲鳴を上げて
上げていた首を
顔を枕に押し付けた
押し付けていないと
声を上げそうで
押さえ込むために
叫ばないように
息すら止めるように
そうしていないと
痛みが
じわじわと
神経を犯していく
いや、
もう犯された神経に
これ以上の
痛みと悲鳴を上げさせないために

「・・・・っふ・・・・う、」

枕に歯を立てて
目を開けた
押し付けられた目は白い枕しか見せなく
自由に出来る耳だけで辺りを探る
神経を集中させると
痛みだけを
知らせて
誰がいるのか
誰が何をしてるのか
一体、今は何時なのかを知ることが出来なかった

「メイジ」

そんな事をしていたら
耳元でかすかな吐息
触れる何か
探るように
撫でるように
触れている
耳にかかる髪をかき上げられて
ふっと
笑いを含んだ息を吹き込まれて
痛いなのに
動きたくないのに
びくりと身体が震えた

「きれいに筋彫りが出来たよ」

聞きたくもない
知りたくないことを
教えられて
気を失う
朦朧とする前のアレが
夢でも妄想でもなく
事実だと告げている

「本当は綺麗に色を入れたいんだけど、止めておくね」

俺のためを思って
そう言うように
優しく言い聞かせるような
酷い言葉

「一見では分からないようにはしてあげる、その方が綺麗でも有りそうだし」

すっと
その彫り込まれた背の肌を
あの、
白く細い指先が触れている
触れるか触れないかのタッチで
描かれている線を辿る

「影彫りって言って、身体が熱を帯びると浮かぶんだよ」

綺麗だよね?
きっと、
この肌に映えるよね?
黒い色と
赤い色が

「浮かんでくるんだ・・・・・段々と色を濃くしていって」

その熱が高くなると
色が綺麗にはっきりとしていく
赤が血のように
黒は暗闇ののように

この背に、
この男が言うとおりに

「綺麗だよ・・・・それが浮かぶのを見るのが楽しみだね」

唇を寄せて
愛しげに
傷を舐める

「俺だけが見れるこの色を」

何も描かれていない肩に歯を立てながら

「この俺だけの蝶を」

ついた歯型に
舌を這わせて

「俺のものだと言う・・・・・この証」

狂気を上手く隠して
でも
滴るほどに含んで

酷い男が
慣れたように
酷い言葉を
当たり前のように

その口から
零れさせて

楽しげに
嬉しげに

くつくつと
笑いを
咽の奥で鳴らして

「だから・・・・・もう少しだけ、頑張って」

ちゅくっと
音を立てて
耳の後ろに吸い付いて
離れていく


とたんに
また襲う


痛み
痛み
痛み



痛みだけ









+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

懲りずに
いい加減にしろって言うくらいに
痛い表現のオンパレードで
申し訳ないと言うか
正直
コレを楽しんでる自分がイターって肩を落とす
ダメですかね
ダメですよね?
面白くないですね

つーか
早く意識取り戻せ明治!!



サイトTOPへ