■ ライオン男の下半身直通型の恋模様、まき込まれ注意報発令中





























ばたーーーーーーーーーーん!!









ビクっ!

「静かに入って来いバカアンジー!!」
「無理!」
「煩い!帰れ早く自分の世界に帰れバカ!!」
「馬鹿じゃないから帰れません」

入ってきて早々に罵られるのってちょっと嫌

何て心の中でブーたれる榛原杏滋18歳
諸事情により1年留年中
本人まったくもって気にしたご様子も無く二年生を満喫中

で、そのライオンに食って掛かるのはこの学院の生徒会長であらせられる岸本斎
ライオンの幼馴染
お綺麗な王子さま顔を此れでもかと言うほど歪ませて睨んでいる

「まぁ落ちつけよ斎・・・・・」
「〜〜〜!」
「そうだぞ、血圧上がって倒れちゃうかもしれないぞ?」
「アンジーが言うな」
「へ〜い」

もう一人、副会長の樟賀京も困ったように笑う
いつもは斎のポジションを自分な筈なのに、如何せん杏滋を目の前にすると立場が逆転するから不思議だ
宥め役に回る

そんな杏滋の腕の中で横たわる生徒に漸く目が行った

「アンジー・・・・何ソレ?」
「これ?」
「それ」
「ふっふふ〜〜vv拾ったv」
「・・・・は?」

ちょーご機嫌に言ってくださる
しかし、人間を拾うのは有り得ないし
落ちているわけでもない

「嘘付け」
「嘘じゃねーもんね〜」
「・・・・・って言うか、ココの生徒なんだから落ちていたわけじゃないだろうが」

ようやく怒りが落ちついた斎がもっともな事を言う
しかし、杏滋は拾ったを繰り返すだけ

「・・・・・見たことないな?転校生か?」
「そんな話しは聞いてないぞ?」

2人が覗き込む
しかし、俯き加減に長めの前髪に隠れた顔では認識も識別も出来ない
斎が手を伸ばしてその前髪をかき上げようとした瞬間、ひょいっと他所へやられる・・・・

「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」

もう一度、手を伸ばすがまたもや反対の方向へずらされる

「・・・・・・・・アンジー・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「子供かお前はーーーーー!?」

ついにぶち切れる斎様
が、お構いなしに腕の中の生徒を抱えなおす

「駄目だな〜此れは俺のだから触るな」
「・・・・・・・・・え・・・・・」
「はっ?」
「だ〜か〜ら〜〜此れ、俺が拾ったから俺のモノ。俺のモノだから触るな、イイか分かったな?」

珍しくニコニコ笑顔で言ってのけると、昔から幼馴染2人はあんぐりと口を開けて固まった

衝撃の瞬間
衝撃的瞬間

この劇的ニュースを聞いてしまった幼馴染は数秒の沈黙の後に叫んだ

「「はぁぁぁっ!?」」
「うるせーな〜相変わらずお前らは・・・・・って言うか俺のモンは可愛いだろう〜?」

2人の叫びを煩いで済ませた後の、惚気
さすが、ライオンである
自分の世界しか見えていない

「ああああアンジー!?」
「ねねんえねね熱でもあるのか!?」
「人間熱が無かったら死んでるんだぞ?」
「じゃなくって頭が可笑しくなったのか!?」
「可笑しくなんてなってねーよ・・・・って言うか俺の話しを聞けよ、俺が言ってるんだから答える、可愛いだろう?」
「お前こそ話しを聞けよ!」

って言うか顔を見せてもらってないのに可愛いも何もない
でも、うんと頷けと強制
ブチ切れる斎に対して、落ち着きを取り戻す京

「で?誰だってソレは?」
「その前に可愛いか可愛くないか答えろ」
「答えてやるから顔見せろ」
「嫌だ」
「じゃー答えてやんねー」
「人で無しだなっ京!」
「お前馬鹿だよな、昔っから。って言うか自分勝手すぎだ」
「誉めるなよ」
「誉めてないでちゅよー」

会話成立
していないようでしている
数少ない稀な存在だ
ちなみに斎は毎回放棄する
理解すらしない

「って言うか、お前らコイツに会ってるぞ?」
「・・・・・・何?」
「は?」

そこでマジマジと眠っている生徒に視線をやる

どこにでもいるような普通の生徒にしか見えない
杏滋に抱かれているからか、大きくもないように見える
規格外サイズの杏滋と比較しているせいもあるが、見るからに華奢だ
腕も足も腰すらも平均男子生徒より細い
色白に見えるのは黒髪のせいかもしれない

「黒って言うか・・・・青黒いって言うか、グレーっぽいな?」
「キレーだろう?毛先に行くほど白っぽいんだぞ?」
「ふ〜ん」

言われて見ればそうである
そこで、斎がはっと・・・何かに気付いた

「昨日の・・・・奴か・・・・?」
「ピンポーン正解です、商品として俺の使い古したシャー芯をやる」
「いらんわ!」
「我侭言うなよ、斎」
「死ね、消えろ、塵と化せ!」
「うわー俺、今軽いイジメにあった・・・・」

とか言いながら全然堪えてない

「って言うか、昨日見た段階では【俺、イジメにあうのが特技です】って感じじゃなかったか?」
「モサイって言うかダサいって言うか地味って言うか?」

酷い言われようだ
本人、ソレが目的だがそこまで言われなくても・・・・な感じである

「見る目が無いな〜」
「だったら、見せろよ」
「駄目」

ぎゅーーーと抱えなおして笑う杏滋
心底、嬉しいようである
疲れたように京は溜息をつく
顔を見ることは諦めたようだ

「で、お前のモンなの?」
「そ、俺のモノ」
「と言うことは恋人なの?」
「そうなるね」
「うわー杏滋に特定がついちゃったよーコワ〜」
「俺・・・・吐き気をももよおしてきた・・・・」

ぐっと顔を青くして口元を押さえて背を見せる斎
ヒクヒクと現実拒否をする京

「でも答えはもらってない」
「「ってソレは恋人じゃねーよ!」」
「いや、俺がそう決めたら俺たちは恋人同士だ!」
「ちげーよ!」
「お前思い込み激しすぎだ!」
「って言うか俺様すぎだ!」

誰もが激しく同意
自分勝手に決めて恋人もなにもあったもんじゃない

「お前に一番似合わねー単語だよな・・・・恋人だってよ・・・・キモっ!」
「天変地異の前触れだ・・・早く仕事かたしておこう」
「・・・・・・」

まったくもって酷い言われようだ
しかし、自業自得である
何も言わず杏滋は2人を生徒会室から蹴りだした

「「!!」」

廊下に転がり出ながら振り返る

「そっかー気持ち悪いなら早く保健室へと駆け込めお前ら」
「・・・・・・・・・」
「杏滋・・・・・貴様・・・・・何するつもりだ?」

疲れたように寝そべる京はもう何かに気付き始めている
知りたくも無いように耳を塞いで顔を廊下に埋めた
しかし斎は認めたくないからか、律儀に答えを求めた
考えてることと同じなのに

そして、杏滋は笑う
艶やかに
だれもを魅了してやまない
キレイな笑みで

「ヤダな〜〜〜斎、野暮なこと聞くなよ?」
「貴様っ」
「知っているか?今では【貴様】とは罵り言葉だが、昔は目上の偉い人に向ける言葉だって事を?そうだろう?」
「・・・・・・・・!」
「出直して来い」

無常にも目の前のドアは閉められた
次の瞬間には鍵の掛かる音まで

「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

ボー然と目の前のドアを見る斎
やっと聴きたくないことが終わったのだろうと耳指栓を外しながら立ち上がる京

しかし、次には

「あ、言い忘れたけど、今これから俺は愛と官能の時間を堪能する、聞き耳立てるなよ?聴かれると勿体無いから」

で、またドアと鍵は閉まった




「ばかアンジーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(怒)!!」






学院に響き渡る生徒会長の声

その後に続くように





「防音完璧だからココに連れて来たんだろうが・・・・・・・」


副会長の呟きがあったとさ