□■□ これからずっとおまえはおれのどれいだ。











仕事帰り
何だか思いついてよったみたいに行きつけのバーに入った
静かでちょっと薄暗いそこは
昔馴染みもよく集まる場所
でも、
この人物に会うのは久しぶりだ

「あ、ナナだー」
「・・・・・・イズくん!!」

きょろりと誰かいないか辺りを見渡していたら
奥の座席のつい立から覗く顔と手
ここじゃなくても久しぶりに見た久保田和泉の姿
驚きの次には嬉しさでそちらへ走りよる

「うわー久しぶりだねっイズ君っ」
「ホントだねー・・・・半年振りかな?」
「たぶん、」
「ゴメンねー元気してた?」

いつものように、
へらりと笑って
いつものように俺の髪を撫でながらそう聞いてくる
変わらないイズ君に
笑って頷いた

「イズ君こそ全然見なかったけど、元気?」
「元気元気、ちょー元気よ?相変わらずよ?」

どんな意味での相変わらずか想像できて
心中で笑えば
それを相も変わらず汲み取って笑みが深まる

「想像通りよナナちゃん」
「やっぱり」

あははって笑えば、
注文を受けに来たギャルソンに俺の好きな酒の名を口にする

「で、良いんだよね」
「うん、そう」
「あとミネラルも持ってきて」
「かしこまりました」

ここのギャルソンはイケメン揃いで、
キレイな顔をキレイに笑みのカタチに歪ませて一礼していく
その際にイズ君に何か視線を送ったことを俺は見逃さなかった

「俺ってモテルから」
「いつもの事だね、」
「ま〜〜ね〜〜!!」

全然まったくもって満更でもないご様子で、
ニタニタとエロ親父なみの勢いだ
キレイな顔してるんだからそれは止めて欲しいといつもながら思う
でもそれも、

「俺だね」
「そうだねー」

いやだなー!!あっはっはっはー
と豪快に笑うのを呆れ半分に笑って返す
ホントにいつまでも変わらない
そんな事を思っていると、
小さな音が耳に届く

「おっとー誰だこんな時に、」

鳴ったのはイズ君の着信のようで、
内ポケットから黒い携帯を取り出すと耳に押し当てる

「何だー」

横柄な態度をわざと取りながら携帯に向かってそう口にすると、
何も言わずに頷くだけになる
数回それを繰り返すと徐に立ち上がった

「ゴメン、ナナちょっと席外すけど待ってて」
「急用?」
「くだらないね、だからすぐ済ませてくる」
「分かった待ってる」

片手でゴメンとそう形作って謝るのに笑って首を振った
携帯片手にボックス席から出ると
思い出したように振り返る

「そうだ、ナナちゃ〜ん」
「ん?」

ブルーの液体のカクテルに口を付けながら目を向けると
イズ君の指が俺の右斜め後ろを指していて

「それ、気づいてなかったみたいだけど俺の連れ」
「え?」

言われた方へと視線を向けると、
そこには背もたれに頭を預けて仰向いている一人の男がいた
まったくもっていた事に気づかなくてぱちくりと目を瞬かせて、
イズ君へともう一度視線を向ける

「少し見てて、チョイ飲みすぎてんだよね」
「あー・・・・うん、いいよ・・・・暴れる人?」
「暴力は振るわない人」

ならいいや、
と思って安心したのも束の間

「・・・・は、?」
「うん、」
「・・・・って、どー言う・・・・」
「酒飲んだ時の俺と似たような感じの人」
「・・・・・っえ!?」

それって暴力振るう人の方がまだマシだよ!?
ニタリと笑みを浮かべたイズ君に、
顔を青褪めさせる
貴方酔った時どーなるか分かってるでしょ!?
あの地獄絵図は忘れようにも忘れられないんだよ!?

「むしろ、上を行くから」
「っへ!?」
「頑張って貞操守ってね?気をしっかり!遅くならないようには戻るから」

じゃ、ガンバーー!
だなんて・・・・・そんな、
明るく軽く言って行かないで・・・・!!

「そ、そんな人と・・・・一緒にさせんなよぉ・・・・!」

むしろ怖いんですけどっっ
時限爆弾置かれていった気分だ
そっと仰向けの男へと視線を滑らすと
いつの間にかこちらに顔が向けられていた
わお

「・・・・・・・」
「・・・・・・・」

お互い無言
でもその無言の意味合いが全く違う
向こうは確実に俺のことを探ってる
そんな視線を感じる
誰だコイツ的な感じ
で、
俺はと言うとお願いだから言葉を発しないで動かないで
その手に取ったグラスの中身を飲み干さないんで!!
と叫んでいたのさっ

「ヤダよ、俺だって金払ってんだし」
「初対面っお願いだから俺の心の声を読むな!!」
「え、声にしてなかった?」
「してねーっ!!」

俺ってそんなに読まれやすい人!?

「うん」
「頷かないで、見知らぬひt」
「明治」
「へ?・・・・え、あ、生まれが?職場が?」

そんな名前聞く前に生年月pp・・・・え、明治!?
アンタどんだけ若作り!?

「確実にそれはないと思うけど」
「良かったぁ・・・・・あーじゃーお菓子屋さん?」
「違う。むしろ社会保険に入れない職業の人」
「個人経営?つかむしろ自営業?」

いや、つーかなんで急に職業の話し?
俺そんな事聞いたっけ?

「ヤのつく人」
「鴨!?」
「古い」
「がふっ」

思わず昔のアノ生き物を思い出して言ってしまえば、
目の前に人は手が早かった
べシッとお手拭が顔面に張り付く・・・・

「名前が桂木明治」
「・・・・・あぁ・・・・あぁそう、そうですか、明治さん」
「そう、で?」
「で?」
「アンタ誰?」

とろんとした視線で問い返される
ことりと首を傾げて可愛らしく言っても先ほどのお手拭攻撃は許さなくってよ!

「七緒」
「七緒・・・・・」
「そう、広瀬七緒」
「そう・・・・じゃヨロシクね七緒」
「よろs・・・・!??」

ニコリと笑ってそう言ってきたのでやはり礼儀はね、
ちゃんとしておかないとね、うん
そう返すとぷちゅっと、
そーそんな感じの音がしそうな勢いで唇に何かが押し当てられる
目の前には

「!?」

知り合ったばかりの桂木明治のドアップ
ドアップ?
・・・・・・・・・・・・・ドアップーーーー!!?!?!??
ッぎゃーーーーーーーーーーーーーーー!!!

「どぅわーーーーー!!!!?!??!」
「煩い」
「うおあっ!」

唇引き剥がして声を上げながら仰け反れば
眉を顰めた桂木明治が、
その俺の仰け反った顎を押してソファーに仰向けに転ばす
え!?

「少し静かに」
「は!?」
「ここは静かに飲む場所です」

そんな当たり前のことを言いながら俺の身体に乗りあがってくる
え、何で!?
何で乗りあがってくるの!?

「っちょ、ちょちょっちょっ!?!??」
「だから静かに」
「いやいやいや、静かにするけどもっ」
「ん?」

ん?じゃなくって!!
そうじゃなくって!!

「アンタ何で俺の上に乗ってんの!?」
「乗りたいから」
「いや、乗りたいからに行き着く理屈が分からない!!」
「あーいいよ、そんなこと後で考えれば」
「良くないでしょ!?」

何か可笑しくない!?
それって属に言う無理矢理系!?
いや、無理矢理系って反対に何!?
強姦ってやつしょ!!

「人聞きの悪い、誰が強姦魔だ」
「アンタだよっ見なくとも今の現状間違いないでしょ!?」
「そう?」

いや、何そんなホント心底分かりません的な顔!?
俺が分かんないよ心底!!

「だって俺ヤる立場じゃないもん」
「・・・・はっ!?」
「そりゃ俺が七緒のココに、」
「っっっぎゃーーーー触るなーーー!!」
「だから煩いって」

煩いとかの問題じゃなくって!
いやもーそんなことどうでもいいよ!!
もー煩くてもいいよ!!
でもっでもさっ

「アンタなんでそんな俺のあられもない場所触るのって言うかチャック下ろすなよ!!」
「下ろさないとデキナイでしょう」
「いや、しなくていいでしょ!?」
「あーはいはい、じゃーそこまで言うなら」

もー良いよ的な声色
すっと俺の下半身からどいた目の前の強姦魔の手
ホッと息を就いたのも束の間の一言

「ヤられて上げようかと思ったけども、そこまで言うなら仕方ない」
「・・・・・・ぇ?」
「久しぶりに俺が突っ込む側ね、そーとー久しぶりだから痛くても我慢ね?」
「はぁ!?」

何言っちゃってんのこの人!?
何でさっきのでソレ!?
どうやったらそんな理屈生まれるの!?

「いや、俺が突っ込むのも俺が突っ込まれるのもどっちも勘弁願いたいんですけど!」
「世の中そんなに甘くないぞ、どっちかを諦めないと、ね?」
「・・・・・っ!?」

目の前の俺を食おうとする男、桂木明治
先ほどのイズ君が言っていた言葉の意味を少し・・・つかようやっと理解した
この人っタラシ入ってるーーーー!!
目の前で眼鏡の奥で細まる視線
俺を愛おしそうに見るその瞳が
本当に俺を愛し俺が愛する相手のような感覚に陥る

「口あけてごらん」

そう良いながら薄く口を開ける動作をする明治さん
こうやりな的な動きに
つられて開ければ
そこにつっと指が滑り込んできて下の端を軽く引っ張られて半分まで開けさせられた
かと思うと、
すぐさまに合わさる唇

「ぅんっ・・・!!」

うっわ!!
いつも味わってるアイツのキスとはまた違う動きのキス
知らない相手だからか、
それともこの男のキスがそうとう上手いのか、
どちらかは分からないけど下半身に直通な感じ
ヤバイっ
ヤバイヤバイヤバイ!!!

「んんっぅ」

ぐっと肩を押し返すもキス一つで力を奪われて掴むことしかできない
焦っても
むしろ焦れば焦るほど力は入らない
そんな俺の心境を理解してか、
キスをしながら明治さんが笑うのが分かった
未だ指は下の歯茎にかかっていて閉じることを許されない

「・・・・可愛いね、」
「っぅ・・・んく」

ぺろりと舐めながら声を出すから
口の中に唇に空気がさわりと撫でていって
くすぐったいような、
でもそれ以上な何かが首筋を這い上がる

「可愛いから、冗談だったけど・・・・」
「・・・・んっ」
「冗談にしてあげない、」
「っ!?」

かぷっと鼻の頭に歯を立てられてくすりと笑う
その目は欲情と言う言葉よりも濃い何かが浮かんでいて
怖いほど澄んでいた

「・・・・モノに、したいな」
「諦めてね、」
「!!」

目の前でそんな色濃い瞳で言われたら
ひとたまりもないけれど、
けど幸か不幸か
いや幸なのだけれど
ひょいっと俺に覆い被さっていた明治さんが離れていく

「終わりー」
「今からなのに?」
「えぇそうですよ、アンタの飼い主がお迎えくるからね」
「・・・・・っち」

本気で嫌そうな舌打ちが聞こえた
つか、飼い主?

「あ〜ぁ・・・・・いいもの見つけたと思ったのに」
「気持ちは分からなくもないけどね、コレも一応人のモノだから」
「そうなんだ・・・・」

残念ーーーとボヤキながら、
救世主ことイズ君が明治さんを抱えながらソファーに座る
その腕の中で俺をジッと見詰める明治さん
今の今でもの凄くその視線が怖い・・・・!!

「でも、」
「ん?」
「思うだけはいいよね?」
「・・・・・・」

誘うような笑みと動きで、
どんでもない一言

「これから、ずっとお前は俺の奴隷(モノ)だ・・・・・・てさ、」
「無理でしょ」

せっかくの言葉を、
イズ君があっさりと否定したのに
俺の頭はそんな言葉に真っ白になってしまって気づかなかった









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みなさん、お久し振りです・・・・!!
そして五拾萬打ありがとーーーございます!!
ココまで来れました!
砂子もここまできちゃいました・・・・・!!
嬉しいですっ凄く嬉しいです!!本当に本当にありがとーーーございますっ

そしてアンケート結果の4位!
明治×七緒
いかがでしたでしょうか?
久しぶりの七緒の脳内ツッコミを書きましていやーうん、
勢いよく打てました(笑)
進む進むっさすが七緒っ書きやすさNO.1!!
な、内容は・・・・微妙ですけど・・・スイマセンっ
これからもこんな微妙ばかりですがヨロシクお願いします!!