■ 藍色の奥にある濡れた色と愛しさと言葉よりも確かに感じるモノ
















































指先が頬を触れる

広瀬七緒、
絶体絶命の大ピンチ!?

とも、
言える状況?

でも、
何だか、

そうでもない心境?












「ここまで来たら、俺に全部任せろよ、な?」

開いた口が塞がらない、
至近距離で微笑まれた、

息のかかるその距離で、
そんな笑みで、
そんな言葉で、
そんな声で・・・・・・

そんな風に、
求められたらさ、

何だか、
何だか、ね?

何だか、
よく分からない、
俺の心境なんだよね?

イヤなんだか、
イヤじゃないんだか?

ちぅっと唇を吸われる
欲を感じさせられない軽い合わせで、
それを何度か繰り返されて、
次には押し付けられるように舐められた

「んっ」

ぞくぞくとする感覚、
だんだんと感じさせられる欲で、
思わず声を漏らすと、
一瞬離れた距離でふっと榛原の息を感じた、

「わ、らうな・・・・」
「いや、可愛いな・・・・お前、と思ってなぁ」
「はぁ?」

眉を顰めながら薄っすら目を開けると、
思ってたよりも近いところで視線が合って、
どきっと胸が鳴った、
その感覚にまた、
眉を顰めると

「・・・なんだ、よ?」
「いや・・・・・」

ふっとまた唇に息がかかって、
榛原が笑ったのが分かった、
目は細められて、
俺をそのままに見詰める、
藍色の瞳に俺が写って・・・・・

「・・・・・・・」

キレイだなって、
思った
じっとその瞳を見詰め続けていると、
よりいっそう榛原の目は細められ笑みが深くなったのが分かる、
第三者の目から見たら、
さぞかし鼻が伸びきったように見えるだろうことが予想される、
早い話し、
俺に向けられている笑みが、
属に言う愛しさを含むもので・・・・・・

「・・・・みん、な・・・・よ」
「ん、何で?」
「りゆ、うはねーよっ・・・・見んな、」

そう言っているウチにも、
何度も唇は触れていて、
時々小さく覗いた舌が唇に触れて、
なんとも言えない感覚がそこから生まれてくる、

羞恥と言うのか・・・・・

恥かしくなる!
やだもう、
何なんだ俺!?
どうしてイヤじゃないんだ!?
普通さっ止めるべきところはそこじゃねーだろ!?
見るとか見ないとかじゃなくって、
行為を止めるんだろ!?

そんな頭と体の反応が全然食い違っていて、
混乱してくる

「ん、ぁ」

どうしたものか!?
どうしたらいいのか!?
抵抗?
そう、抵抗だ!
抵抗するのが一番だろ!
ってか、
抵抗ってどうするんだ??
蹴る?
殴る?
でも足は押さえ込まれてるし?
腕は縛られてるし?
身動き取れないし!?

「うぁ・・・・・ん、」

俺ーーーーーーー!!
そんな声出すな!!
てか、
どっから出してんだ!?
やれば出来るってヤツ!?
いや、
できなくてもイイコトだと思うんですけど!!
キスだけで気持ち良くなるな俺の身体!!!!!
何か、
何か良い法案はあるのか!?

混乱しきった頭で、
目だけを辺りに泳がせたら、
何かと目が合った・・・・・・

え、
目が合った??

そこにいたのは、
俺をジッと見ている諫早さん、

「ぬあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
「・・・・・・・・滝、それに虎汰・・・・・・・」
「やっほー杏滋!」
「・・・・・・・・・・・」

満面の笑みで榛原に手を振るのは諫早さんの恋人の一条先輩で、
ついでのように俺にもひらりと手を振ってから、

「わぉ!!イイトコロのお邪魔だったかな!?」
「まさしく、な」
「いやーーーすまないね〜俺はね、俺的個人意見を言うならば近づきたくは無かったんですよ?」

にっこにこと笑みを浮かべるその隣で、
無表情に何も発することなく俺を見詰める諫早さん、

すっげーーー怖いっす!
どしたのかしら!?

「したらね、ウチの諫早がねー止める声も振り切って駆け出しちゃってまー止める暇もなかったの!」
「・・・・・・・・・・」
「悪意あっての事じゃないことだけは分かって欲しい次第でありまして!」
「お前、もー喋んな」
「やいやいさー」

呆れたような榛原の言葉に、
敬礼して止める・・・・・
と、
変な沈黙が落ちて、
とっても・・・・とーーーーーっても、
居た堪れない俺の心境、

逆に喋ってて欲しかったっす!

冷や汗垂れ流して、
ジッと見詰め続ける諫早さんに、

「あ・・・のぉ・・・・諫早さ」
「・・・・・・・あのさ、」
「はい!」

今までの沈黙を破って、
俺の言葉に被って、

「コレは合意?」
「こら!人様のプレイに口出しは禁物よ!」

アンタやっぱ喋んな!!!
口開くな!!

「もちろん、合意の上でだが?」
「はっ!?んなわ、もがっ!!」

ケロリと嘘を吐く榛原に、
思わず大声を上げるとばしっと大きな手で口を塞がれて、

「見て分かるよな?これから合意の上での行為をするんだが?」
「・・・・・どこが?」
「見ての通り?」

いや、見ての通りに今から無理矢理致します!!
って口に出して言ってるようなモンでしょ!!
アンタ目腐ってんじゃないの!?

的ことを塞がれたまま言ったって、
もがもがしか聞こえなくて、
それが一条先輩のツボを刺激するだけで、

「どこが?・・・・コレのドコが合意なの?」

冷たい声で、
諫早さんが指差したのは榛原のネクタイ

諫早さん!
イイ所に気が付いた!!

「ぷぷっ・・・・・また、それも一興・・・・・ぶふっ」
「「お前、口閉じてろって」」

諫早さんの声と榛原の声がハモル

まさしくその通り!!
アンタ一生口閉じてろ!!

「俺は別に・・・・アンタと七緒がどうなったって構わないけど、」

イヤかまうって!
そこは気にして、
突っ込んで!!

「でも、それは七緒が良いって言った場合で、こんなのは・・・・こんなのは、」
「・・・・・・」
「認められない」

強い眼差しで、
榛原を睨み上げる諫早さん・・・・・・・

うっわ・・・・・
ちょっと・・・・俺、
感動っ

思わず涙滲んじゃうほど嬉しさがこみ上げて来たけど、
睨まれてらっしゃるご本人様はと言うと、

「なぁ滝・・・・・それは、お前には関係なくないか?」
「・・・・・・」
「もし万が一、コレが合意の上じゃないとしよう」

いや、
だから合意してないって!!

「七緒が簡単に組み敷かれるように思うか?抵抗なんてせずにやられるがままになるか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「七緒に限ってそんな事ありえないって、お前なら分かると思うけど?」

ちらりと俺に視線が送られて、
次に諫早さんに目が行って・・・・・

「コイツが、こんな風に抵抗していないのが・・・・・・答えに思えないか?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・はい、今回はー諫早の負けぇ」
「っ!!?!?」

睨み合いを終わらせたのは、
沈黙を破った一条先輩
急に立ち上がったかと思うと軽々と諫早さんの身体を肩に担ぎ上げた

「虎汰せんぱっ」
「あのねー諫早、人にはそれぞれその人のやり方ってモンがあるんだよねーそれを他人が口出しちゃイケナイのねぇ?」
「っ!」
「コレはね、杏滋と広瀬君の問題なのよーいくら諫早が何と言おうと無駄なの、分かる?」
「・・・うる、さいぃ・・・・・!」
「はいはい、文句は向こうで聞きますよ〜ではでは〜〜お邪魔様でした〜」

諫早さんを肩に担ぎ上げたまま、
俺たちに笑いかけて、
暴れるその身体を気にすることなくスタスタと歩いて行ってしまった・・・・・・

後に残ったのは
未だ縛られたままの俺と、
それを見送り続ける榛原

「そうだろ?」
「・・・・・何が?」
「だから、俺がコレを合意と受け取った意味が」
「・・・・・・・口に出してないし、」
「目は口ほどにもモノを言う」
「・・・・・・目でも訴えてないし、」
「七緒・・・・・身体は嫌がってねーよ」

藍色の瞳が、
笑みを増す




認めたくないけど、
先ほどの言葉はそっくりそのまま、
その通りで・・・・・・

足を押さえ込まれたからって蹴れない?
ネクタイで縛られたからって殴れない?
押さえ込まれたからって動けない?

「やっぱここじゃー人目につくな・・・・・俺の部屋に行くか、」

そんなのは、
状況を認め切れなかった頭の微かな意地だ
そんなの、
そんなのは嘘だ、
やろうと思えば出来た、
暴れれた
抵抗なんてできたはずだ

それをしなかったのは・・・・・




しなかったのは・・・・・・

そんなの分かりきってるじゃないか、