■ ライオンと子猫の愛と命令と主従の狭間にある関係























親とはぐれた子猫は

その存在を

求めて



悲しげに声を上げる






































で、言われるがままボタンを留めてやる
だって俺ってば心優しいですし、
楓曰く、変に人が好いと言うらしくて
メンドイ事嫌いなくせに、メンドイ事やってあげちゃうのです
しかもさ、
目の前の人、小っちゃくても可愛いくてもさ
一応ね?
ネクタイ見ると上級生なんですわ、
先輩なんですわ、
だったら言うこと聞かないとね?
これがムカつくヤローだったら落としてますがね?
俺ってば、
可愛い顔の人にはとことん弱いので!
言うこと聞いちゃいます!!

「七緒ちゃんやさしーね〜?」
「は?普通だと思いますが?」
「普通の人はね、こんな事してくれないんだよ」
「そうっすか?」
「そう、ボタン留めるかわりに全部脱がされるの」
「・・・・・・・・・・・・」

あーあのーえっとですねー
そんな事、普通に笑いながら言われましてもねー
俺にどんな答え方しろっての!?
俺ってば、そんな事が常識では通じない世界にいたので!
全然っ理解できないんですよ!!

「あーーーじゃーーーさっきのは同意じゃないんですか?」
「ん〜〜50:50って所かな〜」
「・・・・??」

何だよ、
その50:50って?
半分半分?
何が?

「同意であって同意じゃないってことですか?」
「んーーーー近いようで、近くなくて、そんな感じ?」
「どんな感じですか!?」
「んーーーーー??」

俺の突っ込みに、
困ったように笑う目の前の先輩
昨日、フルネーム聞いたけど忘れてしまった・・・・
仕方ないので、
言われたように、ウイ先輩と呼んでやろう
俺ってば偉そう!

って言うかさ、
近いようで、近くなくて、そんな感じ?
って、どんな感じ?
意味分かんない!
ってか、言った本人も意味分かってない!?

「何て言えばいい??」
「いや、俺に聞かれましても・・・・」
「だよねー・・・・ん〜〜〜〜〜?」

身体が、真横に傾く
それは自分では支えることが出来ない傾き、
なので、俺が支える

ってか、そこまで傾いて考えなくていいですから!!
倒れますよ!?
手、離しちゃいますよ!?
離さないけど・・・・
だって!
可愛いんだもんっ・・・・・!!

そんな俺が変態じみた事を心の中で叫んでいたら、
ウイ先輩が、ポツリと零した

「だってね、言われたんだ」
「・・・・・・え?」

にっこり笑いながら

「僕の好きな人のね、今イギリスに留学中なんだよね」
「はぁ・・・」

とんでもないことを口にする

「って言うか、恋人なんだけど、その人がね『寂しかったら誰かとせっくすして良いよ』って言ったから」
「・・・・・・・」

は?
あーーーーー?
え??

「だから、別にシたくはないんだけど寂しいから誰でも良いの、寂しくなくなるなら」
「・・・・・・・・」

寂しいくなくなるならって・・・・・
ならって・・・・

「別に寂しくはない時にも押し倒されるんだけど、抵抗しても無駄だし、ま、いっかー・・・て?」

って?
ま、いっかー?

「せっくすしてれば、考えなくてもイイコト考えなくて済むし、寂しいって思うことも少なくなるし」
「・・・・・・・・」
「シてれば、りゅうのすけとのせっくすよりは劣るけど、りゅうのすけとシてる気になるし」
「・・・・・・・・」
「だったら、誰でも良い・・・・・りゅうのすけを感じられるなら、りゅうのすけがシろって言ったから」

だから、するんだ
と、笑う。

当たり前の事のように
笑う。

でも、俺からしたらそんな事は全然
普通でもなければ
当たり前の事ではない
好きな人を感じたいからとか
感じられるからとか、
言われたからスルとか
そんな事は
普通でもなければ
当たり前でもない

俺にしたら
とても
とても
とても
オカシイ事でしかない

そんな事が、顔に出たのか
ウイ先輩がちょっと困ったような顔する

「七緒ちゃん・・・・?」
「・・・・・・」
「怒ってるの・・・・かな?」
「・・・・・・」
「えっと・・・・ごめん、ね・・・・??」

困ったように笑う

何で俺がこんな顔するのか分からずに謝る

謝りながら

泣きそうに

顔を歪める

寂しさを紛らわせられない


本当の顔が



あらわれる



「だって・・・・ココにはいないんだよ、りゅうのすけが?」
「そうですね・・・・・」
「寂しい、んだ」
「はい」
「会いたいの」
「はい・・・・」
「ごめん・・・なさい・・・・・・」

ポロリと
涙が零れる

「もう・・・しない・・・・」
「そう・・・・・してください」

寂しいからって
シろって言われたからって
会いたくたって

でも、
それでも
誰かを
代わりにするのは良くないと思う

「寂しかったら言ってください」
「・・・・・・ふぇ?」
「相手してあげますから」
「せっくす?」
「違いますよ!」

何で
そんな事簡単に口にするかな!?
ってか、
可愛い顔して
連呼しないで下さい!!

「遊び相手になります、って事です」
「遊び?」
「寂しくなったら、俺の所に来れば寂しいなんて事忘れるくらいに笑わせたあげますよ」

ほら、
俺ってば最強の必殺技あるし?
あの可愛い滝双子弟を笑い死にさせられるくらいのね?
顔芸がありますんで!

「ありがとっ」
「いーーーえーーー」

やった!
これで、可愛い子またもやゲッツ!!
ダブルゲッツ!
トリプルゲッツ!
まてよ・・・・でも・・・・俺ってば・・・・諫早さま敵に回しちゃったし・・・・・






「ショックでけー・・・・・(涙)」







そんなこんなで、

親元がいない子猫を拾っちゃったとさっ・・・・・・!!


てか
また俺ってば敵が増えたし!!