見知らぬ地に来たからでしょうか?それとも理解力の問題でしょうか?



























先ほどの衝撃は耐えられるものではなかった!










なので、出会った瞬間優しく微笑む担任に、抱きつきたい衝動が駆られるが必死に押し殺す。
だって・・・・怖かったんだもん(汗)!!

後ろを付いていきながら心で泣いた。

「もう身体は大丈夫なの?」
「あ、はい。平気です」
「そっか・・・・余り無理はせずにね?」
「はい」

っくーーーー癒されるね!
教師からこんな対応、久し振りなんですよ!
幼稚園以来か!?
だってオイラ恐怖の学園生活を送っていましたからね!
てか、俺的には楽しくもムカつく学園ライフですが。
いや〜教師からしたら、俺なんていない方が良かったと思いますよ?
授業妨害なんてしょっちゅうでしたから、てへ★
楽しかった言えば楽しかったな〜
あのオドオドして窺うような態度はイケスかんかったが。
ま、過去だよ諸君!
おれは真面目に生きると誓ったからね?

そして、職員室から歩くこと2.3分。
俺のクラスであろう教室のドアの前にたどり着いた。
高校生らしく、中は騒がしい。
けど、担任は中に入ろうとはせずにくるりと振り返った。

「じゃ、一つ注意事項ね?」
「・・・・え?」

注意事項?

「広瀬は外部入学だから面識無さそうだし」

面識?
何だそりゃ?

「ここって幼稚舎から一貫して男だけしかいないよね?あ、教師は除いてね?」
「はぁ・・・・・そうでしょうね?」

男子校ですしね?
見なくとも分かりますよ?

「全寮制ともなると、出会いがなくなっちゃうんだよね、女の子とか他の同年代とか」
「そうでしょうね・・・・」

そうでしょうとも。
欲求不満になっちまいますね?
年頃のヤリたい多感な時期ですし。
ま、やる気と根性があれば抜け出して楽しいことは盛りだくさんだろうけど。

「だから、ある心に起こるの対象が同姓に向くこともしばしば、なんだよね」
「・・・・・・・」
「しばしばって言うか・・・・大半?」
「・・・・・・・」
「見るもの、感じるもの、取り敢えず現実として受け止めてくれるかな?」
「・・・・・・・」
「その方が疲れなくても済むし、考えなくて済むし、悩まなくて済むから」

そこで俺の担任、早川 水鳥−はやかわ みどり−は屈託無くにっこりと微笑んでくれました。

は!?
何?何何何・・・・何!?
どういう意味!?

「せ・・・先生?」
「じゃ、息吸って〜〜〜心の準備は?」

すか〜〜っと言われて吸って、
でも心の準備なんて今の言葉で打ち消されました!

「ま、まだっす・・・・・」
「はい、じゃ〜〜入ろうか!」

だからできてねーーって(汗)!!
聞けよ!!

心の叫びも虚しく、ドアは無常にも開かれた。
そのとたん、ぴたりと騒がしさが止む。

「皆おはよ〜〜」

にこやかに、早川先生は声をかけて壇上に上がる。
すると、今までの一瞬の静けさはおさまってまたもやそれなりに騒がしくなる。

「おっは〜先生!」
「はやっち、おっはよ〜〜ん!」

朝の挨拶的な言葉があがる。
しかし、今は3時間目の始まりの時間帯であるはず。

「みどりちゃ〜〜ん今日、朝いなかったじゃんどうしたの〜?」
「そーそー俺ら心配したぜ〜?」
「あはは、ごめんね〜飲みすぎて寝坊しちゃったんだよね〜」

ってそれで良いのか教師!!?
教師にあるまじき行為だろうが!
てか、笑ってそんなこと応えんなよ!!

「えーーまたーーー?」
「駄目じゃんみどりちゃ〜ん!」

って頻繁ですか!?
生徒に窘められちゃいかんでしょうが!
何なんだ・・・・一体・・・・

「ま、そんな事どーでも良くって、キミたちに良い知らせ!!」

良くないと思う・・・・
何だか、突っ込みどころ多すぎて疲れる・・・・
こんな意味もあるのね?
さっきの忠告・・・・ってか、注意事項?

「今まで名前だけだったこのクラスの子が今日から登校することになったんだよ。」
「え、マジで?」
「うっそーー!」
「ってか、そんな奴いたっけ?」
「さ〜?」
「いたよ〜名前最初の頃呼んでたじゃん?」

と、各々にそんな事を言っている。
俺の事ですね。

「じゃ、入って?」

ドアの前に突っ立っていた俺は早川先生の即す声に躊躇いがちに教室に入る。
一気に集まる好奇の視線。

あーーーーこう言うのあんま好きじゃねーー・・・・
仕方がない事を思う。
俺だって見ちゃうもんな、うん。
で、早川先生の隣に立つ。

「自己紹介して?」
「はい・・・・・えっと、今まで入院してて来れなかった広瀬七緒です、出遅れましたがよろしくお願いします。」

そう言って頭を下げる。
で、上げて見渡す教室内部。
う〜〜ん良家の坊ちゃんらしき見た目がチラホラ。
こいつが?的なものもチラホラ。
で、何だココ?って感じの見た目良いのが・・・・チラホラ・・・・
何だよ、ここって見た目重視か?
と、疑いたくなる。
そして、俺への反応。
ま、こんなもんか?だろうな。
だって、モサイもんな〜今の俺の見た目?
楓曰く苛められそうだって言うし。
ま、その方が楽っちゃ楽だしな。
仲良くなってボロ出んのもヤだし。

「じゃ〜席はね〜」

空いてるいくつかの席を見渡しながら言う。
同じく俺も目線だけソレを追うと・・・・・後ろの方で手を振ってる奴が目に入った。
てか、アレ・・・・

「滝、知り合いか?」

早川先生の問いかけに立ち上がって頷く。

「はい、さっき友達になりました!」
「そっか〜」

いや、まだなってないと思いますよ?
名前を名乗りあっただけですし。
でも、ま〜〜滝なら無難そうだな。

「広瀬、滝の隣に座って。」
「はい。」

言われて移動。
机と机の合間を縫って目的地に向かう。
その際に、ちょ〜〜っとだけ敵意を感じちゃったりする。
何だ〜〜?
でも、表情にはおくびにも出さないで。
にこにこ笑って待つ滝の隣に座った。

「同じクラスだったんだね?」
「そうみたいだな。」
「ヨロシクね?分からないことあったら聞いてね?」
「頼りにしてる。」
「うん!」

何がそんなに嬉しいのか、滝は俺の言葉に笑みを深めた。
う〜〜んやっぱ可愛いな〜
癒されるな〜〜vv
なんて浸ってたら、俺の前の席と隣が話しかけてきた。
さっき思った、見目が良い奴。

「何々〜知隼ちゃん、もう仲良くなっちゃったの〜?」
「うん!」
「へ〜〜滝がそんなふうにするなんて珍しいね?」
「うん、だって何か仲良くなりたかったんだもん!」
「そっか〜」

へらへらっと鼻の下が伸びてる隣の男。
前の男は、滝から俺へと視線を移す。
ちょっと硬そうな真面目君タイプ。
黒髪がキレイだな〜な、ヤマトナデシコって感じの美人。

「俺、委員長やってる井岡 巴−いおか ともえ−何かあったら俺にも言って。」
「よろしく、助かる。」
「俺、竹林巳継−たけばやし みつぐ−ヨロシクな!」
「よろしく。」

こっちは対照的に、軽い俺って遊んじゃってます〜って感じの男。
無駄なく染められた茶髪と両耳にいくつか空いてるピアスが物語ってる。
前の俺なら簡単に遊び仲間で付き合ってるな、うん。
で、その竹林がニヤ〜〜リと嫌らしく笑んだ。

「そんなニューフェイスにお得な情報。」
「?」

お得な情報?

「広瀬、何人か敵作っちまったぜ?」
「・・・・は?」

来たばっかだぞ?
何で?

「う〜ん・・・・そうだね。」

井岡も苦笑を浮かべた。

「何で?」
「え〜だって我らが学年のお姫様の一人、滝 知隼の笑顔を惜しげもなく贈られちゃってるからね?」
「・・・・・・は?」

俺ってば物凄く間抜けな顔できたと思うよ?
だって、またもや滝が笑いのドツボにはまろうとしてるからね?
ってか・・・・・

「お姫様・・・・??」
「そ、知隼ちゃんは初等部からの人気を誇るからね〜ちなみに、後5人ほどお姫様が存在するから。」

何度も確認しますが、男子校だろう?
・・・・・・男子校だよな?
ちょっと不安になってきた。
なおも竹林は続ける。

「俺らは全然そんなんじゃないけど、熱烈なファンがいんだよね〜シンパって奴。」
「うん、だから気をつけたほうが良いよ。」
「・・・・・・」
「ま、俺らと一緒にいな。」
「その方がいいね、守るって言ったらちょっと可笑しいけどイジメの対象にならないようにはするから。」

井岡は人の良さそうな笑みに、困ったような感じ。

「そうそ、何か広瀬って典型的な苛められっ子みたいな感じするし!」
「巳継っそんなこと言ったら広瀬君に失礼だろ!」
「いや〜だってマンマなんだもんよ〜」

滝の窘める言葉に悪気なんて一切ありません!
な感じに笑う。
近くにいるのに、それを遠く離れた気分で眺める俺。






俺、本格的にパニックに陥りました。