■ 戦う!セバスチャン  ユーゼフ×B




【くしゃみ】










「へっくし、」
「風邪か?」

いつもの如く、
屋敷の掃除に精を出していた俺たち
窓を拭きながら横のAが一つくしゃみをした

「うーーん・・・・あ!」
「何だよ」
「もしかして俺って噂されてる!?」
「・・・・・」

やーん綺麗なおねいさんだったらどうしよう!とか言うのは分かるけど、
どうしてそこで、

「セバスチャンだったらどーしよー!」
「・・・・・・」
「っきゃ」
「・・・・・たぶんきっと、有給を失くすとか給料下げるとか今日の夜勤の時間とかヘイジ討伐t」
「い・や!!」

いや、じゃねーよ、
どの面下げていやだよ、
可愛いこぶんなよ、
つかむしろなにがっきゃだよ、
だったらくだらねーこと言ってねーで仕事しやがれ
そんな気持ちをこめて大きく息を零すも相手はAである
俺の気持ちなんてこれっぽっちも汲み取りやしない

「まー・・・・あと2回続けてくしゃみしたら、風邪だな」
「絶対しない!」
「絶対の意味が分からないんですけど、」
「っっ」
「つかもーしそうだし、もー風邪だって諦めろや」
「っっっぶぐふっ」
「汚ねっ」

くしゃみを我慢したおかげで何かが噴出された
そしてそれがせっかく磨かれたガラス窓の張り付く
張り付いてゆっくりと垂れていった

「お前何やってんだよ!!」
「だって・・・・だって!!」
「あーーあーーも!鼻拭けっ」
「ぐしっ・・・・・へっくち、」
「はい、風邪決定」

先ほどの空振りしたようなくしゃみと今のくしゃみを入れれば、
全部で三回
あっけなくA曰くの『セバスチャンが噂してくれた』の夢は終わった
鼻水と一緒に涙が垂れる
仕方なしにソレを拭う・・・・・・今まで廊下を拭いていた雑巾で

「お前のソレって優しさ?それともイジメ?」
「は、何がだよ」
「やーん、この子って天然!?」

計算だったらいかにしようか!とAが心の中で思うも
目の前の俺はと言うと、眉間に皺を寄せるだけで拭う手を止めるでもなく、
ましてやイジメだと見るからにするわけでもない、

「無駄口たたいねーで、早くその汚いの拭けよ」
「やいやいさー」

即されて仕事に戻る俺たち
またも黙々と仕事を続けた・・・・・その時、

「・・・・・・・っふ、」
「?」

何かの小さな音
Aが熱心に動かしていた手を止めて音のする方へと目を向ける

「・・・・・・?」
「・・・・っ・・・・」

今まで無表情に窓を拭いていたはずの俺の手が止まる
Aが見るとその白い眉間に軽く皺がよっている

「B?」
「・・・・・っ」

時折、
口が小さく開いたり閉じたり
鼻がぴくぴく動いたり
目が眇まったり・・・・・ソレはある行動の前触れ、

「・・・・・・お前、もしかして」
「っふ・・・・・・・、っくしゅん」
「っあーーー!!」

小さくくしゃみを一つするB君に、
大事件でもあったかのような大声を上げる
その瞬間、

「っるさい!」
「ぎひゃっ」

べしこーーん、と窓を拭いていた雑巾が見事にAの口に治まる
じゃすとふぃっと、

「あーーすっきりした、」

ぐしぐしと鼻をいじってむずがるのを抑えて、
ポケットからハンカチを取り出して身だしなみを整える
さすがにやる事はAとは違う
当たり前だ一緒にされては困る

「B!」
「何だよ、復活が早いな」
「そんな事より次は!?」
「は、次?」

ソーー次!!となにやら期待して見られる
見られても何もではしないけれど
何が言いたいのだろうか?
この仕事の次のことだろうか?

「次って・・・・・次は休憩だぞ?」
「違う違う!」
「違うのか、そうかだったらお前だけ仕事をしていろ」
「あっちょと待ってーーーー!!」

やっと綺麗になった窓に一つ頷いて立ち上がり、
ようやく訪れた休憩に休憩室へと向う
その後ろをAが慌ててついて来た
ぎゃいぎゃい後ろで何やら叫んでいるのを軽く流して戸を開ける、

「やぁ待っていたよ、B君」
「!!」

そんな声を聞いて思わずせっかく開いた戸を閉める
閉めたと同時に後ろから

「おいてくなよーーB!!」
「ぅっわ!」

どすっと背中に体当たりされて、
閉めてしまった戸に

「っ・・・・・・・・ぶつかんな、い?」

痛みを覚悟して目を瞑るも何も感覚は訪れない
しかし何か暖かいものに包まれる
そんな感覚に気づいたところで後ろでとても痛そうな音が響いた

「・・・・あ、あれ?」
「危なかったね、B君?」
「・・・・ゆーぜ、ふ・・・・さま?」
「ん、そうだよ。さ、座って君の好きな銘柄の紅茶も用意したよ」
「俺がな!」

背中を押されて座るのを即される
混乱する頭で言われるがままに座る
目の前にはいい香りがたつ赤い液体
さも自分が用意したような言い方にコックが後を続けるのに何故か聞こえなかった

「・・・・・・あれ、俺どうやって・・・・え、だってさっき」
「どうしたの、B君ブツブツと」
「え・・・・・・え?」

手に紅茶の入ったカップを握らされて、
ニコニコ笑みを目の前で浮かべるユーゼフ様の顔をと、
先ほど入ってきた・・・・と思う、
つーか入ってきたはず?の戸を見比べた

「あーそのこと?」
「え?」
「良いんだよB君はそんな細かいこと気にしなくて」
「細かいことって・・・・?」

穏やかにきれいに微笑まれて、
暑くないはずなのに汗が垂れる
むしろ冷や汗が、

「そんな壁を通りn・・・・・んーん、何でもないよ」

にこっり微笑まれてもですね、
今何と言う言葉を区切りましたか!?
何と言う言葉を言おうとしたんですか!?

「は、は・・・・はは、あはは」
「そーそー、気にしない気にしない」
「気、にしない・・・・気、にしない(涙)」

気にしちゃいけないんだ、
そうだ俺っ
そんな細かいこと気にしちゃいけないんだ!!
男は細かいことに拘っちゃいけないんだ!!

「こ、こ、紅茶がおいしいなー」
「そうでしょう?」

またも僕が淹れたんだから、的なニュアンスにコックが俺が!!と叫んだ
セバスチャンに止められるまで、
そんな中できっと戸を開けて潜って入ってきたと思われるむしろ思いたい戸が開くと、

「ひ、ひ・・・・ひどいや、B」
「A・・・・・」
「痛かった・・・・!」

顎と鼻頭とおでこを赤くしたAが文句をタレながらながら入ってくる
ぶーぶーと煩い、
が用意されたカップを目の前にして落ち着きを取り戻したらしい
むしろ何を言おうとしたのかを忘れたらしい
ニコニコご機嫌にカップに口を付ける

「ふいーーー極楽、極楽」
「いや、言葉の選択間違ってるだろ」
「あ、そうだ!」

突っ込みもなんのその、
何かを思い出したのかまたも大声を上げた

「Bっ続きをしろ!!」
「またそれか・・・・続きの仕事はこのあt」
「違っーーーーう!」
「違う・・・・セバスチャン、窓拭きの後に仕事はありますよね?」
「あるに決まってるだろう、次は庭の草むしりだ」
「ほら、」

いや、草むしりかよー
メンドイと言うかメンドイな、うん
俺は温室の世話にしようそうしよう
何て頷いていたらまたも

「違うって!!」
「んだよ、何が言いたいんだよ」
「だからーさっきのくしゃみの続きをしろってー」
「・・・・・」
「じゃなきゃお前、噂されたってことになっちゃうだろー」
「・・・・そんなこと、どーだっていいじゃねーかよ、」

力強く、
何をそんなに勢い込んでと思うくらい拳を作ってAが叫ぶ

「俺が風邪で何でBが噂!?ズルイぞっお前ばっかりセバスチャンに噂s」
「いや、されたくねーし、しないし何をそんなに何が言いたいんだお前」

何で噂全部がセバスチャンよ?
お前セバスチャンに何を求めてんだよ
しかもズルイって何だズルイって

「おやおやおや、穏やかじゃないねー」
「・・・・・いや、ユーゼフ様の背後と言うか空気と言うか雰囲気のほうが穏やかじゃない気がするんですけど!!」

俺の隣でほんわか声を出す割には俺の右半分が危険を察知してるんですけど!?
むしろそろそろ全体で異常を察知気味なんですけど!?
何で急に瘴気!?

「そう?」
「自覚してっお願いしますから自覚プリーズ!!」

青い顔でガタガタ震えれば
き・に・し・な・い!何ておちゃめ(?)に言いながら俺の頬をつんと人差し指を突き刺す
そこに触れた瞬間、
電流が流れたと言うくらいに身体が跳ね上がった

「っひ!」
「B君はホントに敏感だよねーいじm・・・じゃない弄りがいがあるよねー」
「スイマセンお願いしますから言葉を切らないで下さい、お願いですから俺の睡眠時間を奪わないで下さい!!」

アンタのおかげで毎日のように気になって眠れないんだ!!
不本意ながら俺の脳はアンタで占められてるんだよ!!

「いいねーB君の時間も思考も身体も心も全部僕で埋め尽くされて占められるだなんて、至福だね」
「俺はもー限界ですっ」

そろそろ心の余裕の限界ですっ
くすくす笑う声が近いっ
むしろ空気の流れるのが分かるような距離なんですけどっ

「さっきもしかして、くしゃみした?」
「・・・・・え?」

耳元で囁かれる声
思わず聞かれた言葉を聞き流して
その聞き流した言葉を引き戻して噛み砕いて考えてみる
いや、そんな事しなくても言葉の意味は簡単

「くしゃみ・・・・」
「そう、15分くらい前」
「・・・・・・・してn」
「しました!!しましたよっユーゼフ様!」

俺がせっかく否定しようとしたのにAが余計な一言を言いやがった
ホントっお前って余計なことしかしないよな!!
今度きっちり思い知らせてやるっ

「だろうね、」
「やっぱり!じゃーやっぱりせばすty」
「セバスチャンなワケないだろ、僕だよ僕」
「・・・・・・っ」

セバスチャンに視線を向ければ我関せずを通されて、
コックを見ればコーヒー片手に肩をすくめている
そしてニコニコ笑顔のあくm・・・・・じゃなかったユーゼフ様に視線を向ければ

「そー僕だよ」
「・・・・お、おれ、おれのうわさ・・・・っ」
「そぅ・・・・君の事を色々とこのふたr」
「っぎゃーーーーーーーーーーー!!!」

べちーんとその口を両手で押さえつける
もう一度セバスチャンとディビットに視線を向ければ微妙に逸らされた!!
逸らされた!?

「ユーゼフ様!!」
「内緒ばなしってヤツだね」
「それ噂じゃない!!」
「君に関してなら噂も話題も一緒さ」
「っひぎゃーーーーー!!」

ふふふふ、
楽しかったよって言うユーゼフ様の言葉と
その言葉ともに一切視線を交わらせることのできない執事とコックが
一体何を言ったのか雄弁に語っていた

アンタっ
ホント何を言いやがったんだ!!!




++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++

ユーBです!!
ユーBですよ奥さんっ(誰に言ってる)
いいですよねー・・・ホントいいですよねー!!
砂子さん
ユーゼフ様一方通行なユーBも好きですけど
ちゃんと思い合ってる2人も好きですっ

これで少し気になったりしちゃったら・・・・・嬉しい!!
そしてはまってくれたならもっと嬉しい!!
いや、
砂子さんのお話しは一歩に過ぎず
もっと素敵なサイト様のユーBに心トキメいてほしでっす!!