気付いたって知らん振りをし続ける。ちょっとした悪戯さ
雲がちらほらしている
深い青空の
静かな午後の一時
それを蹴破る勢いで
何かが激しく壊れる音が城中に響いた
ガッシャーーーーーーーン!!
ドタドタドタッ!!
『------っ!!』
『--〜---!!!』
バタバタっ!
ガタン!
ガス!
『-----っ!?』
『---!!』
ズガシャっ!!
バキ!!
『@*△■っ!?』
『***っ!!』
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
ドドドドドドドドドドドドドドッ!!!
バッターーーーーーン!!
「好い加減にコイツを何とかしろっリズ(怒)!!」
そんな大声で執務室に駆け込んできたのは、デライト国きっての切れ者有能宰相エドガーだ。
手には猫をこんな風に持ってはいけませんと言う悪い見本のように、襟首を引っつかんでプラプラと揺れながら片手を上げる有梨須がいた。
「やっほーーーー!」
あらかたの予想が付いていたご様子の、この国の王リージェイドは苦笑を浮かべながら立ち上がる。
その横ではニトリアスが目をまん丸にして固まっていた。
「また盛大に汚れているな、アリス?」
「そうですかね〜?」
見れば、白いシャツには埃が付いたように煤けて、髪には綿埃と蜘蛛の巣がコシャコシャ張り付いている。
せっかくの黒い膝丈のズボンもソックスの白くなっていたりしている。
「アリス様・・・・・」
「すまないなニト、着替えを用意して来てくれ。」
「・・・・・はい」
ボー然としていた後に、そうリージェイドに声をかけられ我を戻して部屋を出て行った。
「躾をしっかりしやがれ!!」
エドガーもそう言い捨てると、まるで物のように有梨須の身体をリージェイドに投げつけ怒りをあらわに執務室を出て行った。
「うけけけけけけっけvv」
「・・・・・・・コラコラ」
その様子を腕の中から笑って見送る有梨須。
どうやら、エドガーに対しての嫌がらせの一つ・・・・もとい、復讐の一つが成功したようである。
「今のエドの怒った顔見た!?スッゲーーーーよね!?」
「そうだな。」
「にゃははvv2度目の成功だわん!!」
「・・・・・・程々にな・・・・・?」
そうじゃないと後の仕返しが怖いんだぞ?
小さく心の中で呟く。
前回も成功した時の有梨須の喜びようはなかったが・・・・・しかし、その後の仕返しで相当泣いていたのをキレイさっぱり忘れているようである。
しかし、この喜びようを壊すのも何なのでリージェイドは近くのソファーに座り、膝の上に有梨須を向かい合うように座らした。
膝の上に座ってもその身長差は埋まることを知らず、見上げるようにしている有梨須の髪についている汚れを払った。
「そんなに汚れてる?」
「汚れてるって言うより、色んなものがくっついてる。」
「・・・・おわっホントだ!!」
リージェイドが取った蜘蛛の巣やら埃を見て喜んだように驚く。
ケラケラ笑うさまに、つられたようにリージェイドも笑みを浮かべてシャツやズボンに付いたものも払っていく。
「昼食は食べたか?」
「あ〜そう言えばまだ!」
「だろうな?」
靴を脱がされ、有梨須は自分で黒いハイソックスを引っ張りながら脱いでいく。
その間にリージェイドがシャツのボタンを外していった。
「・・・・・シャツも交換しないとイケナイほど汚れてる?」
「白いのに模様が付いたように茶色くなってるからな、脱いだ方がいいだろう。」
「・・・・や、あの、リズ!自分でやる!」
「何故?」
なぜって・・・・・何か恥かしい!
慌てたようにボタンにかかるリージェイドの手を止めるために手を載せた時、ドアが開いた。
「着替えをお持ちしました・・・・ついでに昼食の用意も持って来ましたが如何なさいますか?」
入ってきたのはニトリアス。
フと目線を自分の仕える主人に目をやれば・・・・・・何だか目を逸らしたいような状況。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
ちょっとした沈黙が流れた後に、何事も無かったようにリージェイドが微笑んだ。
「ありがとう、シャツをくれるか?」
「え、あ、は・・・はい。」
「ついでに有梨須には食べるものを渡してくれ」
「あ、はい。」
「あ、ニト!!僕、そのクリームがいっぱい入ったやつがイイ!!」
食べ物を目の前にして、自分の置かれた状況を意識から吹き飛ばした有梨須が腕から袖を引き抜かれながら、ニトに向かって手を差し出す。
慌てて言われるがままリージェイドには替えのシャツを、有梨須にはクリームやフルーツがたっぷり挟まったサンドを手渡した。
「アリス、右手」
「ん〜〜〜・・・・ウマ!!」
「分かったから・・・・ほら右手。」
「リズ美味いよ、このサンド!」
「はいはい・・・・・はい、次は左手」
まぐまぐと幸せそうにクリームサンドを頬張る有梨須。
食べている最中に右手に袖を通されては左手にサンドを持ち替えて、左手を通す時には右手にサンドを持ち替えた。
指には、はみ出したクリームがついている。
「あ、リズ味見。」
「ん」
袖を通す前にくすり指と小指についているクリームをリージェイドの口元に持っていくと、躊躇うことなくソレを舐め取った。
「・・・甘い」
「甘い、じゃなくて美味しい、でしょう?」
「そうだな・・・・でも、アリスの指に付いたから余計に甘くなったかも。」
「・・・・・・え〜〜〜?もとから甘いよ?」
「そうかもな。」
舐められた指を、同じようにアリスも舐め取る。
自分が食べているクリームサンドの中のクリームと同じ甘さだった。
「同じじゃん」
「私には少し違いがあったんだよ」
「・・・・ふ〜ん」
言われている意味が理解できなかったのか、首を傾げる。
「じゃ、コレ食べてみて?」
今度は食べかけのサンドを口元に持っていった。
「いいよ、アリスが食べなさい。」
「いいから!リズも味見!!」
「・・・・・・」
「はい、あ〜〜〜ん?」
あ〜〜んとか、言いながら自分自身も大きく口を開ける。
笑いたい衝動に駆られながらも、仕方なしにそのサンドに噛り付いた。
「美味しい?」
「甘い・・・・」
「お・い・し・い、でしょう!」
「はいはい、美味しいです。」
「よっし!」
何故かその部分の強要してくる有梨須に笑いながら、頷いた。
満足そうに笑ったかと思うと、今度はある一点をじ〜〜〜っと見詰め始めた。
「今度は何かな?」
「リズ口にクリーム付いてる〜〜!」
「ん?」
「取るよ、待って!」
シャツのボタンを止めていた手を口元に持って行こうとした手を掴まれ・・・・・・そして、目前には有梨須の顔が。
身構える暇もなく、口の端に付いたクリームを舐め取られた。
「ん・・・・・・やっぱ変わんないじゃ〜〜ん!」
「・・・・・・」
「リズ?」
「いや・・・・・何でもないよ・・・・・」
「??」
「・・・・はい、完了。」
止まっていた手を、、最後の仕上げとして細く黒い紐でリボンを結んだ。
襟を直して、完了。
「あんがと〜〜!」
「・・・・・アリス、お前の口の端にもクリーム付いてるぞ?」
「えぇ?」
「取ってやろう。」
「・・・・おわ!や、ちょっ、リズくすぐったいのだ〜〜!」
「我慢しなさい。」
腕を押さえつけて、口の端と言わず唇も頬も指をも舐めていくリージェイド。
その行為に、くすぐったそうに笑いながら有梨須はされるがまま。
お返しとばかりに、リズの顎を舐めたり鼻を齧ったりとしながら笑う。
きゃはきゃはと笑い声の上がるその場を、ニトリアスは無言で出て行った・・・・・・・・・・
パタンと締め切ったドアの前に崩れ落ち・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・はぁ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
疲れたように、重く深い溜息を吐き出す。
ついでに、その様子を目撃したエドガーは言われる間もなく状況を察知して当分はその部屋に近づかないようにしたのでした。
おわり
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さと様へ
17071のキリバン申告&リクエストありがとうございます!!
【真面目にイチャイチャしているリズと有梨須、そしてイイ思いしているリズ・・・・周りの心境】との事でしたが・・・・
何だか、モノすっごく意向に沿ってないような気がするのですが!
宜しいでしょうか!?
ダメですか!?
ただ・・・・リージェイドがイイ思いはしまくっているような気がするんですが!
これでイイ思いしているうちに入りますか!?
意識されてないからこそ出来る行為!
しまくってんじゃん!?
有梨須に意識させるのは至難の業のような気がして・・・・・こんなんですが・・・・
こんなんで良かったら貰ってください(礼)
え?返品?
叩き返してくださっても・・・・・勿論かまいません・・・・(汗)
とにかく!
ありがとうございました!!
題名をこちらからお借りしました
*説明長文御題*