□■□ これだけあれば、世界をせいふくできるかもな・・・










「・・・・・・・・・」

俺こと、
榛原杏慈は今の状況を掴めずにいた
掴む以前に飲み込めずにもいる
早い話し、
何故このような状況なのか誰かに説明してもらいたくて眉間に皺がよる

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」

んがしかし、
この場にそれを説明するものがいない
説明する、
と言うよりもできるものと言った方がよさそうだ
目の前には、
かの猛獣使いが一人いる

「やべっここのヨーグルトパフェ・・・・・マジうま!!」
「・・・・・・・」

特大のパフェをがっついていた
よくもまー食えるなと思うほどのかっ込みよう
高さ30cm一番広い上のトコロで直径15cm
フルーツやら名前の通りのヨーグルト
そのヨーグルトも、
ブルベリーやらストロベリーなどと豊富で、
アイスもスタンダードのものからコレに入れるか!?と思われる味まである

「和泉ちゃと明日来ようっと!」

明日も来てまた同じものを食うつもりらしい
食いすぎだろうっ
そう思うのは俺だけだろうか、
俺だけだな
さすがあの猛獣を扱えるだけあり
あの猛獣と付き合うだなんて見習いたくもなければ尊敬も出来ないけれど、
畏怖は浮かべられる
恐ろしい男、
久坂 壱春だ

「・・・・・・」
「あのさ、」
「・・・・・あ?」

スプーンでヨーグルトとアイスを一緒に掬って口に入れながら
ひょっこりと久坂の視線が俺に向けられる
あの猛獣と同じくして色素の薄い色の瞳がくるりと動く

「勘だけど、」
「・・・・・」
「俺に恋しちゃtt」
「してない」
「早っ」

クソ気持ち悪いことをみなまで言わさずに遮る
寧ろ最後まで聞いた日には死ねる

「じゃーー何その熱い視線」
「熱い・・・・」
「壱、ドッキドキしty」
「黙れ」

っきゃ
などと言いながらスプーン握った手を口に当てて恥らう姿
姿と言うよりも本当に演技か?と言いたくなるほど、
顔を赤くしながら恥らっている・・・・・マジか?
マジなのか!?

「ひどい!!貴方からアタシを呼んでおいて・・・・放っておくのね!?」
「・・・・・」
「貴方っていつもそうよねっあたしの事なんだと思ってるの!?」
「宇宙人」
「わぉ・・・・地球外生命体かよ」

ちょー嬉しいんだけど
とか言いながらマジ嬉しそうなのは何でだ?
俺は褒めたのか?
いつ褒めたんだ!?
この男に俺は日本語を話してるよな!?

「つーかいつ俺がアンタを呼んだよ?」
「ラブレター来たよ?」
「送ってねーよ」
「んじゃチェーンメール」
「じゃって何だじゃって」

しかもチェーンメールって何だ、
チェーメールは普通は人を呼び出すメールじゃねーだろうが!!

「えーーー・・・・じゃ〜」
「だからじゃーって言うな!!」
「・・・・・心の狭い男は股間蹴られるぞ」
「蹴るかっ」

何でそうなる!!
何で股間!?
しかも何だその不満そうな顔は!?

「さっきのメールにねー・・・・」

仕方なしな感じで渋々とカバンの中から携帯を取り出す久坂
その態度になる意味が分からなくて、
小さくため息を吐きながら

「えーーー件名に【はいばらん】ってあって」
「・・・・はいばらん?」
「そー・・・で、本文に【○時△分■秒までに駅前のきっちゃてんに行くべし!行くべし!行くべしっジョー!!】」
「・・・・・・・」
「【そこでお前のチャンピオンベルトが待ってるぜ!!】」
「・・・・・・・」

頭・・・・痛くなってきた・・・・・
しかもメールの内容はまだ続くらしい

「【そこで貴様の永遠のライバル、はいばらんが両手広げて待ってるわん、はーと】」
「・・・・はー・・・・と、」
「【一秒でも遅れるとお仕置きだっちゃ!一万ボルトぴか○ゅー】」
「・・・・・あのさ、」
「え?」

その何だか段々意味が分からなくなってきた内容のメールの途中だが、
少し・・・・頭の休憩の要求を申し出る
案外あっさりと久坂は携帯から目を離して俺を見た

「そのメール見てお前変だと思わねーワケ?」
「・・・・変・・・・え、変か?」

え、どこが?
的に俺と携帯を交互に見る
いや、確認すんなよ

「・・・・・変だろ」
「変ではねーだろ、まっとうだろ」
「俺のがまっとうだから、変だろ」
「じゃー変で良いとして何が変よ」
「だから・・・・じゃーってなんだよ、」

その前にお前のじゃーの意味が問いたいよ
何で何のじゃーなんだよ、

「それのどこで、呼び出しだよ」
「両手広げて待ってるわん、はーと?しかもはーとのはーとって絵文字のハートじゃなくって言葉でハートね」
「くだらねーっ」

そんないらん知識って言うか
備考だっつーの!!
しかも言葉でそんなこと書くな!!

「でさーせっかく来たんだからチャンピオンべr」
「ねーよ」
「えーーーーー」
「不満そうに言うな、普通にねーのが当たり前だ」
「・・・・え゛ーー・・・・」
「ココは普通のカフェな、分かれ、分からなくても分かった振りしておけ」
「いや、それ分かってはねーだろ」
「理屈言うな」
「理不尽なっ」

お前が正論吐くな宇宙人
俺が正しいのに正しくなくなってる気がしてきたじゃねーか!!
変人は変人のままに変人の言動しておいてくれ

「んだよーラ○ちゃんいると思ってたのs」
「期待こめて見られても俺はあんな格好しねーぞ!!」
「・・・・・」
「想像もスンナ!!」

気持ちワリー!!!
俺があんなん着て『だっちゃ』とか言う方が視界の暴力だろ!!
近所迷惑ってどころの話じゃなくなるだろっ
自分のことだから分かんだよっ

「じゃーぴかty」
「お前が着てろ!!」
「マジでっ俺着ていいのぴかty」
「そして感電死してくれっっ!!」
「えーーーーーーっ」

え、そこで何でえー!?
しかも何で嬉々としてるんだっ
マジでこの人間の生態がわかんねー・・・・・
やっぱ冗談抜きで宇宙人か、
やっぱり宇宙人なのか、
そうか、そうなのか

「星へ帰れ地球外生命体」
「え、何の結論がついてソレ?」
「ここはお前のいるところじゃねーぞ、な?今のうちに帰っておけばNASAには言わねーでおくから」
「うっ売るつもりね!?こんな清い身体のおとm」
「地球語勉強しなおしてからもう一度来いって、俺がこの世から消えた次の日にな」
「え、明日?」
「そんなに早く死なねーよっ」

何で明日だよっ
せめても数十年後にしておけよっ
ったく・・・・
何のためにココにいるんだか見当もつくかこんな相手でっ
ちらりと久坂を見ると、
そのチラ見に何故か頬を赤らめた・・・・・はっきり言って

「キモイ」
「俺の代名詞ですからね」
「胸張って言うな、むしろ落ち込め」
「そんな青い時代はとっくの昔に卒業さっ」
「エグイ」
「えっ・・・・えぐい・・・・って、」

そんな言葉を言われたの初めて・・・・
とか良いながら微妙な落ち込み具合
よっしやっとダメージを食らってくれたな!!

「あーぁ・・・・こんなくだらねーこと言ってる暇があったらあの猛獣のことでも教えろや」

冷め切ったコーヒーに口を付けながらため息混じりに本音を一つ
こんなことこいつが教えてくれるわけねーけどな
伏せていた目を上げれば、
きょとりとしていた
コイツ・・・・ホントにあいつを襲う奴なのか?
反対じゃねーのか?
むしろ猛獣が黙ってヤられてるとか奇跡どころの話しじゃねーだろ普通

「猛獣って?」
「お前の愛しの久保田和泉だよ」
「あーー和泉ちゃ?」
「そーその猛獣」
「俺の愛しのてんs」
「夢見すぎだ、それこそ天地がひっくり返っても元に戻ってもありえねー!」

最後の言葉とかありねーだろっ
どの面下げて天使!?
悪魔とか大魔王とか死神とか破壊神とかだったら素直に頷いてやるぞ!?
ソレが本当だったとしても、
あーやっぱり?やっぱりそうだった?
てな感じで素直に受け止められる事実になりそうだ!

「じゃーなに、はいばらん君ったら和泉ちゃにk」
「死ねっ!!」
「どわっ!?!?」

条件反射と言うか反射神経と言うか
無意識に言葉と手が出てしまった
しかし辛くも避けられる
避けられた・・・・し、
わーーさすが宇宙人

「あっぶなーーーー!!」
「騒音がしたからな」
「騒音って・・・・・!」
「で、何アンタ情報流してくれるの?」

冷めたコーヒーを気を取り直すために飲み干して、
近くを通りかかったウェイトレスにおかわりを頼む
すぐに運ばれてきたそれを自分の騒ぎ出した心臓を抑えるために一口また口につける

「そうねー・・・・壱春さんによる壱春さんのためのベストヒットコレクションなら?」
「コレクション・・・・・」
「昨日の和泉ちゃとか今日の和泉ちゃとか何食べたとか何時に寝たt」
「ストーカーだろソレ!??!?」
「違うからっ観察日記だから!!」
「いや、ストーカーだから!!」
「人聞き悪いこと言わないでっ」
「事実だからっお前マジでエグイなっっ!?」
「えっエグイとか言うなーーーー!!」

きもっ!!
マジでエグイ!!
宇宙人かと思ったらモノホンのストーカーかよ!!

「普通で良いから、取り敢えず警察に久保田にも黙っててやるから」
「警察・・・・・・」
「んで、何よ」
「じゃーまー取り敢えず、入門編としてわー・・・」

胸ポケットから出てきた普通じゃありえないくらい分厚い生徒手帳が出てきた
お前どっかの張り込みが得意な刑事か?

「すりーs」
「却下」
「何て教えてやりませんー」
「知りたくもないです」
「誕生日はー」
「聞きたくもないです、知った日にゃ何を請求されるかたまったもんじゃないですから」

恐ろしいっ
恐ろしすぎるっ
結婚したくないかぐや姫の如くなモノ要求しそうだから
持ってこなかったら・・・・地獄だな、うん

「そうですねー好きな食べ物はアイスね」
「・・・・さすが冷たい人間だ、食うものまで冷たいとは」
「心が温かいからv」
「ごく一部な、他は確実なるブリザードだから」

ぱらりとめくられた一ページ目
アイスが好き
そんなこと知ったって意味はないし
記憶から消去

「特に好きなのがちーz」
「次」
「・・・・・・」
「はい、次っ」
「・・・・・嫌いなものはー」

お、コレなら使えそうか!?
乗り出して聞き入る体勢に入ると

「熱い食べ物、和泉ちゃ猫舌さんだから」
「・・・・ほっほー・・・・」

熱い食べ物ね、
ほーーーん、
そうかそうか・・・・そうなのか、

「あとねー」
「・・・・・・っ」
「てふてふ」
「・・・・・・・てふてふ?」
「そう、」

てふてふ・・・・てー言うと、
あれか?
蝶々・・・・・・蝶々!?

「ちょ・・・・ちょうちょ!?」
「なんだってー」
「は、あのふわふわした生き物がか?」
「うん、総合的に見て和泉ちゃはふわふわした生き物苦手だからねー」

何て言うか力技に出れないのがあるんだってー
囲まれるとさー固まっちゃうんだよー
とか言って笑う久坂

「・・・・・・ほっほー・・・・!!」
「何か聞いたところによると、」
「おうっ」
「昔植物園かなんかの温室で世界のてふてふ展で?大量のてふてふに集られて教われたらしいんだよね」

襲われた・・・・
まーあーーうん、
確かに大量に集られたら引くわな

「・・・・・・」

てか、そうか・・・・よし、
榛原の力使って明日までに・・・・・!!
これで俺は復讐できる!?
アレを・・・・・負かすことが・・・・!!
それって、

「世界征服できるかも・・・・・??」
「その前にお前が滅びるな、」

すりると首筋に手の感触
聞いたことがある氷点下の声・・・・・!!

「っひ!!」
「今すぐ死ぬか?それとも二秒後に死ぬか選べ」




ってそれは今すぐと同意語じゃっ
そんな言葉は、
絞められた手によって音にはならなかった



「やっぱ明日はないんじゃん」






そんな暢気な声は、
フェードアウトする意識の間際で聞こえた言葉だ



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てなことで、
榛原VS壱春
別名、微妙な常識人VS宇宙人でしたーーーー!!
最後に出てきたのは勿論、
榛原曰くの猛獣とか悪魔とか大魔王とか死神とか破壊神とかのあの人です
久坂曰くの天使です(死)

これにて漸く完了です・・・・!!
ありがとーございましたっ
そしてごくろー様でした!!
ここまで読んでくださってありがとーございましたっ