■ 私は無関係です!と主張したところで通らない事もあるのです



































「何してんだ、お前ら」



目の前に立っていたのは、



「あ!アンジー!!」
「アンちゃんおはーーー!!」
「おはー虎汰、ウイ」

俺の両隣で、目の前の相手にご挨拶な二人。
挨拶し合ってる相手・・・・・忘れもしない、フェロモン強姦魔大王こと榛原杏滋だ!
余裕ぶっこいたような笑みでもってそこに立っている。
何だか王者の貫禄・・・・そんな言葉が似合っちゃってる・・・・・・!!

ちょームカつく!
何だよ、昨日は白目向いてたくせに!

逃げ切ったあの時の技はあまり男として使いたくないのだが!
緊急事態アーーンド貞操の危機!!
だったので、使わしてもらった!
同情の余地ナシなのだが、あまりの痛がりように自分もその痛みがうつったように眉を顰めてしまったのは心にしまう。
でも、やっぱりどう考えても同情はできん!
で、フェロモン大王はようやく俺に視線を移した。

「・・・・・・」
「昨日はありがたい贈り物を貰っちまったな〜」
「・・・・・・いえ・・・」
「いや〜お返しをしたいんだが、受け取って貰えるとこちらとしても嬉しいんだが?」
「・・・・おかまいなく」

テメー何をくれるつもりだ!?
そのドス黒い笑みは何だ!?
寒気がする(怯)!!

ニヤニヤしてるはずなのに、目は笑ってないし・・・・・・・・・背後が黒い。
黒すぎる・・・・!!

思わず後ずさりしてしまえば、その一歩分をつめてくる。

にゃぎゃーーーーーーーーー(泣)!!

「七緒ちゃ〜〜ん、何したのーてか何あげたの?杏ちゃんご機嫌だね?」
「うんうん、杏滋、ちょーご機嫌じゃん?」

このドス黒さの何を見てちょーご機嫌なんだか説明してもらいたいものだ!!
こいつらの神経どんなだよ!
ウイ先輩も一条先輩も頭湧いてんじゃないの!?
神経疑っちゃう!!

てか、命の危険なほどにドス黒い空気に当てられてる俺・・・・・・死ぬ・・・・・

「ま〜イイや・・・・・後で、付き合え」

否定が許されない語尾の威圧
空気圧

怖いよー(涙)

思わず頷いちゃった俺ってば、誰も責められないと思う!
てか責めないで!!

「そのちょーご機嫌な杏滋も朝飯食いに行く?」
「ちょうど、俺も向かってた所。」
「じゃ〜〜行こ〜」
「おう」

真っ白状態の俺

おりゃーもう疲れたよ・・・・・

そんな俺を引き摺るウイ先輩と一条先輩の後を歩くフェロモン大王。
その大王に何かが飛びついた。

「榛原先輩、おはよーございます!」
「お?・・・・あぁ・・・・落合か・・・・おはよう」
「珍しいですね?この時間に朝食ですか?」
「まーな・・・・こんな時もある」

落合と呼ばれた可愛い子ちゃん・・・・
思わず、真っ白状態から一気に復活してそのフェロモン大王にくっつく可愛い子ちゃんを見た

マジカワエー・・・・・(悦)

小っこくて(たぶん、ウイ先輩より小さいな・・・・)細くて白くて、イメージ的にマシュマロだね、うん!
でも、顔は猫目でちょいとつり気味、勝気な美人だ
まーでも、可愛い・・・・

「ちょっと、君君!」
「あ?何スカ?」
「何で見蕩れてんのさ?」

呆れたように一条先輩が耳打ちしてくる

「え?だって可愛くないですか?俺、可愛い子って好きなんすよねーvv」
「はぁ?」
「何スカ、その信じられません!って、顔・・・・失礼ですよ?」
「いや〜意外だったもので・・・・」

ホントに意外だったのだろう。
キレイなお顔を歪ませたまま開いた口が塞がってない。

「えーーじゃ、俺は?俺は可愛い?」
「ウイ先輩はエロ可愛い」
「・・・・エロ?」
「ぶふっ!」

一条先輩が噴出す
背を向けてしゃがみこんで笑っている

何で?何がツボったの??

「エロ可愛い・・・・って可愛い?」
「可愛い可愛い、普通の可愛いより可愛い」
「ん、じゃーイイや!!」
「苦しっ・・・・・おっもしれーー!!」
「一条先輩煩いです、早く行きましょう、あのフェロモン大王なんかほっといて!」

そうだな〜とか言って、目に涙をためながら立ち上がる一条先輩。

泣いてるし・・・・
何にツボったんだ?
謎だ

で、楽しげにしている二人をおいて歩き出したら、襟首を引っつかまれて引っ張られる

「うがっ!」
「コラ置いてくなよ・・・・待ってろ」
「いっいきなり引っ張らないで下さい!!」
「先、行こうとするからだろう」

行って何が悪い!!
てか、むしろアンタと一緒したくない!

「スマンな落合、コイツと飯食うから」
「・・・・え?」
「はぁ!?誰がアンタとっ・・・ふが!」

食うかってんだ!って言おうとしたのに羽交い絞めにされた挙句、手で口を覆われる。

何だこのヤローはなせーーー!!

ジタバタ暴れながらフェロモン大王に連行される。
そのさいに、落合と呼ばれたきっと同学年(だってネクタイ一緒)に視線を移したら・・・・・見なきゃ良かったと思うほどに、睨まれた!!

可愛い子に睨まれた!!
ショック!
ん?
てか・・・・・その周りにいる似たような感じの子らも同じように視線で人を殺せそうな勢いで睨んでいる・・・・
えーーーーーー??
何でーーーーー(涙)??

ショックのあまり、手を離されて自由になってもそのままボー然としてしまった。
何だか近頃、良い事ない!
嫌われ人生まっしぐらだ・・・・・グスン・・・・・
テーブルに突っ伏して嘆いていたら、目の前の席に見知った人物が俺を見ていた。
見知ったって言うか・・・・

「諫早様・・・・・!!」
「や〜七緒くん、俺を置いてどこへ行ってたのかな?」
「え、いや・・・ちょいと茶ーさ、芝刈りに?」
「へー?で、その茶は?」
「・・・・ただ今、朝食をお取りに行ってらっしゃります」
「そのようだね」

淡々とした諫早様の喋り。
怒ってるのか普通なのかは図りかねる!

「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・・・・諫早様・・・・・??」

名前を呼んでも反応なし、
ジーーーっと俺を見詰めたかと思うと・・・・
溜息をつかれられた・・・

えーーー!!

「お前ねー」
「はい!」
「勘違いも甚だしいよ?」
「はい!・・・・・え?」
「だーかーらーー!昨日の事で、俺は全然怒ってもいなければ気にすらしてないの」
「え?」

はーーーっと勢いよく溜息をついて、頬杖を付く。
可愛い顔が手の上に乗って俺を見ている。

「虎汰先輩のアレって、挨拶みたいな・・・・てか、病気?なのよ」
「・・・・はぁ・・・・・病気、ですか・・・・」
「そ、毎回毎回、やってるの気にしてたらキリないしね?」

毎回毎回って・・・・一条虎汰!
諫早様というおキレイで可愛いらしい恋人がいると言うのに誰でも構わず押し倒すのか!?
許さん!!

「それにさ、あの人、あーー言う感じに軽いこと言って押し倒してもね、ヤル事もキスすらする事もないんだよ」
「・・・・・・・・」
「ま、だったらイイかな?って思ってるの、日常茶飯事。だから、気にしてないから七緒も気にするな」
「って事は、怒ってない?」
「怒るわけないでしょーって言うか、今日、機嫌悪かったのは夢見が悪かっただけです、分かった?」

夢見って・・・・アンタ!
でもっ!!

「うえーーーーー諫早様ーーーー(泣)!!」
「はいはい」

テーブル飛び越えて諫早さまに抱きつく。

良かった!!
良かったよーーー!!
マジで、嫌われてなくてよかったジョーーー!!

「これからも仲良くしてくんさーい!」
「してやるよ」

ニコって、言葉の割りに可愛らしい笑顔を浮かべられて俺ってばノックダウン!!
マジカワっ!!
これでこそ、本物の可愛い子ちゃんだよな!!

「ってかさー聞いてくださいよ、諫早さん!」
「何?」
「俺ってば、何だか知らないけれど歩くだけで敵を作ってるようなんですわ!」
「・・・・・はぁ?」

呆れたような声で切り返す諫早様。
その気持ちよく分かりますよ、だって俺もそうだもの。

「何ソレ?」
「いや〜ね〜?先ほど、不可抗力ながら一条虎汰先輩とウイ先輩と一緒になりまして、ここまで一緒に来たんですよ」
「・・・・・・・」
「で、途中でくそフェロモン大王にも出くわせちまって、一緒させられたんですわ」
「大王?」
「あーーあの、榛原杏滋とか言うクソ男の事」
「・・・・・・・」
「しーたーらー!廊下を歩くごとに四方八方で俺を射る的の如く睨みつけるんですわ!!」

あれね、的の気持ちが分かった気分。
てか、的の気持ちを分かったからとか言って何もならないですけど!
代わって差し上げることも出来ないですが!

「何で?何でかな?しかも!さっきさーちょー可愛い子にさー殺されそうな勢いで睨まれるしぃ・・・災難!」
「可愛い子・・・・?」
「そ、勝気美人な感じ。大王にくっついてた、妊娠させられなきゃ良いけど・・・・」
「いや、出来ないと思うけど?」
「いや、あのクソ男なら出来そうな勢いだと思わない?」
「・・・・・さぁ・・・・・」
「何つったかなーーーーえーーーーー・・・・あ、落合とか呼ばれてた!」
「落合・・・・!?」

そこで、びっくりしたような諫早様。

え?何で?

「落合って言った?猫目の?」
「そーそー!猫目って言うかちょいとつり目の・・・・・その子が睨んでた〜」
「マズイな・・・・」
「そうそう、マズイよ・・・・・え?何が?」
「マズイよ、かなりマズイ」
「え、え、え?」

マズイって!?
俺なんかした!?

「落合って、何?」
「あーーー落合ってのは、1学年一の姫だよ、しかも榛原先輩のシンパ」
「あー道理で可愛い・・・・・え、シンパ?」
「そ、熱狂的なシンパの一人」

シンパって・・・・
えーーー男のシンパ??
マジで!?

「七緒・・・・気をつ・・・・・!?」
「??どうしたの・・・・諫は」

驚愕の表情を浮かべた諫早の顔



どうしたのかってな?





そう思って首を傾げた瞬間には、