■□ 成長したはずの僕を見てください - 2 □■
















新たな真実発覚・・・・

「え?じゃ何・・・・黒田ってハーフ?」

久保田が目を丸くして、
黒田に抱きついてオンオン泣いている外人を指差す。
ちょっとどころではなく失礼な行為。
少しだけ久坂に感化され中。

「う〜〜ん・・・違う」
「再婚相手の父?」
「ソレも違う」
「育ての父?」
「ソレも違う」
「じゃー何?」

全部首を振られて、眉間に眉を寄せる。
未だに久坂は生死の境をさまよっていた・・・・
それを突く生徒会長。

「血は繋がってるよ。で、これこんなに外人面してるけどハーフなの」
「ってことは・・・・・1/4?」
「そー俺、クウォーターなの、イギリス人の血が混じってる」
「へーーー」

久保田の手が何かボタンを押した気にウズウズしていたが、
何もなく握り締めた。
しつこいようだが、久坂は虫の息である。
そんな久坂をドコへ運ぼうかと思案中の生徒会長・・・・
手にはスコップ

「何やってる人なの?」
「お坊さん」
「ぼー・・・・ってマジで!?」
「おーマジです」
「なれるもんなの?」
「なれるんじゃないの?跡取り息子なんだし?」
「え、って事は黒田の家って、寺?」
「お寺です、結構ね檀家持ってるよ」
「へーへーへー!!」

目がキラキラ輝く。
何をそんなに気にするのか・・・・

「黒田のお母さんってのは何してる人なの?」
「あの人は海外中継専門のキャスターしてるから、殆んど家にって言うか日本にいないなー」
「え、えっ誰?」
「黒田澄香って分かる?」
「分かるー@*放送のでしょ?」
「そーその人」

美人キャスターで有名である。
その人物の顔を思い浮かべてから、
黒田の顔を見ると・・・・・ちょっと面影がある。

「お母さん似だろ?」
「そ、だから、父さんに愛され中・・・・・家にいないからねー」
「あははは!」
「笑い事じゃないよ・・・・・ホントに、この人は・・・・・」

そこで、漸く黒田父は黒田から離れた。
しっかりと立って、久保田に笑いかけながら一礼。
輝くような金の髪は長めで後ろに一つに束ねられ、
二重で少し垂れ目の瞳は空のように真っ青である。
お坊さんにしておくには勿体無いほどの、美形っぷりだ。

「はじのめまして、ミサキの父上です、黒田慶丈と言う名前が持っています」
「黒田慶丈って名前の俺の父さん」

微妙に通訳希望である。

「あ、クラスメートの久保田和泉です」
「生徒会長の仁科桃司です」
「腐れ縁の何時もお会いしている久坂壱春です」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

いつの間に久保田の後に続いて、久坂と生徒会長がちゃっかり応えている。
久坂に到ってはいつの間に復活したのやら・・・・・
服に土が付いてたり付いてなかったり、
生徒会長の額には汗が浮かんでたりなかったり?
そんな反応に、青い目を細めて父が喜んだ。

「おー皆さん、可愛がってる人ですね!よろしくされマース!ありがたいでーす!」
「皆、俺と仲良くしてくれてありがとうだそうです」

さすが親子である。
理解できそうで出来ない意味も息子にかかれば変換が早かった。

「いち君、昨日今日一昨日振りですね!」
「え・・・と、はい?」
「久し振りだね、だって。三日前に会っただろう?」
「・・・・・あーあー!はいはい、会いました会いました、久し振り・・・です?」
「はい、そう!久し振りの日です!」
「・・・・はぁ・・・・」

長い付き合いでも久坂にはまだ理解力は少なかった。
にこにこ笑う黒田父に曖昧だけれど頷いて笑い返す。
次には久保田を見て・・・・
じーーーーっと見詰める。
穴が開きそうなほど見つめる。

「・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・あの、何か?」
「いずみ・くぼた?」
「はい、そうです、が?」

言われて、頷いて。
何か思い出そうとする仕草の黒田父を見上げる。
外人なだけあって背がめっさくそデカイ。
もしかしたら、仁科よりもデカイかもしれない・・・・・・
好い加減首が疲れて、目線を外そうとしたところで、グーにした右手を手の平に

ぽん!

「ぬし、久保田いずみくんでしょうね!」
「その、ようですが・・・?」

がしっと肩を掴まれて前後ろに揺すられる。
さすがに好いそうになったところで息子よりストップを食らった。

「父さん、久保田死にそう」
「それは無念です!」
「無念じゃねーよ」
「ごめんなさい?」
「そう、それ」
「ごめんください、久保田君!」
「いらっしゃ・・・・じゃなかった、お構いなく・・・・」

知らずペースに飲まれそうになったが寸でで言い直す。
危険地帯だ。

「君の事は知らされていたんですね!」
「・・・・・」
「いやー再会できて嬉しい!」
「はぁ・・・・?」

何がそんなに嬉しいのか全開笑顔だ。
にっこにっこしながら久保田の手を取って上下にブンブン振っている、
痛いくらいに。
さすが、外人・・・・オーバーアクション。

「だってミサキが君の事をうわ」
「シャラーーーーーップ!!」

ドス!

「ぐはっ!!」
「わー父さん、脇腹に蚊がっ蚊がいたよ!刺されて日本脳炎かかる寸前だった!」
「わ・・・・・わっつ?」
「コレにかかると折角の父さんの日本語が正しくなっちゃうでしょう!」
「・・・?」
「そんなの困るよね!?」
「こ・・・・困る?困る・・・・困ります」
「好かった・・・・留めさして!」
「かたじけない」
「いや、気にしないで。さ、俺たちの番が来たから中へ入ろう!」
「分かり申した!」

意気揚々と立ち上がって、
ドアの前で硬直していた仁科姉弟のわきを通り抜けて教室へと入っていく・・・・・





「って言うかさ・・・・・寺の息子だって言うなら日本語正しいんじゃない?」
「え・・・・あぁ・・・・黒美ちゃんのお祖母ちゃんもあんな感じで、慶丈さんはハイスクールまではイギリスにいたらしいから・・・・」
「へーへーへーへー!!!」
「イタッイタタタっ!」


バシバシと久坂の頭を殴りつけて、
今日の欲求を満たした久保田であった






今日の久保田、8へー