■ 明日、晴れたら












須藤 偲 -すどう しのぶ-




年齢25歳
職業、今最も人気を博しているモデル出身の俳優
光の角度で焦げ茶色に見える綺麗な黒髪
それに反して紅茶色の甘い瞳
ちょーをつけても足りない美形っぷり
声も年齢に反して低く落ち着いていて心地よく
モデル出だけあって抜群のスタイル
人も羨む9頭身の185cm
見た目スレンダーだが着やせするタイプで身体は引き締まっている
肌も綺麗だ
そんじゃそこらの女性じゃ太刀打ちできない


え?

何でそんなこと知ってるかって?






それは・・・・
それはね、





「吹〜〜〜〜たっだいま〜〜〜〜〜!!」

玄関がバタンと派手な音を立てたかと思うと、
次には近所迷惑というか階下に住む方に迷惑なほどドタバタ音を立てて廊下を走り、
またもやリビングのガラス戸を割れるんじゃないかと言う感じで開け放ってから
俺に飛びついてきた

「ぐっ・・・・ぇ!!」
「ただいま〜〜吹〜〜〜!!」
「っぐ、っぐ・・・・・ぐるしっ・・・・!」

ぎゅーーーーーーーーーっと
力加減無しに首を絞められて
挙句にはぐらんぐらんと横に振られて派手な歓迎を受ける
歓迎って言うか何と言うか
とにかく動きが派手だ

「吹〜〜会いたかったよ〜〜〜!!」
「わ、わ・・・・・ったから・・・・は、なっせー!」

ぎゅぎゅぎゅーーーっと
またもや力を入れてきたのでさすがに危険を感じで締める腕を叩く
もう一度、力を入れてからようやく開放された
途端に肺に送り込まれてくる酸素
空気って素晴らしい
いたく痛感

「あーー取り敢えず応急処置的な吹補給完了っ」
「げっほ・・・・・」

ソファーを乗り越えて隣に陣取ると、
肩を引き寄せられてこめかみにちゅくっとキスを一つ

「あ゛ーーーーかえってきたー」

そうなのだ
何を隠そう一般ピープルの俺、中林 吹 -なかばやし すい-は、
この住む世界の異なる芸能人、偲と・・・・・・
こ、こ、こ・・・・・・恋人同士なのだ
しかも同棲3ヶ月目
そうなった経緯はこの同棲をする一週間前で
酔っていた俺は同じ店で偶々飲んでいた偲に絡んでたらしくべったりくっ付いていた(らしい)
絡まれている偲も偲で嫌がればいいものを、
本人曰く『吹があんまり可愛く笑いながら好き好き言うから離れられなかった』だそうだ
意味が分からない
そいでもって・・・・・酔った勢いとはこのこと、
俺はこの男と一夜を過ごしてしまった
全く覚えていないが・・・・如何せん身体が事実を物語っていて・・・・!!
腰は痛いわ身体はダルイわ、
あらぬ所は痛みと変な疼きわあるわで・・・・・・偲の言葉を嘘だとは言い切れなかったのだ
ちなみに体中には赤い痕が・・・・・しかも有り得ん場所にまで!!
んでもって、
成り行き中の成り行き・・・・挙句には流れに流されてって言うか脅し宥めすかされて今に至る
今に至るとは付き合って同棲中の今の現状

「寂しかったって・・・・・・たった2日だろ?」
「2日も!なのっ俺にとっちゃー吹と2日も離れてるとかマジ有り得ないし!!」
「・・・・・ありえるよ・・・・」

無理無理ーーー!絶対に無理ー!とか子供のように駄々をこねるが如く叫ぶ
アホだ・・・・アホだアホだとは常々思っていたがこれ程とは、
世の中は不思議だ
こんなんのが大人気の俳優だなんて
ま〜テレビの中の偲はこの子供のような性格とは正反対の落ち着いたような雰囲気で、
穏やかに笑ってる大人の雰囲気を前面に出す俳優だ
この男のファンだという世の中に皆様、
きっと幻滅すると思う
俺も実はちょっぴり幻滅したのは内緒だ

「あ゛ーーーーーーつか、やっぱ吹の隣が一番落ち着く〜」

そう言ったかと思うと、
ごろりと横になって俺の膝に頭を乗せてきた
ダラリと垂れる長い手足がソファーの下に落ちる
さらさらの髪を梳いてやって

「お帰り・・・・お疲れさん」
「・・・・・・ん、」

安心しきったかのようにふにゃりと微笑む偲
歳相応のテレビの中の顔ではなく偲本来の子供っぽい笑み

ま〜・・・・・俺も、
何だかんだと言ってもほだされたと言うか流されてしまったと言えばアレだけど、
満更じゃない・・・・てか、
むしろ相当に嬉しいってのは本心
最初は有り得ない有り得ない騒いで偲から逃げ捲くっていたけど、
今じゃ〜そのーなんだ、
アレだ、
す、す、す・・・・・・好き・・・・だったりする・・・・・かな?
かな、じゃなくって・・・・・好き、です、はい
だってそうだろ?
こんな芸能人の綺麗な顔で一般人の俺に毎日毎日飽きもせずに好きだ好きだと迫られりゃ〜・・・・ねぇ?
落されちゃったわけですよ、うん
今じゃ立派な偲バカですよ
偲のファンに負けず劣らずの偲バカですよ

「メシ食う?作っておいたんだけど」
「ん〜〜・・・・・・な〜に〜?」
「和食中心にしてみた」
「マジで!?食う!!!」

ガバリッと勢いよく起き上がりキッチンに駆け込んでいく
そんなに急がなくても料理は逃げないと思う
いや、食ってなくなりはするけれども

「うおーーー肉じゃが!?秋刀魚の甘露煮!?煮物ーーーーー!!!!」

キッチンの奥から歓声が上がる
派手な見た目に反して偲は根っからの和食派だ
パンよりご飯、
麺よりご飯、
洋よりも和
朝は絶対にご飯と味噌汁がないと一日が始まらないと豪語
何が何でもご飯っと拳を作って叫ぶほどである・・・・・とにかく煩い

「なになになにっ!?何でこんな豪勢なの!?」
「いや、うん・・・・今日一日暇だったからさ」
「っきゃーーーー!!吹ちゃん大好きーーーーーーーーーーーーー!!!」

キッチンから出てきて俺に手加減無しに抱きついてくる
取り敢えず嬉しいとかの前より痛い
ウェイトの差を考えて欲しい
倒れないだけマシかもしれないけれど・・・・

「てことは論文終わりそうなの?」

ちょっと大盛りによそられたご飯にホクホク笑顔の偲が聞いてくる
そう、俺はまだ学生だ
とある国立大の文学科3年
ちなみに院まで上がる予定だからこれから先ずっとまだまだ学生

「ん〜区切りはついてきた」

これから色々と手を加えていけば時間がかかるけれど
取り敢えずの道筋はできたから

「そっか〜そっか〜〜俺も撮影に区切りついてきたからもうスタジオ撮りになる予定」
「じゃ、家を空ける事なくなる?」
「もちですよ!」

料理を温めてよそる俺の手伝いをしながら偲が心底嬉しそうに笑う
その顔を見て俺も笑う
ま〜ご飯の用意に頭を悩ませるけれども、
こうやって喜ぶ顔が見られれば良いってモンだよね?
って言うか作り甲斐がある

「はい、お箸」
「あんがと」

黒いお箸を両手で挟んで、
俺が席について箸を手に持ったところで

「いただきますっ」
「いただきます」

一礼してから偲が料理へと正しく飛びついた

「〜〜〜〜〜〜っうっま〜〜い!!」
「・・・・どうも、」

大きな肉じゃがの芋をそのまま口に入れて満面笑顔で叫ぶ
行儀がなってるのかなってないのか、
ちょっと悩むところだがま〜〜こんだけ喜んで食べられては怒る気力も失せる
・・・・・ご飯粒が飛ばなければの話しだけど

「偲・・・・・飛んでる、分かったから落ち着いて食えって!」
「だって美味いんだもーーーー!!」

がっつがっつとご飯をかきこんで、
味噌汁すすってまたかき込んで、
何処の欠食児童だと目を見張る勢い
お前・・・・・メシ食ってなかったのか?思わず聞けば

「いんや、食ってたけどさーーずっと洋食ばっかで食った気がしなかった!」
「・・・・・・」
「たまには良いけど毎日は飽きる!!てか朝がパンって有り得ない!!」

ホテルだからだろうか?
いや今なら色々と選べるのだろううが・・・・・きっと騒ぎになるとかで部屋で食っていたのだろう
呆れるほどに料理を平らげていく

「それに吹の料理だもんよ!」
「・・・・・あっそ」

最後にそう付け加えられて思わず顔を赤らめて見られるのが嫌だから秋刀魚を皿にとって食べた
甘露煮は好きだけど、
骨まで食べられるようにはしてあるけれど・・・・どうしても骨のアノ感触がいけ好かなくて骨を避けてしまう
目の前の偲はそのまま口に入れてる
デカイ口だな・・・・・オイ

「明日は休み貰ったから何しょうか、吹?」
「ん〜〜・・・・・そろそろ冷蔵庫の中身きれそうだから買出し?」
「んじゃさ、あのデッカイできたばかりのショッピングモール行こう!」
「いや、つーか大騒ぎなるだろうが」
「いやいやいや、俺って結構バレたことないんだって!」

そりゃそうだろう、
テレビの中と普段がギャップがありすぎて似てる程度で終わる感じだ
俺といる時の偲は外を歩いていてバレたためしがない

「じゃ・・・・行くか、」
「行こう!」

デッカイ口を開けてご飯粒つけて子供のように笑う
大きな子供だ
カッコいいのに可愛くて
大人なのに全然俺よりも子供で
それが俺だけの前なのってさ
すっごい嬉しい
この全開の笑みも向けられてるのが俺だけ
嬉しすぎる

「おかわり!」
「食いすぎ」

よこされた茶碗を呆れながら受け取る


明日は晴れればいいな





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拍手での2人
後日の同棲ラブラブっぷりです
売れっ子芸能人×学生
こんな設定好き(笑)

せっかく何もないと分かっていながらも来て下さってるかもしれない方へ
あと、何だか文の書き方を忘れそうなので書いてみた
離れてみると書く気力がなくなる
マズイ非常にマズイことに気づく
書き溜めとか有り得ない状況
もしかしたら、
また何か上がるかもしれません


2006/09/10