■ 第一印象は大事です。取り敢えず問答無用で敵とみなされました































酸欠状態の滝の身体を揺さぶって、呼吸を即す。
だってヒクヒク言ってるんだもんさ!
ちょっと怖いじゃん!

「滝ーーーー死ぬぞ!息をしろっ死ぬって!!」
「〜〜〜〜っ!!」
「分かったから!俺が悪かった!だから息をしてーーー!!」

ぷちパニック。
ちょっと泣きそうな俺。
情けない。
でもこんな美少年を笑い死にさせたとなったら、色んな所で敵作って真面目とか言ってらんなくなるしね!!

「っ・・・・はふっ・・・・ふ〜」
「治まった?治った?」
「なおっ・・・・・た・・・・よ・・・・ごめん、ね?」
「いや、謝るのは俺のほうだから!」

あんな爆笑させただなんて!
こちらこそごめんねっだよ!

「大丈夫か?」
「うん、だいじょうぶ・・・・・はぁ・・・あ〜笑った!」

ホントだよね?
今度、誰かに俺の最高傑作な顔、写真に撮ってもらおう!
うん。

なんて、一人納得するように頷いたら、隣のドアがゆっくりと開いた。
その隙間から顔覗かす超絶美形。
なっ・・・・何なのこの学校!!

「一体誰かな、こんなとこ・・・・・アレ、知隼君?」
「あ、斎先輩!」

顔覗かせた人物が、今までの険しい顔から一転してふんわりとした笑みが広がる。
特別な相手に特別に甘い表情を見せるかのように。
現に、滝もうっすらと頬を染めてそれはそれは愛らしく微笑んでいる・・・・・


カッワ・・・・・!!


俺に向けられてないのに俺が顔赤らめてどないすんねん!

「どうしたの?何だか凄い大きな声してたけど?」
「あ・・・・えっと・・・スイマセン」

俺の顔が面白すぎて笑い死にしそうだったんですとは、さすがに言えないようだ。
語尾を濁らせて曖昧に笑う。

「・・・・泣いてたの?涙が溜まってるよ?」
「あ、いえっ・・・・そう言うわけじゃないです・・・・!」
「ホントに?」

ちらりと視線をよこされた・・・・・・
え!?もしかして俺が泣かしたとか思われてますか!?
まぁ泣かしたも同然ですがね!
てか泣かしたんですけどね!

「あ!広瀬君のせいじゃないですっ僕が勝手に・・・・・・あの!」

慌ててフォローしてくれる。
優しいのぉぉ滝!
でも相手は俺を敵とみなしてしまったぞ(涙)!
黙ってるのもなんなので、えへらっと前髪に隠れ気味の顔で笑って誤魔化す。
はい、逆効果間違いなし!

「お〜〜い何してんだよ・・・・お、知隼君?」
「樟賀先輩・・・・お騒がししてスイマセン!」
「いや〜イイんでない、斎的には?」

苦笑を浮かべながら部屋に視線を移してから、今度は俺にターゲットオン!
わ〜〜お!

「見ない顔だな・・・・・・何年だ?」
「あ〜今日から登校の一年の広瀬です。」
「・・・・・あっ入学直前に事故って入院してたって言う?」
「その、広瀬だと思います。」

お〜〜口裏あわせなってますな!

「それで、僕が職員室まで案内するんです。」
「そうか・・・・初めまして、生徒会長で2年の岸本 斎です。」
「俺、副会長で2年の樟賀 京、ヨロシクな?」
「1年の広瀬 七緒です。お世話になります。」

無難に名前だけ名乗ってお辞儀。
年上ですからね、敵とみなされても礼儀ですな・・・・・もう係わりにあいたくないのが本音だが・・・・
そう思ってたら、中から第三者の声が入るように即している。

「ちょうどイイ、俺が書類とか預かるから中に入って。」
「お仕事の・・・・・邪魔しませんか?」
「知隼君を邪魔だなんて思わないよ?中にいる奴の方が邪魔だけど。」

てか、俺はもうココから離れたいですよ?
でも道案内の滝は、もう中に入ってるし?
樟賀って言う先輩は、ドアを開けて俺が入るのを待ってるし?
逃げられないのね・・・・・ぐしっ・・・・・・
仕方ないので、入りましたよ!
で、感想。
どこぞの社長室だこのやろう!!
な、部屋です。
細かい説明は拒否です。
てか俺の脳みそと言葉の少なさと知識じゃ説明なんてとても無理です。
簡潔に言えば、高校生の生徒会室じゃないってことだけ!
金かけすぎだこのやろーーーー!!

で、中にもう一人。
またもや絶句。
岸本先輩も樟賀先輩も、申し分なくケチなんて付け所のないお綺麗な顔でしたが・・・・・
中の人はそれに拍車をかけての美形でした!
いやーーーーーー(壊)!!

「榛原先輩こんにちわ」
「よぉ滝・・・・相変わらず可愛いね?」
「あ・・・・・えっと・・・・///」

にっこりと笑みを滝に向ける。
その時、ぶわっと・・・・・ぶわっと音がしそうなほどの勢いで、色気と言うかフェロモンが噴出された気がする!
ぞぞぞぞっと悪寒にも似た戦慄が背後に駆け上った!

うえ〜〜〜っ・・・・・
何かっ・・・・何かもう帰りたい!!
てかこの部屋から出たい!!

そう思いながら、ソファーに座らずそこに立ち尽くした。
立ち尽くしていたら、そのフェロモン大王(勝手に命名)が俺に視線をよこした。
そのとたん、ビクッと身体が跳ねる。

何だよーー何なんだよーーー
俺を見るなーー見るんじゃねー!

じーーーーっと見詰めてくる、榛原とか言うやつ。
が、見る事に飽きたのか、それとも興味を失ったかは分からないけれど視線が反れる。
それにホっと息をついた瞬間、グイッと腕を引かれた。

「おわっ!」

誰に腕を引かれたのか?
ボスンとその人物の胸に顔をぶつける。
慌てて体勢を整えようとして腕をつっぱなるが、何故だがこの俺が力で敵わなくそのまま深く抱き込まれる。

「なっななあなんな!?」

ぐい〜〜と顔を背けて見上げる・・・・・見上げるって何か屈辱だが、90度にまではいかなくとも、そのくらいの角度に首を反らせた。
見上げた先には、視線を逸らしたはずのフェロモン大王。
一瞬のうちに俺の傍に移動していたようだ。

どんな早業だよ!!

「なっ何なんですかっ!?」
「お前・・・・名前は?」
「・・・・はっ!?」
「名前だよ、名前・・・・・なんつーんだ?」

名前?だれの!?
あ、俺のか

「ひろ・・・広瀬、七緒・・・・ですけど?」
「ふ〜〜ん・・・・広瀬・・・・・七緒ね・・・・・」

俺の名前を味わうように繰り返す。
にやりとキモイと言うかエロい笑みを浮かべながら。

いやーーーー何なのーーーー目の前でフェロモン撒き散らさないでくださ〜〜い(汗)!

そのまま抱き込まれながら、にやにや何が面白いのか笑い続ける目の前の奴。
助けを求めようと、俺は右横左横と視線を送る。
頼りになりそうだけど、助けてくれなさそうな斎先輩は眉間にしわを寄せてこっちを睨んでいた。

何で・・・・?
俺が被害者なのに・・・・・!

で、滝は顔を真っ赤にしたまま口を押さえて固まっている。
樟賀先輩は、面白いモノを発見した子供のような目で俺に笑いかけてきた。

全員っ役立たず(怒)!!

何て思ってたら、そのフェロモン大王・・・・・耳元で小さく何かを囁いた。
びくんと震える身体。
息を吹き込まれるように囁かれた行為だけではなくて・・・・・その内容に驚いて震えた。
次の瞬間には火事場のバカ力の勢いで、その腕を振り切ってその部屋を走って後にした。






『俺、お前のこと・・・・・どっかで見た事ある。』







計画がおじゃんになるじゃねーか!!



がむしゃらに走りながら、そう叫んで・・・・・
走りに走りまくってせいで教師に怒られ目的地に着けたのである。




てか、俺はアレには近づかねーーーーー!!