■ 友達と親友とセンパイと恋人と愛人との曖昧関係













「りゅーのすけー」
「何だ?」
「俺ねー今度、七緒ちゃんの愛人に任命されたんだ!!」
「・・・・・・・・は?」

とあるライオンと子猫

「虎汰センパイ」
「何ですかー」
「俺、七緒と結婚が決まりました」
「・・・・・・・・っえ!?」

とあるライオンと姫

「おぅ榛原!」
「?」
「俺ってば一度に奥さんと愛人手に入れちった!」
「・・・・・・・・あぁ?」

とあるライオンと虎

「「「何、言ってんだ!?」」」

ライオンが声を揃えて叫んだ。

「何ってねぇ?」
「ねーー?」
「言ったまでの事実だけど?」
「そうだよねー?」
「そうだなー」
「俺ってば、こんな可愛い奥さんと愛人手に入れて三国一の幸せ者じゃねー!?」
「よっ幸せ上手!」
「憎いねっ七緒ちゃん!!」
「いや〜〜」
「七緒、俺を幸せにしろよー!」
「勿論だとも!」
「七緒ちゃん、俺の事を一番い愛してね?」
「当たり前です、これ以上の愛はありませんよ?」
「きゃーv」
「きゃー(棒読み)」
「いや〜〜〜照れるな!!」

でれっと鼻の下伸ばして照れる七緒。
其れを両脇で喜ぶ、央と諫早。



「「「ちょっーーーーーーーっと待てい!!」」」



大声を張り上げるも、3人は冷たく言い放った。

「待ったなし」
「待てない」
「待てないと言うか、待つ必要がない」
「待つ必要がないと言うより待つ意味がない」
「待つ意味がないと言うよりなぜ待たなければならないのか?」

3人は言う、
3人は固まる。

「「「なぜならお前が必要ないからだ」」」













ジリリリリリリリリリリリリッリッッッ、カチ・・・・・・・・・・・・・・





バターーーーーーン






「「「人のモノに勝手に手を出すなっーーーーー!!!」」」






3人のライオンが、いきなりドアを上げて大声で罵る。

「うるせーーーー!」

ドガッガッガっ!!

もう一つのドアが開いて、
英和辞書と国語辞典と古語辞典が飛んできて、3人の頭にクリティカルヒット★
廊下に三つの死体を発見した人物は一言、

「え、墓場?」

と、漏らしたそうな。
ちなみに、もう一つのドアの家主は寮長様である。

そんなこんなで、30分後。
ようやっと三途の川のバーさんの求愛から命からがら逃げてきた(らしい)色男三人組は、不機嫌です!!と言う表情そのままに廊下で顔合わせをした。
三人三様に無言で睨みあう。
むしろいがみ合う、
朝から大変、邪魔で鬱陶しいことこの上ない様だ。
誰もその場を通れる者はなく、一体どうしたもんかと遠巻きに見守っていた。
そんな誰も近づけないハリケーンの真ん中を堂々と横切る、一人の男。

「鬱陶しい」

そんな一言を零しながら。

「「「・・・・・・・」」」

さすが氷の男と名高い春日井寮長である。
スタスタと颯爽とした足取りで歩くその背中を、何とも言えない気分で見送った。

「行くか・・・・・」

榛原がぽつりと呟けば、思い出したように2人も後に続く。
今までの険悪な空気は吹き消されていた。

「って言うかさ〜何で俺たち、三人同じ夢見てるわけ?」
「知らねーよ、んなこと」
「まったくだ」

一条が、頭の上で腕を組みながらそう問えば、メンドくさそうに榛原が答え、杜平が欠伸を噛み殺しながら返した。
そう、三人が三人同じ夢を見て同じように飛び起きて、ドアを開けて叫んだのである。
そして、頭に辞書を食らったのだ。
それが、先ほどの一時間と経たない前の出来事。
自分たちの想い人もとい恋人が、恋人である自分を差し置いて愛人だ結婚しただとぬかしやがった。
何を根拠にそんな夢を見たのかは謎だけれど、無性に会いたくなってしまった。
よって当てもなく歩くこと数分。
とある談話室の前で、聞きなれた笑い声が上った。

「諫早だーー!」

喜々として一条がそのドアを開ける。
開けたが、何も言わずにそのままフリーズした。

「虎汰?」
「何だよ?」

不思議に思った榛原と杜平も、その後ろから中を除き見る。
見て、2人も固まった。

「「「・・・・・・・・」」」

3人は頭の中で同じ言葉が浮かんだ。


正夢か??


と・・・・・何故そう思ったか?
中では、

「あーーーりゅーのすけ、おはよ!あんちゃんも、こたつもおはよー!」
「「「あーー・・・・あぁ」」」
「虎汰センパイ、おはよう。榛原センパイも杜平先輩もおはようございます」
「「「お、はよ・・・・う」」」
「そんなトコに突っ立ってないで入れば?」
「「「・・・・・・・」」」

訝しげな七緒の声に、3人はフラフラと中に入る。
未だ状況についていけない3人は何も言わずに中での3人様子を呆然と見ていた。
何をそんなに見ていたかと言うと、
大きなソファーに仰向けに寝っ転がった七緒の腹の上より下に馬乗りになっている央、
その七緒の頭を膝の上に乗っけて雑誌を読んでいる諫早の姿があったからだ。
楽しげに遊んでいる様子は微笑ましいように思えるのだが・・・・・
見ようによってはイヤらしくもも見えなくもなく、
ただでさえ朝の事があった三人には、
夢のお告げがあったのか!?
と疑わずにはいられないようである。

「ウイ先輩、もうちっと太ったほうがいいっすよ?」
「えーそう?」
「乗っかられてる気がしない」
「えーーーー!?」
「七緒、髪痛んでる」
「うっそマジ!?」
「マジ、ぱさぱさしてる」
「えーどれどれ?」

七緒の胸に腹ばいになった央が、手を伸ばして髪に触れる。

「本当だ!」
「憂崎先輩は髪キレイですよね」
「そうかな?」
「どれ・・・・あーホントだ柔っらけー!」
「諫くんの髪っだってキレイだよ!」
「そうですかね?」
「っつーか俺もキューティクルに気を使うべきか?」
「キューティクル!?」
「まーハゲたくなかったら気を使えば?」
「いやーーー!この歳でハゲになりたくねー!!」

ぎゃーーーーー!っと、寝転がった状態で七緒奇声を上げて、それを胸の上から笑って見ている央。
その2人を笑いながら見下ろす諫早。
何とも仲睦まじい光景に、入り込めない3人。




その後も、
ただただ呆然と見ているだけしかなかったとさ・・・・・・・・





ご愁傷様






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60000Hit キリリク、あーーーーーーーざっす!!
本当にココまで来れる事ができました、ありがとうございました!!
コレもみな、皆様のお陰でございます(礼)
そして、リクエストして下さった葵様、心の底からありがとうございました!!
『緒君と諫早君それにウイ先輩達の、受けの男の子達の仲の良い(?)様子にヤキモキする攻めさん達』との事ですが、
ヤキモキ・・・・と言うより、入り込めなくて呆然?
みたいになってしまって!!
こ、こんなんで大丈夫でしょうか!?
如何せん、寮長が微妙に出張って良いトコ取りしちゃってるのが・・・・・ミソです。
宜しかったら、受け取ってください・・・・!
スイマセン・・・・・・(脱兎)