ごっ機嫌な怪獣の通った後は死屍累々、草木も生えぬ跡ばかりです・・・・・・(合掌)







































取り敢えず、
いらん過去話しを植えつけられて微妙な満腹感
さて次は何をしましょうか?
考えたところで何も良い案は浮かばずに
廊下を歩き続ける

「やる事ないしなー」

ぽつりとイズ君が言葉を漏らした
余りに小さくて
何を言ったのか聞き返すように窺い見ればニコニコと笑みを浮かべていて
ゾクリと何だか悪寒が入る
離れて歩いてるはずの将馬にさへ何かが伝わったのか、
ピタリと足を止めた
その背中に諫早様が突っ込んでいた
そのまま寄りかかって寝ているけれど

「帰ろっかな」

何を言い出すのかなと身構えれば、
ただそれだけの事で、
思わず安堵の息を吐いたのは俺だけじゃないはずだ

「えーーーシショー帰っちゃうの〜?」
「うん」

引き止めなくても良いのに一条先輩が不満げな声を発する
将馬が引き止めるな引き止めるな!!と眼力で訴えていたのを俺は見逃さなかった
俺としては寂しい気もするけれど、
この先自分の身が安全でいるためには引き止めない方が良いのも分かっている、
分かっていてもせっかく会えたのだからまだいたい気もする
迷いながらも

「イズ君、帰っちゃうの?」
「ん?」

そう問いかければ、
満面の笑み
キラキラ光る
俺の大好きなイズ君の笑みだ
ドキューーーンと、
思いっきり先がハートの矢が刺さる
打たれたっ
打たれたよっ俺の心!!

不整脈起こしかけの心臓を握れば、
視界の端で将馬の口元が
『この・・・・天然タラシがっ・・・・』
何て動いていた
同感です(涙)!!

「寂しい?」
「うっ・・・・・・・・うぅ・・・・・はい」

問いかけられて、
ドキドキする心臓と赤くなる顔
やべっ
ダメだっ
俺やっぱりまだダメだっ
恥ずかしくなりながら俯いて頷けば
するりとイズ君の腕が俺の首に回されて

「・・・・・か〜〜わい、ナナ」
「がふっ」

うわっコイツ、鼻血じゃなくて吐血したよ!!
なんて思ったのは目の前で見たイズ君ではなくて、
将馬の横で寝ぼけていた諫早様
変なところで的確な突っ込みいらないから!!
アンタ目の前にしないとこの辛さは分かんないから!!

「うぅ・・・・勘弁してください・・・・」
「だめー」
「ううぅ・・・・(吐血&涙)」

あらゆる穴から色々なものが出ています
貧血と脱水症状とか、
色々併発しています

「まー取り合えず、拭って」
「すんまへん」

ぐいぐいと何処から取り出したのかハンカチで拭われて、
汚れたそれをポイッとゴミ箱に投げ入れた
ちらりと見えたそれは
有名なブランドのロゴ入りで、
何だか誰かが持っていた気がした
誰かって言うか、
とある部屋で屍と化している誰か

「言わずと知れた榛原杏慈?」
「そうそれ」

俺の心の声にイズ君ってば、当たり前のように意見を言ってくれる
少しは聞かない振りとかできないのかな?

「できないね、」

できないんだ、

「うん」

そうか、
そうなんだ・・・・・
諦めが肝心なんだ

「人生それが大切よ?」

心に止めておきます

「って、どーして会話できるのさ!!」
「俺だからね、」
「・・・・あーうん、イズ君だもんね」
「うん、そう」

うん、そうだよね?
ってそこで納得できちゃうのも凄し
しちゃうのも凄いけど、
そう言い切っちゃうイズ君も凄いよね

「褒めんなよ」
「寧ろ尊敬します」
「照れるなー」
「崇め奉りたいです」
「んじゃ、ナナのちゅーで良いよ奉納品は」

ニカっと爽やかに笑ってくれるなら、
俺もね、俺もふざけ半分でほっぺにちゅーぐらいはやれるんだけどさ、
こうも
黒く艶っぽく悪どくやられちゃうとさ、
ふざけるとかの前に、
ものすっごく身の危険感じちゃうんですけど!!

「大当たり」
「ひゆわーーーーーーーー!!」

ちゅーーーーーーーって、
ちゅーーーーーーーーーーーって
首筋に吸い付いたよこの人!!
昼間なのにっ
日も明るいのにっ
まだお昼にもなってないのにーーーーー!!

「あ、痕つけちゃった・・・・・ま、いっか」
「・・・・・・・・・よくはねーだろ」
「自由な人だね」
「さすがシショーだね」

さほど問題にもしていないらしいイズ君の言葉に、
将馬は呆れて大きく息を吐き
その横で感心する諫早様
場違いな憧憬の眼差しは一条先輩だ

「可愛いナナに痕つけちゃった」
「・・・・もーホント何でもかんでもタラシ込むの勘弁してください・・・・・」
「したつもりはないよ〜」

されてます、
今まさに現在進行形でタラシ込まれていますっ
そうやって髪とか頭とか梳くように撫でるのもね、
タラシ込む要素抜群ですよ!
しかも、
そんな笑み浮かべちゃったりしてさっ
俺をどーしたいのよっホントにもーー!!

「可愛がりたい?」
「疑問系はヤメテください」
「んじゃ可愛がる」
「その断定も如何なものかと・・・・」

んじゃ何ならいいんだよー
何て言いながらイズ君はするりと離れた
ホッとするやら
寂しいやらで
もーーイヤ、
ホントにもーーイヤっ

「さ〜〜〜てと、ホントにそろそろお暇するね?」

スタスタと何処へ向かうのか、
窓際による
からりと音を立てて窓を開けて
下に向かって声を上げる

「三嶋〜〜気が済んだの〜〜?」
「おなかいっぱ〜〜〜い」

どう言うお返事ですか!?
それはっ
的な声が下から聞こえてくる
そこにいた全員が下を見ると先ほどまで一緒にいて消えた人物と、
その隣に背の高い無表情の男が立っていた

「あれ、は?」
「ワタクシめの弟にございますよ」

・・・・・・・・・似てねー
マジで?
腹違いとか?

「もの凄く失礼よ、広瀬ちゃん」
「事実じゃん」
「まったくだ」
「正反対だもんね」

それぞれが、
俺の変わり答える
まさしく事実だから仕方がない
そんな突っ込みにシクシクと泣き声をもらしながら壁にのの字を書く一条先輩
どうやったって何やったって、
ウザイ

「ほんじゃ〜また会おうね〜」

そんな声とともにひらりとイズ君が飛び降りた
ちなみに、ここ2階です・・・・しかも、
むしろ3階分に近い2階です

「え、」
「お、」
「はっ」
「うわっ」

思わず乗り出して下を見ると、
軽やかに地面に着地をしていたイズ君が仰ぎ見るようにして手を振っている

「ばいば〜〜〜い」

そんな、
最初から最後まで嵐を思わせる勢いで去っていく

「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」



その姿を、
ボー然と見送った