■ アナタが私にしてしまったことが赦してしまえる事と、君がくれるものの涙のわけ






































あれから、
どうなったのかは覚えてない
むしろその前のことだって覚えてるかと聞かれたって答えられない
答えられるわけが無い
だってどこか遠くへと飛んで行っていたから
だけど、
所々で薄っすらとかすかに思い出すのは、
風呂場とかそんな所、
数秒の意識の覚醒
思い出すと言うより
夢の中のような感覚


浴室の中で榛原に身体洗われてるような夢、

丁寧に優しく髪も洗われてるような夢、

すごく気持ちよくてずっと見ていたいような夢


ゆらゆらと揺れてる
眠くて眠くて、
凄く眠くて
榛原の広い肩に凭れかかりながら
されるがままに身をまかせっきりで、
でもそれが当然って言うか
されてる事は嫌なことじゃなくって、
その時、
何だかちょっと見えた榛原の顔が済まなそうで笑えた
すまなそうって言うかちょっぴし泣きそうなのも笑えた
だったらスンナっつのな?
お前馬鹿だろうって口に出せなかったけれど口の中でもごもご言ったら分かったみたいだった
苦笑しながら優しく濡れた髪を撫でられて、
そんな手つきで撫でられるように隅々まで洗われて、
時々、
榛原の唇が色々なところに触れて、
舌で撫でて、
『ごめんな』って声も聞こえて、
何度も何度も小さく聞こえて、

ホントはさ〜〜目覚ましたら気の済むまで殴ってやろうかと思ったんだけど、
殴って蹴って喚き散らしてやろうと思ったんだけど、
いや、
いやいやいやいや、
まだまだ思ってるけど
心の中で叫びたいの堪えてるけど、
その思いは充分消えてはないんだけど
でも、
まっいいか〜〜何て思ってる部分もあって、
しかたね〜な〜〜なんて寛大な感じで笑ってる自分もいて
不思議っちゃ〜不思議な感覚だけど、
思うに
今のこの撫でられてるような感覚が凄く、
凄く凄く気持ち良いからなんだと思う




だから、
いっか・・・・・








フと目が覚めた
ぼんやりする意識と頭と目で辺りを何度か見渡す
行ったり来たりを数回して、
気が付いた
気がつかなくても解かれよ自分
自分の部屋でしょうが、
つーーか自分の部屋の一番落ち着く自分のベッドの上でした
そんな場所で、
ボンヤリした頭で天井を見詰めていたらですね、
カタカタとベッドの近くで音がした
音がしたかと思うと、
ひょっこりと見慣れた顔が視界に入りました
てか、
視界イッパイに諫早様の可愛い顔です
その可愛い顔が小さく笑みを浮かべて

「起きた?」
「・・・・・、・・・・・?」
「ちょい、待ち」

何か声に出して言ったつもりなのに音にならなかったようで、
眉を顰めたら、
そんな言葉とともに視界から消えた諫早様が数十秒で戻ってきました
手にはガラスのコップに入った水、かな??
水だな
酒なわけがないよな!

「喉やられてるから、飲んだほうが良い・・・・起きれる?」
「・・・・・・、」

コップを差し出される
手を上げたように思ったんだけど・・・・
無理のようです
つーかこれは絶対に無理です
起きれるわけがアリマセン
指一本すら動かすこと出来ません
こんなん初めて!
やった七緒っ初体験じゃ〜〜ん
・・・・・・・経験したくなかったかな、うん

で、首も振ることすら出来なくって
トロンとした目で見上げれば、
気付いてくださった諫早様がちょっと考えるような仕草したのち手にしたコップから水を飲んで、
違う、
あれだ・・・・・あれだよ!
水を口に含んで俺に飲ませてきた
わお、
やったね、俺!
ちょーラッキーじゃ〜ん
こんな可愛い子とちゅーしちゃってるよ!
大好きな諫早様とちゅーだっ
何て馬鹿なことを考えてたら、
流し込まれるすこ〜しだけ温くなった水を嚥下して
カラカラに枯れた喉をその水が落ちていくと、
そうとうな感じで喉が渇いてたようで諫早さんが送ってくる水を夢中で飲んだ

「ん、」
「・・・・・っ」

何度も、
何度も何度も
同じように繰り返し水を口移しで送り込まれて、
口の端から零れた水を舐められて、
また、
水を送り込まれてを繰り返す、
そのうち水がなくなったのに唇は離れなくって、
柔らかく口内を諫早さんの舌が撫でた


ゆっくり

やさしく


それは昨日の激しい貪りつくすようなものじゃなくって、
労わるような慰めるようなそんな感じ
言葉じゃなくって、
行為で諫早が慰めてくれている

でさ・・・・・
何だか知らんけど、
涙零れてた
枯れたと思ってたのに
ボロボロと後から後から零れ落ちていく

「七緒・・・・・・辛い?」
「・・・ち、が・・・・・ぅ」

ふっと離れた数ミリの距離で、
諫早がそんな事を聞いてくる
唇が言葉を模るとちょこっと触れる
くすぐったくて
涙の浮かんでるであろう目で笑って見せた
笑った目蓋に唇が落ちる
零れた涙を吸われて

「びっ、くり・・・・し、・・・け」
「・・・・・・ホント?」
「ん、」
「そっか・・・・・」

そのまま俺の顔の横に頭を埋めて、
俺が安心しているはずなのに
諫早も俺の存在を確かめるように
そこにちゃんと俺がいるのだと分かっていたいように
ゆっくりと深呼吸をしていて
頬に諫早様の髪が触れてくすぐったくて、
小さく息を零すと
首筋に息を感じて、
ぎゅうっと抱きすくめられた


強く

強く




よかった、

そう声にせず


吐息で零しながら





ま、
役得ってことで?

あ・・・・・・
てか、
大事な約束が・・・・・・・・・・・!!





翌日、
彼のお方が参上仕りましたっ(大汗)