J e l l y F i s h








酒を飲むと人格が変わる奴がいる
昔の人はよく言ったもので、


酒は魔物だ


・・・・・俺のじいちゃんは言っていたから世間でそうかは定かではないけれど、
取り敢えず俺はその言葉には賛成だ

人は酒を飲むと変わる
普段は大人しい奴が煩くなったり
強気でいた奴が泣き出したり、
温厚だったと思ってたら暴力振ってきたり、
無口だと思ってたら饒舌だったり

そんな中で、
俺の左斜め前に座る男は、
普段はあまり表情を変えない何を考えているか俺的には読めない男だと、
思っていた
まーーあの人たちを相手にして普通でいられるのだから
一筋縄ではいかないのは分かってはいたけれど、
しかし、
どうやら許容範囲のアルコール量を超えると・・・・



俺的には一緒にいたくないと思う奴に早変わり




ここは、完全会員制の超高級クラブ
静かな室内には普通ならそれなりな会話で盛り上がっているだろう
けれど、
現在は不似合いな沈黙が落ちる
とっても気まずいような沈黙
いや、
落としてる本人達はそんなことすら気にしていない
って言うか気にする人たちではない

一つの大きなテーブルを囲む半円形の真っ白なソファーには、
見た目で堅気とは思えない男4人、
それに対して綺麗なホステスたる女が6人
俺にチーママ、
斉藤さんにママ、
組長に人気上位が2人、
そして、
左斜め前にいる近頃やって来た後輩に当たる桂木には人気ナンバーワンとツーが隣を占拠中
どう言う了見だってーの!
言いたいが、
言えない
そんでもって深くソファーにもたれ掛かりながら緩く足を組み、
その膝の上に琥珀の液体の入ったグラスをからからと揺り動かしながら
桂木の目の前にいる組長に酒に濡れた瞳で上目に笑いかけていた

これ、
沈黙の幾つかあるうちの理由の一つ

「怒ってます?」

桂木はからから音を立てて、
上目の瞳を下げると揺らしている指先に視線を落としながら
俺には分からない問いをアノ人に向ける

「・・・・いや、」
「嘘だ」
「じゃー俺が怒っていると言えばお前はどうするの?」

ソファーの背もたれに両手を広げて寄りかかり、
足を開いた状態で問いかける桂木を見ていた
その問いには無表情で答えている

「・・・・・さぁ?」

その問いかけには曖昧に笑う
隣に座る綺麗な女の肩に軽く頭を乗せ笑みを浮かべた
何だか様になってるのが凄いと思う
そして一口その琥珀の液体を含み、

「じゃー怒っているとして俺にどーしたいですか?」

その言葉を受けて、
向かい合った男はもたれ掛かっていた身体を起こし、
膝の上に肘を突いて手の甲に顎を乗せると
寒気にも似た、
鳥肌が立つほどの独特のアノ人の特有の笑みを浮かべる

「・・・・・メイジは、どーされたい?」

何かを含ませた声に、
俺を含め斉藤さん以外はきっとゾクゾクとした寒気が走っただろう
隣の女がびくりと身体を震わせ
アノ人の隣の女は顔が青褪めていた
しかし、
向けられてる張本人はと言うと

「好きな事をどうぞ?」

女の肩に頭を乗せたまま楽しそうに笑って言葉を返していた
次の瞬間には
ガシャンっ
と、ガラスが倒れる音ともにアノ人がテーブルの上に立つ
シンと静まり返るのも無視して
一歩二歩と足元のものを蹴散らし近づき、
己を見上げるそ桂木の首を傾げたのとは反対側に革靴の底をドンっと埋めた
青い顔をして固まる女には目もくれず、

「とことん啼かしてあげる」
「・・・・・アンタが啼きを見るかもよ?」
「なら、ココで試してみる?」

その言葉に、
クスクスと笑いを零し
顔の横にあるスラックスに子供のようにガブリと噛み付いた
横目で見ながら、

「ニシゾノさんの、お好きにどうぞ?」

この人たちは、
はっきり言って迷惑極まりない
時と場合を気にせずに
回りをも気にせずに
お互いに挑発し合って
煽るだけ煽りあって
一触即発まがいな雰囲気を
両手を広げてあっさりと受け入れる
もしかして、
このままおっ始まるのかと焦せらされる

もーー心臓いくつあっても足りないし!!
大きく息を吐いて、
愚痴まがいに零す俺の心情

「あのですね・・・・・そー言うことをヤるなら帰ってからにして貰えますかね?」
「今に始まったことじゃないだろーがよ、菅」
「ですけどーー!!」

けれどその声も虚しく、
両脇に控えている女をどかし自分が納まる暴君は、
艶やかに笑う

「我慢は禁物って言うでしょ?」
「使う時と場合によります、そして今は不適切です」

あははん、
と暢気に笑う組長に斉藤さんの的確な突っ込み
意にも返さずに桂木に全体重を乗せるように寄りかかり、
頭を肩に乗せて満足そうだ

「据え膳食わぬは男の恥じ」
「お前の場合は食われて、だろうが」

またもや斉藤さんの突っ込みに、
酔っ払い最強の男、桂木は同じくして組長の頭に頬を寄せて笑う



思うが侭に生きる男と、
酒の威力で自制を失った男





見せられる相手の気持ちも考えて欲しいものです





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読書参加型の投稿サイトに贈らせていただいた駄文です
それに少し色をつけてupしてみました
ほら、
今くらげを書いてないので・・・・!!
これはちょっと先の話し、かな〜
きっともーヤっちゃってる頃だと思う(笑)!!
どっちなんだろうね!?

では、
また菅視点でこーいうの書けたらと思います、です