逃げ切ってウキウキな筈の有梨須はどうしてだかかなりのピンチに陥っていた
一瞬の隙を付いて、大好きな中庭に駆けこみ木陰にすばやく身を隠したのである
アルガーストであったならば、隠れても意味がないのだけれど
まだルーカスやアラシ相手ならば短時間だけでも見失わせることが出来るのである
その一瞬で自由を勝ち取ったはずだった
俺は自由だ!!
久々のシャバだぜこんちくしょーーーー!!
そうガッツポーズを決め込めて日の光を浴びているはずだった!!
なのに、
な・の・に!!

「ニャガ・・・・これって、どう言うことかな??」

隣で座って控えている大きな黒い猫さんに問いかければ、くぅ〜んと甘えたような声で明らかに【知らねーよ】発言
甘えたような声ならせめて【大変だね?】とか【大丈夫?】とかのほうが良かった
つか普通はそうだろうが!
しかしニャガにそれを求めても仕方ないと言えばとてもとても仕方ない
ニャガはメンドイ事が大が付いても物足りないほど嫌いだから!!
てな訳で、変な見ず知らずの黒尽くめに囲まれている
え?忍者?
うっそマジで!?
始めて見るーーー!!
な〜〜んて思っていたのだが、そんな悠著かつお遊びに付き合ってくれるような相手でもなかった
いや、遊んでくれなくてもいいけれど

「え〜っと・・・・・何か御用でしょうか?」
「ある」
「取り敢えず、僕はないんで失礼しても?」
「出来るとでも?」
「儚き夢であろうと、僕はそう思いたい!」
「儚すぎたな・・・・」

ショック!
人違いでも無さそうだ!!
えーーー僕、何も悪いことしてないのに!!
・・・・・いや、言いつけは守らなかったけど!!
エドの椅子にブーブー・クッション仕込みはしたけど!
あ、今のオフレコね?
気付かれた彼奴の驚いた顔が拝めないからね・・・・ふっふっふ・・・・

「エドのヤロー久々の屈辱を味あわせてやる・・・・」

20回中1回の確立でしか成功しない僕の悪戯
どんだけの地位確率か知れたモンではないが・・・・!!
今度こそはっ飛び上がる様が目に浮かぶぜ!

「お前・・・・自分の立場理解しているのか?」
「全然!!」
「・・・・・・」

ボクの即答に黒尽くめたちは少し困惑したよう表情を浮かべて隙を見せた
隙をつくのは大得意であるっ
その瞬間にニャガと共に合間を縫って駆け出す

「逃げるが勝ちさね!!」
「あっ!!」

あ!とか間抜けに叫んで黒尽くめがおっ駆けて来た

「何なの!?ボクが何したって言うの!?」
『お前、さっき言ってたこと覚えてないのか?』
「・・・・・・・??」
『覚えてないんだな・・・』
「いや!勝手に物事を決め付けるのは良くないと思うよニャガ!」

一緒に走りながらニャガがおもいっくそ溜息をつく
一言付け加えておくと、ニャガはちゃんと話すことができる
話すって言っても言葉を話すのではなくて意思を交わすと言ったほうが正しい
耳に響くのではなくて頭・脳にニャガの声が響く
しかも、僕だけに
そんなニャガの呆れたような言葉に不満だ!

『決め付けるしかないじゃないか・・・・覚えてないんだろう?』
「猶予をくれ世猶予を!ってかヒントくれ!!」

そう言ってる時点で覚えてません!と宣言してるのも同じ
誰もボクに記憶力は求めていない証拠
つかむしろ自分で声高に宣言

『お前やっぱ相変わらず馬鹿だな・・・・馬鹿でも可愛いからいいけど』
「待ってニャガ!全然誉めてないしまったくもってフォローにもなってない!!」
『してねーもん、俺の思った事だし』
「思わないで頂戴!!」

相変わらずの意味の分からなさだわ!
ってか超絶失礼な話しだわ!!
なんて思ってたら・・・・

『優男と腹黒いのが言ってただろう?』


は?


「・・・・・・は?」

てか誰の事??
優男と腹黒いの??

「ニャガちゃん?」
『お前の後ろとか横に引っ付いてる奴らだよ』
「え〜っと・・・え?」
『ヌル〜〜イ笑みを絶やさねー奴と、笑ってるけど腹ん中じゃ何考えてるかワカンネー奴』

ヌルイ笑み・・・・?
腹ん中じゃ・・・・・?
思い当たる節があるとすれば、
それって・・・・

「えっと・・・・・・え〜〜っと、思い当たる節としてルーカスとアラシの事だったりする?」
『そんな名前なのか・・・そいつらだ』
「・・・・・・」

ちょっと、ニャガちゃん??
そりはちっとばっかし・・・・・てか、かなり失礼なのでは?

「ニャガ・・・・」
『ま、取り敢えずそいつらだ、そいつらの言ってたこと』

ま、いいけどさ・・・・・
てか、
って言うか〜〜〜〜
ルーカスとアラシが?
何か言ってたっけ??

『今日は誰が来るとかたくさん来るとか言ってただろう?』
「・・・・・・」


言ってたっけ?


『やっぱお前、心底馬鹿で可愛いな』
「ニャガちゃん、それは全然誉めてないの!好意持たれてる気も感じられないの!」
『そうか?十分な愛でもって言ってるが?』
「感じられません!」

いえ!そんな事はもうどーでもいいの!
ルーカスとアラシが言ってたことが大事なの!
何て言ってたっけか??
ルーカスが・・・・・?

「言って無くない?」
『と言うより、言われただろう?と教えてくれたんだな』
「・・・・・」
『アレの言葉だ』


【今日は外から客人が大勢いらっしゃる―――】


あぁ・・・・・

「アルだ・・・・そう言えば、朝言われたかも・・・」
『思い出したな?』


【デライトを敵視する国もある】


そうだ、
そんな事を言ってた!


【大人しくしてろよ?】


そう言えば言われてみれば強く念を押された
気がする
そしてばリズにも久し振りに会って、そんな事言われた気もする!

「・・・・・・ってソレがコレ!?」
『しか思い当たらないだろうが、』

だけど、だけど、だ〜けど!!
この城でそう簡単に悪いこと出来ないんじゃなくって!?
そんなことも思い出しちゃったよ!

「今日なんかある日だっけ!?」

客が来るとかじゃなくて、別の意味での!
何かある日か!?

『別に何もないが・・・・』
「が?」
『間が悪い日だな』

えーーーーーーーーー
間が悪い!?

『今日ほど、城に別のモノ達がいない日はない』
「マジッすか!?」


この城を守るのは兵士だけではない
目に見えないたくさんの人ではないモノ達
その他にも、この城を守るモノ達がいる


目に見えないモノたち、
知られることがないモノたち、


「有梨須ちょーーーーーピ〜〜〜ンチっ!!」

なんて叫んだ瞬間に、ガシっと腕をつかまれた

『あ』
「お」

掴まれたって言うか捕まった

「騒ぐな、逃げようとするとただでは済まさないぞ!」

じゃーいくら払ったら済ましてくれるのかな?
そう言われても実は持っていないけど、
って言うボケは敢えて口には出さないておいた





TPO






久し振りに考えてみちゃったりしました

慣れない事ってするもんじゃないね?
いたく実感